2006年3月31日

天使の挿管と悪魔の挿管

最近,力づくで気管挿管を行って,患者さんの歯を折ったり,唇をきづつけたりする挿管を,「悪魔の挿管」と呼んでいる.逆に,きちんと合併症の無いように配慮して上手に行う挿管は「天使の挿管」と呼ぶ.麻酔科研修で教えるのは後者であるべきで,「悪魔の挿管」ができるのを挿管ができるとはいわない.とにかく「できればよい」,手技を学ぶだけという態度ではいけない.患者さんへの配慮があってはじめて研修といえる.「悪魔の挿管」は人形で経験すればよろしい.まず,「悪魔の挿管」を行っている(あるいは教えている)人は,「医療行為とは」ということから考え直す必要がある.

2006年3月29日

あなたはメンターになれますか?

本日は,メンターって聞き慣れない言葉の解説から.
長期的な観点に立って指導し、支援してくれるような人物のことを“メンター(mentor)”といいます。いわば職業人生上の師匠のような人です.尊敬できる上司や有能で親切な先輩は、“メンター” の役割を果たしてくれる可能性が高いのです。
臨床研修医がメンターと思える医師は、通常は自分より少し上の先輩医師ではないでしょうか。ということは、後期研修医は十分、初期研修医のメンターになることが可能だということ。つまり、後期研修医は研修という立場でありながら、初期研修医にとって魅力的な存在になる必要がありますね。


以前にmsanuki.netで紹介
した,山形大学麻酔科のサイトに「麻酔科医になろう!」というページがあります.ここでもメンターについて,紹介されています.

2006年3月28日

医師を育てる 新人研修(讀売オンラインより)

医師を育てる 新人研修(讀売オンライン 医療ルネサンス
o 産科 厳しい現実に尻込み (2006年3月25日)
o 魅力ある体制へ 指導に力 (2006年3月24日)
o 患者の心 思いやる経験 (2006年3月23日)
o 一般病院で学ぶ専門分野 (2006年3月22日)
o 各科回り 診る力アップ (2006年3月21日)

2006年3月25日

バランス麻酔のレベル分類

電脳麻酔ブログ「バランス麻酔のレベル分類」が紹介されている.麻酔の技術にレベルを想定するというのはよい考えだと思う.どのような麻酔が,よい麻酔かを考えるベースになる.何かを目標にして麻酔を研修するという姿勢が必要であることは疑う余地がない.
どんな麻酔でもよいのか?答えとして,どんな麻酔でもかまわないと考えるならば,すでに進歩は止まっているといえるだろう.

2006年3月24日

これはなんでしょうの答え

 セボフレン側のキーインデックスでした.出題時に白黒にしようかと思ったのですが, 意地が悪い問題になるのでカラーで出題しました.色をみてわかった方もあると思います.

フォーレンのものとはキーが異なっていて,セボフレンのキーフィラーがあわないようになっています.

キーフィラーは気化器側もセボフレンとフォーレンでは反対側に溝が切ってあります.

吸入麻酔薬→キーフィラー→気化器のいずれが異なっても注入できないようになっています.キーインデックスシステムです. 簡単すぎましたね.

2006年3月23日

CCSの狭心症重症度分類

麻酔科の保険点数がこの4月から変更になります。そのなかの重症患者の定義で聞きなれない分類があります。狭心症のCCS分類です。CCS分類とは以下の通りです。

CCSの狭心症重症度分類
(Canadian Cardiovascular Society,Circulation,'76) 
【クラスI】
日常の身体活動、たとえば通常の歩行や階段上昇では狭心発作を起こさない。仕事にしろ、レクリエーションにしろ、活動が激しいか、急か、または長引いた時には狭心発作を生じる。
【クラスII】
日常の身体活動は僅かながら制限される。急ぎ足の歩行または階段上昇、坂道の登り、あるいは食後や寒冷、強風下、精神緊張下または起床後2時間以内の歩行または階段上昇により発作が起こる。または2ブロック(200m)を超える平地歩行あるいは1階分を超える階段上昇によっても狭心発作を生じる。
【クラスIII】
日常活動は著しく制限される。普通の速さ、状態での1?2ブロック(100?200m)の平地歩行や1階分の階段上昇により狭心発作を起こす。
【クラスIV】
いかなる動作も症状なしにはできない。安静時にも狭心症状をみることがある。

2006年3月20日

麻酔科研修必修手技項目

【必修】術前状態の把握とプレゼンテーション、麻酔器−麻酔回路点検、麻酔時の各種モニター装着、術中術後使用薬剤の希釈と取り扱い、輸血製剤と生物由来製剤の取り扱い、末梢静脈路確保、バッグマスク換気、麻酔中の人工呼吸の調節、喉頭鏡を使った気管挿管ー抜管、ラリンジアルマスク挿入ー抜去、気管内吸引、腰椎穿刺、尿道カテーテル挿入、胃管挿入、静脈採血、動脈採血、手術室内検査機器による検体検査、麻酔チャートの記述法、術後回診とカルテ記述、麻酔台帳入力
【オプション】動脈ライン確保、中心静脈確保、経鼻挿管、意識下挿管、ファイバーを使った気管挿管、分離肺換気、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、(伝達神経)末梢神経ブロック、エコー(心,腹部,血管)
と私は考えるのだが,必修をどれだけこなしているだろうか.以前にも理解力(2)で書いたが,できない人はできないなりに、できる人はできるなりにオプションまで指導している.できないと考えられる場合には,必修であっても実技までさせられない(見せるだけの)ことがあります。また,実技を行うだけが実習でないので,きちんとした手技を見学することも大切です。この「きちんとした」というのがミソで,いい加減な手技を繰り返し,指導もなしに行うより,きちんとした手技を見学するだけの方が,よいことが多いのです。「百聞は一見にしかず」いや「(見よう見まねの)百手技は(正しい)一手技にしかず」です。一つずつの手技内容が,きちんとできているだろうか。だれがチェックしているだろうか。手技をチェックしていない、チェックされていないのは問題です。手技に関して「できることもある」と「できる」というのは全くちがうのです。もう一度,よく考えてみましょう。これは、研修医だけでなく指導医にも言いたいことです。

2006年3月18日

これは何でしょう

 手術室で麻酔科が使用するものの一部の拡大写真です.正面像と側面像です.

 

答えは,数日後に発表します.

 

2006年3月17日

てきてきの答え

「てきてき」とはなんでしょう?
(1)輸液セット
(2)輸液ポンプ
(3)輸液ライン
(4)採尿バッグ
(5)採血用フォルダ

答えは(2)です.

輸液ポンプでは,てきてきと輸液が落ちることから「てきてき」と呼びます.正確に(定期的に)滴下することを表現したもの.「てきてきとセット持ってきてください.」といったように使えます.「輸液ポンプとポンプ用の輸液回路を持ってきてください」という意味です.

2006年3月15日

場の雰囲気を読む

医師は、「場の雰囲気を読む」ことが要求される職業である。これができないと、不利になることが多い。なぜなら、人を相手にする仕事だからである。相手の出方によって、対応を180度変える必要はないが、柔軟な対応が求められることは確かである。臨床研修においても同様で、「場の雰囲気を読む」ことができたほうがよい。
対人関係において要求される能力で、もう一つ重要なのは、対応力である。「あせらず,さわがず,確実に」略してASKです.どんなときでもASKを保って対応できる力をつける必要があります.この対応力,自分の行動を制御できない人にはつきません.「心を平静に保つ」訓練をしましょう.もう一つ,機を逃さずに対応する力が対応力には含まれます.なんでもとりあえず反対する人がいますが,対応力に欠けると判断されます.ここを,トレーニングしましょう.判断基準を広く,柔軟に自分の中に持たなければなりません.
場の雰囲気が読めて,それに対応する力をつけることができれば,大物になれます.逆に,これができないと,よい対人関係は生まれません.この内容は研修医だけではなくすべての医師に要求される能力だと思います。
ちょっと抽象的ですが,わかる人にはわかりますよね.

2006年3月14日

女医さおりのせきらら日記

「女医さおりのせきらら日記」というブログがあります.麻酔科研修中の感想など,研修医からの目でみた意見が述べられています.

2006年3月13日

観察力(2)

観察力をつけることが大切で、見ることも大切な研修であると以前に書きました。私の臨床研修医の指導方針は、できそうなことだけやらせて、できなそうなことは指導医のやっていることを見せる方式です。このできそうなこと、というのは個人個人によっても違いますし、時期によっても違います。
今回は、指導医が研修医のできそうなことを見極めるという観察力です。また、個人個人の性格や器用さ、目指すものもさまざまです。それを汲み取って適切にフォローするためには、研修医を観察する力が指導には必要です。紋切り型の指導ではなく、テーラーメイド(オーダーメイド)の指導を目指しています。もちろん、アドバイスもします。コーチが選手に対して、強化するべきところを個別に指導するのと同じようなアドバイスです。このテーラーメイドの指導をするためには、観察力が必要なのです。ときどき何気ない質問をして、実力を確かめることもあります。観察力は研修医だけでなく指導医にも必要な技量です。

2006年3月11日

鵜呑み

「物事を鵜呑みにする」というように使う言葉がある。1週間ほど前に「医療ミス重なり患者死亡 3医師を書類送検」という記事が各新聞に掲載された。この事件では、血液検査の異常値で縫合不全による炎症の可能性を疑うべきなのに、部下の外科医は外科部長に「術後は良好」などと伝え、外科部長は引き継ぎをうのみにして必要な検査を怠り、腹膜炎で患者を死亡させた疑いで書類送検されている。結局、この外科部長は自分で患者を見ていなかったということである。これに、似た状況が麻酔科にもある。主治医が言う大丈夫である。自分の専門以外の分野に関してなんの根拠もなく大丈夫と答える強者の主治医がいる。ここにはワナが仕掛けられている。主治医だからきちんと見ているだろうというのは禁物で、自分の目でもきちんと検査データ、画像データや診察所見などから事実を確認できるような力をつけておくことが肝要である。「大丈夫は大丈夫ではない」ということです。

2006年3月10日

てきてき

では「てきてき」とはなんでしょう?
(1)輸液セット
(2)輸液ポンプ
(3)輸液ライン
(4)採尿バッグ
(5)採血用フォルダ
答えは1週間後に発表します。

2006年3月 9日

ピコピコとってきて

「ピコピコとってきて」というとなぜだか、当院ではどんな手術室看護師さんにも通用してしまうのです。ピコピコとはなんでしょうか。多分、広島地方でしか通用しないと思うのですが、筋弛緩モニターのことです。
刺激するとピコピコと手が動くのでピコピコなのです。「ピコピコとってきて」と言って、それ何?と聞き返されることはありません。
研修医にピコピコつけたか?と聞いて、固まっていることが時にありますが...

2006年3月 6日

観察力(1)

臨床研修医に限らず,身につけるべき能力だと思います.臨床研修における観察とは,その道の専門医がどのように医療行為(場合よっては患者対応)を行っているかを見る力(眼力)だといえます.見たことから何を感じ取るかということは、何に着眼するかにかかっています。
臨床研修医に質問をしてみれば、観察力がどの程度かがわかります。一番簡単なのは、指導医が今行ったことの手順を説明させることです。指導医が行った行為を口頭できちんと答えることができるかどうかです。抜き打ち的に聞いてみるとよいでしょう。
性別によって観察力に差があるような気がします。どちらがきちんと答えられるかを、ここで述べてしまうと研修医の皆さんにはショックが大きいので秘密にしますが、「しっかり観察する」ということ自体が大事な研修になります。この力をつけることは、この先も役立ちます。”ボーッとして何気なく見る”のはやめましょう。何でも、鋭い目で見るという貪欲さが必要です。