2007年1月29日

レミフェンタニルへの期待

待望のレミフェンタニルが1月22日に発売されました。管理人のレミフェンタニルのへの期待としては、フェンタニルでは難しかったものから挑戦したいと思っています.導入時,気管吸引時,抜管時の循環変動には有用でしょうね.これまで,導入時は思い切ってフェンタニルを投与していたかたも,抜管時にはちょっと弱気になる場合が多かったのですが,これからはレミでいけますね.また,昔,深麻抜管なんてよばれていた手技の時にも有用ではないでしょうか.吸入麻酔薬の単独の深い麻酔よりもレミ併用麻酔で行ってはどうかと思います.ファイバー挿管などにも有用そうですが,導入時の鉛管現象と自発呼吸の消失には気をつける必要があります.
鉛管現象はbolusでいれたり,注入速度が速いと起きます.このときにはフェンタでも経験するように全く換気ができなくなるので,慣れないうちは筋弛緩薬を使う麻酔に使用する方が安全なようです.
循環への影響としては徐脈です.
術中の使用に関しては,フェンタニルと同様ですね.しかし,鎮痛作用はすぐに消失しますので,術後鎮痛を術中から考えておかないと,麻酔覚醒時に痛がって覚醒してくる場合が要注意です.要するに,痛ければ鎮静剤がたくさん残っていても目が覚める可能性があります.
静脈麻酔薬投与時の基本的な注意ですが,点滴(キャリアウォーター)がなくなってしったり点滴が逆流していると投与速度が落ちます.そのときには,側管から入れている薬物の濃度が下がりますので,レミフェンタの場合は,気づくのが遅れると大惨事になる可能性があります.プロポフォールは白いのですがレミフェンタは透明なので,下手をすると循環変動や体動で気づくことになりかねません.キチンと点滴ルートの落ちを確認しましょう.安全のためには輸液ポンプにつけた点滴ルートの側管から投与することも必要かもしれません.

2007年1月21日

センスがある

「センスがある」という言葉をつかうことがある。「あの先生はセンスがある」とか、「センスが感じられない」といった使いかただと思う。このセンスは、おそらく感性という意味を含んでいるのだろう。通常は物事の見方や考え方のスマートさに使う言葉であるのだが、臨床医学領域では(少なくとも私のなかでは)、先を見通せて現時点での手技や医療行為(または考え方)が理にかなっている状態をさすことがある。もてる知識の幅が広く、その知識をその時々に応じて適切な部分を引用しつつ、物事の推論や判断をできる能力ではないだろうか。また、手技や医療行為に関しては技術的なこつを心得ていると思わせるものがあることである。知識やコツは、ある程度の努力によって身につけることができるが、それらをどう組み合わせて適用するかは努力によっては身に付かない部分である。この部分が優れている人がセンスがいいと言うことになる。このセンスがいいというのは、要するにセンサー、sensoryがとぎすまされている必要がある。感覚神経といってもよい。物事(人がやっていること)をみてなにも感じないというのは、ちょっと問題である。感覚神経のとぎすまされた人は、常にsensoryが働いていて真剣に観察している。手技であれば、動作だけでなく力のいれ具合であるとか、方向、深さ、距離、わかれば筋肉のうごきなどである。また考え方に関しては途中が省略されて出力されることが多いので、その考えに至った途中の省略された部分を質問することで、そのセンスを身につけることができるのではないかと考えている。その、努力ができるかどうかもsonsoryの問題であるのでsensoryの欠如している場合は、どうしようもない。医師のセンスというのは、そのような努力を積み重ねてできるものであると思う。
最近、自分のなかで「センスがある」「センスがない」という言葉を使わない人たちがいることに気づいた。初期研修医に対しては「センスがある」「センスがない」と言ったことがない。「筋がいい」とか「よく勉強している」とかは言うが「センスがいい」とは使わない。「センスがある」と使っているのは後期研修医以上である。また、自分より上の先生でも「センスがない」と言うことはある(本人に向かってではない)。「センスがある」というのは上級医に対する最上級のほめ言葉であると思っている。

2007年1月16日

麻酔科学ウインターセミナー

第7回麻酔科学ウインターセミナーがニセコで開かれる。ウィンターセミナーもすでに第7回を迎える.2001年に始まり,学会では話し合えないような深い話題や学術的ではないが麻酔科医に必要な話題を扱ってきた.ディープな麻酔科学を議論しあうセミナーとして定着してきた感がある.初期臨床研修が始まった年からは幅広く麻酔科をめざす医師,麻酔科に興味を持った研修医の参加がしやすいように,初期研修医,後期研修医が参加できる話題も扱うようになった.今年も,初期研修医や後期研修医セッションが予定されているので一般演題として応募して欲しい.
また,このような試みを報道してくださる医学雑誌や医学新聞の取材を歓迎いたします.一度,取材をかねてニセコにいらっしゃいませんか.

2007年1月13日

術中からの術後鎮痛(3)

術中からの術後鎮痛(2)で示したグラフは、管理人自身が受けた手術の時のフェンタニルの効果部位濃度の推移です。この手術で,msanuki.orgにも報告しましたように1時間後から飲食ができています.吐き気も痛みもありませんでしたし,おなかも動いていました(これに関してはまた別の機会に述べます)。
さて、脊椎手術は効果部位濃度が高めで覚醒させて+NSAIDsでいけるとして、開胸、開腹で術後は硬膜外鎮痛を使用しない場合は、術後鎮痛にはフェンタニルのIV-PCAのような鎮痛が必要になると思います。この場合においても、術中からある程度高め(フェンタニルの維持濃度は3ng/ml-4ng/ml)の効果部位濃度(脊椎手術より高目の効果部位濃度が必要)で、覚醒させなければ、PCA持続だけでは足らない状態になり、痛みがでるためPCAのボーラスをおしまくるという状態になると考えられます。できるだけ術中からの鎮痛を考えることにより痛みのない状態を作り出すことが、術後鎮痛の成功につながると考えます。レミフェンタニルを術中に使用する場合には、とくに術後鎮痛への鎮痛薬の引継ぎを意識する必要があります(術後にレミフェンタニルは使えません)。術後にフェンタニルの余韻を利用するには、術中にフェンタニルを3ng/ml程度(それ以上)で維持して、覚醒時には2ng/ml前後をめざして下げてくるとうまくいくことが多いと感じています(高齢者では覚醒時濃度はもう少し低め)。

2007年1月 7日

術中からの術後鎮痛(2)

これは,propofol+fentanylでおこなった脊椎手術症例のfentanylの効果部位濃度の推移である.2時間ちょっとの手術でfentanylは800μg投与している。

fentanylの予測効果部位濃度1.6ng/mlの時にpropofolの予測濃度2.0μg/mlで覚醒した.この時点から約3時間後に1.0ng/ml,約5.5時間後に0.8ng/mlとなる.fentanylの場合,ゆっくり濃度が下がっていくため,術後鎮痛薬を投与するまでには数時間の余裕がある.脊椎手術症例であれば、うまくすれば,このfentanylの余韻+その後に投与したNSAIDs(作用部位が異なる2剤のダブルブロック)で術当日の痛みはコントロールできてしまうかもしれない.ここで,考えるのはこの余韻の部分を大きくすることで術後鎮痛をもうすこし長く得ることができるのでないかと言うことだ.もっとたくさん術中に投与しておけば,術後にがんがんオピオイドを投与する必要はない。fentanylの覚醒時濃度>>鎮痛効果をもつ濃度で、高い濃度で覚醒する若い人には有効な方法ではないだろうか。開腹術や開胸術では、NSAIDsではちょっと無理だが、脊椎手術程度の術後痛には有効な手段ではないかと思う。(つづく)

2007年1月 4日

今年の目標

あけましておめでとうございます.年の初めに当たって,今年の目標を宣言しておきたいと思います.
(1)研修医や後期研修医のみなさんと一緒に考えていく場を持ち続けたい.
(2)麻酔科医になる多くの仲間を作りたい(麻酔科医になろうよ!!).
(3)後期研修以降の麻酔科医を自分と同レベル以上の麻酔科医にしたい.
(4)常に新たな話題を提供したい(学会でもブログでも出版物でも).
(5)麻酔科医としての活動の記録をできる限りpublishしたい.

今年は,職場環境が変わる可能性があり,そうなった場合も想定して目標を設定してみました.