指導法ワンポイント アーカイブ
2009年6月 1日
下顎挙上と頭部後屈のちがい
下顎挙上と頭部後屈の違いは何か?管理人は次のように考える。
座った状態で考えると、目は前を向いて、あごを前にスライドさせるのが下顎挙上で、目が天井をむいて頸の前面をまっすぐ伸ばした状態が頭部後屈である。
これを、仰臥位の患者さんにたいして、下顎挙上や頭部後屈をさせるとき、どのよう操作してその状態を作るかということである。
下顎部分を両手で持ち上げてアイ~ンさせる、"いわゆる、スニッフィングポジション"を作る行為が下顎挙上をする(させる)ということで、前額部(額)に手を当てて下前方に押す行為は頭部後屈をする(させる)ということになる。
頸椎の曲がりに注目してみると、下顎挙上では上位頸椎のみがすこし動いて、頸椎のその他の部分はほとんど動かない。頭部後屈では、上位頸椎だけでなく、頸椎が広範囲に動いている。
これを認識していない人が多いのには驚かされる。気管挿管時の頭位の基本はスニッフィングポジションだと思うのだが、気管挿管前あるいはその途中で、患者の前額部を手で押して後屈させようとする動きをみることがある。うまく上位頸椎のみが動いてスニッフィングポジションに近い形になればよいのだが、たいていは勢いが強すぎて頸椎全体が動いて頭部後屈と同じ状態になる。マッキントッシュ喉頭鏡で気管挿管をするには、角度が強すぎてかえって見えにくい状態になるのである。
過ぎたるは及ばざるがごとしである。
2009年5月31日
クロスフィンガーの直前
クロスフィンガーで口を開ける。というのはまちがいではない。では、その直前はどのように手を使っているのだろうか。右手は?左手は?
最近、気管挿管実習をさせるときに特に注意して教えるポイントである。
これが、実はきちんと気道を開くことができるかどうかのポイントであるのだ。
以前、クロスフィンガーの新指導要領(msanuki.net)にもヒントを書いたのだが。。。
その直前は、両手をどのように使っているかということである。
2009年5月29日
さぬキャップの発売元
「さぬキャップはどこで売っているのか」という質問を多くの方からいただいた。さぬキャップは、もともと開口操作をするための補助器具ではなく、事務用紙めくりである。名称はロイファーフィンガーキャップで、発売元は丸善らしい。管理人は、広島の東急ハンズでGETした。たぶん、東急ハンズまで出かけなくても、ちょっと気の利いた文具店ならおいているはず。
2009年4月29日
イメトレのすすめ
管理人は、これまでにいろいろなところでイメージトレーニングやオフライントレーニングの重要性を力説してきた。もっとも人気があったのは気管挿管トレーニングにおける喉頭鏡の素振りである。ここに来て、イメージトレーニングが効果的であることが証明されつつある。「イメトレは思った以上に効果的? 米大学が実験」という記事がITmedia2009/4/16付け記事で確認して欲しい。学生を被験者とし、ディスプレイ上に映った特定の文字を探し出す課題をさせた。被験者には、課題の際に「両手でディスプレイをつかんでいる自分の姿」または「両手を後ろに回している自分の姿」を想像するよう指示した(実際にそのポーズを取るのではなく、想像するだけにとどめることを強調した)。その結果、ディスプレイをつかんでいる姿を想像するよう指示された被験者の方が、文字を探すのに時間がかかったという。このことは身体近接空間(体の周りの空間)が、想像の中の姿勢にまで広がることを示唆している。このことは、「スポーツ心理学者やジョン・レノンが支持してきた『想像には現実を形作る並はずれた力がある』という考え」を確認するものであるとも述べている。
■Davoli CC, Abrams RA: Reaching out with the imagination. Psychol Sci. 20(3):293-5,2009.
2009年3月29日
研修医の「さしすせそ」
るなのひとりごとさん のところに,研修医の「さしすせそ」が出ている。
管理人もこれは昔から知っていたが,すこし変化しているようだ。
オリジナルは,
■年功序列の中で生きるための「さしすせそ」
さ: さすがですねえ
し: しりませんでした。勉強になります。
す: すいません
せ: せんせーのおかげです
そ: (なにか手技を披露した後で)そんな、こんなの大したことじゃあありませんよ
だと思います。
■学会の「さしすせそ」というのもあります。
さ: さぁ
し: 知りません
す: すみません
せ: 先生
そ: そうだったんですか
と答えておくと,一通り切り抜けることができるというワザである。しかし,これを知っている質問者には通用しないことを忘れないようにしたい。
管理人は,研修医に対応するときも学会の時にも上記の対応には気をつけるようにしている。結局,何も答えになったいないわけだから評価は良くないだろう。
最近は,ビジネスのクレームに対する「さしすせそ」が気に入っている。こちらの方がずっと誠実である。
■クレーム対応の「さしすせそ」
さ: 最善を尽くす
し: 知ったかぶりはしない
す: するな!議論をお客様とは
せ: 誠意を持って応対せよ!
そ: 即刻 関係部署 近隣へ ホウレンソウ
●クレーム対応の極意は さしすせそ で覚える(研修事業部長 山根暁のブログ)
●クレーム対応「さしすせそ」(クレーム処理・対応研修)
2009年2月14日
臨床教育1分間指導法(Six Micro-Skills for Clinical Teaching)
研修医を指導するのに、臨床教育1分間指導法というのがある。米国で考えられた手法であるが、現代の臨床教育でも用いられているので紹介する。管理人はこの指導法を聴いたとき、マニュアル的だなと感じたが、指導の要素を漏らさずに含んでいるので、手短に指導するときにはこれに従った方がうまくいくことが多い。しかし、うまくいくかどうかは指導医のスキルによるところが大きい。指導医自身の感情のコントロールと指導すべき内容を持ち合わせていないと、形だけまねしても失敗する。特に、研修医を責め立てる指導医は、かなりの修練が必要だと思う。いかがだろうか。
■臨床教育1分間指導法(Six Micro-Skills for Clinical Teaching)
1. Get a commitment(研修医の考えを聞く)
2. Probe for supporting evidence(研修医から根拠を聴く)
3. Teach general rules(一般論を示す)
4. Reinforce what was done right(できたことをほめる)
5. Correct mistakes(間違いを正す)
6. Identify next learning steps(さらなる学習を勧める)
実際には、
1.研修医の考えを聴く「先生はどう考えるの?」
2.研修医から根拠を聴く「なぜそう考えたのかな?」
3.一般論を示す「ここで大事なことは・・・」
4.できたことを褒める「特に、・・・は良かったね」
5.間違いをただす「今度は・・・しようね」
6.次の学習を勧める「もっと勉強するとしたら・・・」
●外来研修医教育への招待 第3回研修医とともに外来を ちょっとその前に(前編) [医学書院]
●Five Microskills for Clinical Teaching(Clinical Teaching Handbook)
●The One-Minute Teacher:Six Microskills for Clinical Teaching(PDF)
2009年1月25日
後手後手(ごてごて)の麻酔
久しぶりに、すごい「ごてごて」のますいを見た。「こてこて」ではなく「ごてごて」である。「こてこて」とは関西人の度合いを示すものであると認識しているが、その「こてこて」ではなく、「ごてごて(後手後手)」である。「ごてごて」には、(1)「こてこて」を強めていう語。ごってり。(2)くどくどと言うさま。という意味もあるので、漢字で「後手後手」と書いた方が、いいだろう。
「後手後手」の麻酔は、管理人がもっとも嫌う麻酔である。なぜ、後手に回るのか?それは、術野で何をするのか、患者がどのように変化するのかが理解できていないか、麻酔薬の使い方がわかっていないか、モニターの見方がわかっていないか、そのすべてがわかっていないかである。そうでないとすれば、後手の麻酔であることが日常茶飯事で、そのことを重要視していないかである。はじめの方の理由であれば、教育をすることで治る可能性はあるが、後ろの方の理由では教育も無理である。まず、自分の麻酔をブラッシュアップしようという気持ちがなければ治らない。常に、これで良かったのだろうかという振り返りの気持ちが大切なのである。上手な麻酔を見学して、自分の麻酔を振り返るチャンスが必要なのかもしれない。
あまり「ごてごて」いいすぎると嫌われるのでこの辺で・・・
2009年1月 9日
エアラリマ
エア挿管は、教えているがエアラリマは教えているところは少ないだろう。エアラリマだって、エア点滴確保やエア動脈ライン、エア内頚静脈穿刺だって可能である。エアものの注意点は、手技の確認だけにならないで欲しいということである。どこで何をとって、何をいれるだけではいけないのである。エアギターが、本当に弾いているかのように見える、いや、本物以上に臨場感があるのはその特徴をよく捉えて、オーバー気味に動作を目立つように、かつウソっぽくないように微妙な手つきで行っているためである。それと同様に、本物のエア挿管やエアラリマだって、本当にやっている様に見せて欲しい。エアができるのは、本当にその手技のコツを理解しているからだと思っている。
よく見ていると、初心者のエアものは、"手つきが怪しい"。この手つきの怪しさが、なくなったとき、その手技をまともに理解していると評価してよい。指導の皆さんは、エアものの評価をするときにもう少し、コツや感覚などを入れて教えてはいかがだろう。エアものを教えるだけでも、研修医の先生たちと細かい話ができますよ。
それからもう一つ、エアものははじめ、道具を使ってやってみたのち、道具なしでできるように練習するのが王道です。道具や人形(模型)を使ったエアラリマから道具を使わないエアラリマへという流れです。
2009年3月11日
よそゆきの演題とふだんの演題
何か一般演題を出さないと学会に出席しにくいご時世である。それが、勉強のきっかけになり良い麻酔科医になればよいのだが、学会に出席するだけに演題を作った場合には、その内容に関してはとりあえずの内容である可能性がある。そんな、不純な動機で演題を作成しても学会発表で座長に元気づけられて、まとめてみると良い研究に発展することもある。まず、不純な動機であっても出してみる気持ちになることが大切だと思っている。
さて、その演題を作成するに当たって、若手の先生は「よそゆきの演題」になりがちであると思っている。普段、あまり考えたこともない内容を演題のテーマに選んだ場合には、どこか深みに欠ける。ふだん考えていることを演題テーマとして選んだ場合、「ふだんの演題」の場合は、内容が詳細に及ぶため良いテーマに発展しやすいと思っている。いつも考えていることを、すなおに演題として仕上げればよい。
2009年1月 8日
あらためて、攻める麻酔
ある日の話。場所は不詳。麻酔科専攻医(3年目)の先生が麻酔を終了してリカバリールームで、患者さんがシバリングをおこしていた。そこに、通りかかったある麻酔科専門医先生が、厳しいコメント「術中から攻めとるんか?」。アルチバだからというのはいいわけにはならない。体温の低下があればアルチバでなくてもシバリングは起きる。「術中から攻める」というのは、管理人も常日頃行っていることだが、攻めの姿勢がない場合は、覚醒してからそのようなイベントが生じる。
「術中から攻める」ことは、当たり前であるが、麻酔に集中していなければ、攻めることはできない。また、どんなことを、どんな対応をすれば攻めることになるのかというのも、麻酔科専門医として考えるべき問題である。「術中から攻める」というのは、そのときそのときにできることを、きちんと積み上げたときに出る結果であって、何も変化がないように見える麻酔管理のなかで、常に自分が「攻めている」実感をもてることが大切である。なにか起きたときには、その前の対応がまずいのである。
「術中から攻めとるんか?」:これは、使える言葉である。
2008年11月 6日
3分間砂時計GET
本日、ようやく3分間砂時計をGETした(ちょっと遅い?)。Y社の方曰く「なかなかつかまらなかった」とのことで、管理人に手渡すのが遅れたそうだ。この砂時計、AP通信で9月に話題になっていたものである。SATチームの管理人であるが、こういったアナログ的なものも意外に好きである。さて、この砂時計レミフェンタの半減期を計れということである。Ap通信にもかかれているが、レミフェンタニルは投与し続けても、CSHTがほとんど変化しない(3分)ため、OFFにしてから血中濃度が半分になるまでの時間が、3分計で計れるのである。現在、0.3μg/kg/min(定常状態)で投与していたとしよう。現在の予測血中濃度は、0.3×25=7.5ng/ml程度である。ここで、offにしたとすると、半分の3.75ng/mlになるのに3分、その半分の1.875ng/mlになるのにさらに3分、その半分の0.9375ng/mlになるのに3分とすると9分で1ng/mlを切る計算である。
また、導入時のレミフェンタニルを0.5μg/kg/minで開始、砂時計スタート、3分後に0.25μg/kg/minに減量すると、6ng/mlになるというシミュレーションがある(電脳麻酔ブログ:ヤンセン砂時計の使い方)。このタイミングを計ることができるのである。ストップウオッチでもよいのであるが、砂時計がおちるまでというのがせせこましくない。ストップウオッチだと競技のようで管理人は好きではない。今時はやるもの。それは砂時計である。
2008年9月17日
戦いは、手術の前から始まっているぞ!!
先週、初期研修医が麻酔導入した後に、ボーッとしてたので、いつものノリで「戦いは、手術の前から始まっているぞ!!」と言ったら、研修医にではなく、そばで聞いていた看護師にえらくうけてしまった。「さぬちゃん語録」に記載されたらしい。
最近、研修医に説明していると看護師が耳をダンボにして説明を聞いているのがよくわかる。研修医向けの説明は、看護師にもちょうどいいぐらいの難易度らしい。それを逆手にとって、今の病院に職場が変わってからわざと、大きめの声で研修医に説明するようにしている。もちろん、看護師で耳をダンボにして聞いている人たちのためにだ。それが、今回はうけたらしい。
外勤先の病院でも、いろいろ聞かれることがある。初期研修医に教える程度の内容を、求められることが多くなった気がしている。たしかに、いろいろなレベルの看護師さんがいるが、以前よりバリエーションが出てきたのは事実である。うっかりすると、かなり高度な内容を要求されることがある。
2008年7月19日
初期臨床研修制度の不具合の修正?
2008/7/18に開催された 厚生労働省の医道審議会医師分科会(医師臨床研修部会)で、来年度の研修から、スーパーローテーション方式の現行制度を見直し、特定の科に重点を置いた研修を実施できるようモデル事業を行うことが決まった。さらに、地域枠・奨学金を受けている医学生については、マッチング制度の対象外とすることが決まった。総合的に患者を診ることができる医師を養成するという卒後臨床研修の大義名分が崩壊するに等しい。スーパーローテーションではなく、実質的にストレート研修になるからである。管理人は、元々、総合医が2年で養成できるとほ思っていなかったのでスーパーローテーションには大反対である。形だけスーパーローテーションをしてみても時間の無駄である。むしろ、その分興味がある専門科の研修をした方がよっぽど、研修医には役に立つ。強制的に総合医を養成するという大義名分で2年間しばりつけてもならない。なぜ、総合医を養成したかったのだろう。地域医療のためだとすれば、本末転倒である。そうではないとしても強制的に総合医を養成するのではなく、総合医が魅力があることを示して、それに向いている資質の医師を養成すべきである。
一方、スーパーローテーションを行うことで明らかになったことがある。それは、仕事がきつい診療科は人気がないということ。しかし、これもおかしな話で、仕事がきついから選ばないというのはいかがなものであろう。医師の仕事自体、きついものである。そういう職業であるはずだ。ある程度の負荷はあるはずだが、その先にはしっかりとした信頼できる医師像が形成できるはずである。あるレベルを乗り越えないと、きちんとした医師にはならない。何科を目指すにしてもそうであろう。
さらに、おかしいのは初期研修医制度のみマッチングして、あるていど広くシャッフルしておいて、その後のコースは、ご自由にというところである。これでは、都会に偏在するのは目に見えている。誰も、地方都市にはあつまらない。しかし、医療というのは、その土地土地にローカライズされて存在していることを忘れてはならない。初期臨床研修のマッチングをある一定の範囲内(地域)にローカライズさせるべきではなかろうか。
そのための、魅力ある初期研修プログラムとしては、独自のストレート研修でなかろうか。スーパーローテーションしたい研修医はそれを選べばよろしい。ストレート研修したい研修医はストレート研修をえらべばよろしい。どう見積もってもストレート研修の方が研修医も指導医もやる気が出るはずである。
初期臨床研修プログラムのスーパーローテーションは、至る所で評判が悪い。
今回の不具合の修正は、大学病院限定の措置だが、もっと一気に日本国中の初期臨床研修病院で同じことをしてみるとよいのではないだろうか。
管理人は、新たな初期研修制度の動きに注目している。そして、スーパーローテーションのマッチングが最終的には廃止されるのではないかという期待を抱いている。
2008年7月 3日
がんばりましょう、その後
以前に、「がんばりましょう」は全身麻酔を受ける手術直前の患者にはふさわしくないことを書いたが、その後に気づいたことがある。病棟看護師の中に、数人、「がんばりましょう」と言わない看護師がいる。数人のうち、何人かに聞いてみた。どうして「がんばりましょう」と言わないのか。やはり、がんばりましょうはおかしいとの答え。もう一つわかったことがある。ある一定期間、手術室での勤務経験があるということだ。たしかに、患者を受け入れる側の(ある程度経験のある)手術室看護師は「がんばりましょう」とは言わない。手術室看護師といえども、新人は別である。
これらを考え合わせてみると、手術室でどんなことをするのかが、きちんと理解できているということが、大切なのではないだろうか。中堅までの外科医は、やはり、手術や麻酔というものを(きちんと)理解できていないのではないか。という疑問がわいてきた。
しばらく、外科医と看護師の観察を続けてみようと思う。
2008年5月20日
会長企画:工夫とロジック
第55回日本麻酔科学会学術集会で 緊急公募していた、会長企画"私のテクニック:工夫とロジック"に管理人の「新人への気管挿管事前トレーニング~喉頭鏡の握り/素振りとエア挿管~ 」が採用された。喉頭鏡の握り/素振りの指導法をはじめて公開します。お楽しみに。
6月13日 (金)13:30~15:15 中央特設会場
2008年4月30日
系統講義への挑戦
昨年から,勤務先が大学になった関係上,医学部の学生に系統講義をする機会が増えている.単元ごとの内容で、何も知識のない学生のモチベーションを講義の最後まで維持させておくことは至難の業である。このことは、AP通信でも「自省」で痛切に語られている。以前は、講義の途中にミニテストを挟んだりすることで何とかしようと考えていたが、これは姑息な手段であると思うようになった。最近は、それだけでなく講義のはじめに少し、今回の講義が何に役立つかを話すようにしている。また、できるだけ講義中に覚える、理解するようにするために、何度も似たような図解を使用する。また、動きのあるものを必ず入れることにしている。文字だけ羅列したスライドは、まとめ用として使用するが、それだけでなく図解で内容を理解しやすくする工夫をしているつもりである。また、動画やFLASHなどを使って動きのあるスライドを入れている。学生の系統講義がもっとも難しいと思う。医師や看護師相手の場合は、聞きたい人が集まっているため、聴衆が熱心で、文字のみのスライドが中心だとしても話で何とかなることがある。また、スライドが少しぐらい綺麗でもだめなのである。これが、医学部の学生の系統講義では通用しないのだ。
2008年3月21日
TIVA教育アンケート(中間報告)
msanuki.comでTIVA実施状況と教育のアンケートを1週間ほど前から行っています。対象は(後期研修医を含む)卒後3年目以降の麻酔に従事する医師(約200名を目標)です。TIVAの実施状況と初期研修医や後期研修医以降の先生に教えるときのことをお答えいただくものです。
現在までに約100名の方にお答えいただいております。40歳代、50歳代の先生からのお答えが多く比較的若手の先生の回答が少ない傾向です。卒後3年目以降の先生が対象ですのでTIVAを行わない先生もご参加いただければ幸いです。
尚、この結果は2008年6月12日(木)に第55回日本麻酔科学会のTIVA教育に関するランチョンセミナーでご報告します.よろしくご協力のほどお願い申し上げます.
以下のURLをクリックして開始してください.
↓
http://msanuki.com/TIVAe.html
2008年3月20日
「なぜできないか」ではなく,「どうしたらできるか」
研修医の先生を見ているといろいろなタイプがいる。気になるのは、「なぜできないか」と反省モードに入ってしまう研修医の先生である。気管挿管でも中心静脈確保でも、なんでもそうであるが「なぜできないか」というのは、決まった枠に当てはめて考えるタイプである。最近の医療系の研修プログラムには型にはまったことをしないといけない場合が多い。世界標準のBLSやACLSをはじめとした心肺蘇生法しかり、初期研修プログラムしかりである。決まり事が多いのである。そのような中で、基本をマスターしつつ「どうしたらできるのか」という発想を持って欲しいと思う。「なぜできないか」というのは、それ以上の発展性はないが、「どうしたらできるか」は、工夫やバリエーションを許容する。どうしても型にはまったことを行わなければならない時には、そのようにすべきだと思うが、ある程度工夫が許されるときには積極的に工夫して欲しいと思う。
あなたは、「なぜできないか」ではなく「どうしたらできるか」という意味がわかるだろうか。
2008年1月27日
下あごの位置
msanuki.orgでは以前から,"歩き","常歩(なみあし)"について話題にしてきた."なみあし"とは"なんば歩き"などの2軸歩行のことである.さて,その常歩について扱っているブログ「常歩無限 -驚異のスポーツ上達法-」に「下あごの位置」という記事が掲載された.
超一流のスポーツ選手の顔をみると、下あごが大きく見える
選手がおおいです。
例えば、ハンマー投げの室伏選手、イチロー選手、松井秀樹
選手、さらにはスケートの荒川静香選手・・・・・・・。
下あごが大きく見えるのは、何故でしょうか?。実は、下あごが
前方にスライドしています。この状態をあごを緩めるといっています。
多くの選手たちに見られる操作です。
(中略)
宮本武蔵は「おとがいを出せ」といっています。おとがいとは
あごのこと。一般には、あごを出して顔が少し上を向くと
解釈されていますが、そうではなく下あごを前方にスライド
させることを言ったのかもしれません。
というものですが...要するに気管挿管時のスニッフィングポジション(アイ~ン)のことです.
こうすることで,気道が開通し呼吸が楽になるのではないかということです.
この下顎をスライドする動きは,気道を開通させるために大切な動きです.
管理人も,スポーツの時にも気管挿管の時にもスニッフィングポジションを大切にしています.
2008年1月28日
他人とは違った教え方ができる能力
IT理論というのを以前紹介したことがある。思い出していただけただろうか?
ITとは、Impression×Times=記憶の定着であった。ようするに、印象深ければ繰り返し学ばなくても記憶に定着しているが、そうでなければ繰り返し学ばないと記憶に定着はしないというものである。プレゼンでも、学習でも同じである。学んだことを1回で脳に定着させるには、非常に印象深いプレゼンや教え方をしないといけない。学習する側の問題ではなく、教える側の問題ということになる。そう考えるならば、うまく教えるということを特技とするのは非常に価値がある。教師としては一流というわけである。このIT理論が正しいとするならば、一定期間経過後に記憶に残っている度合いをテストをしてみればうまく教えられたかどうかがわかるのではないだろうか。
いずれにしろ、他人と違った教え方、それも印象に残る教え方ができるというのは、いつの時代も、必要とされる能力であろう。こういった、教える側の能力はもっと評価されてもよいのではないだろうか。
2007年11月28日
丸石製薬の配布している麻酔情報誌
最近(少し前から),丸石製薬が発行している麻酔情報誌のバックナンバーがPDFで入手できるようになっている.Anet(Anesthesia Network)である.もうひとつAnesthesia21Centuryというのもあるが,こちらは一部のみインターネットに公開されている.冊子体だけではなく電子メディアでも公開されていることは大変感謝したい.
また,麻酔薬に関する冊子などもPDFで入手可能である.このようなサイトでの公開は広く知られるようになれば,われわれ麻酔科医にとって大きな財産になる.
2007年11月18日
動脈ラインのゼロあわせ
動脈穿刺には非常に興味があり率先して,穿刺に手をあげる積極的な研修医が多い.麻酔科だけではない救急領域でも同様である.しかし,準備に関しては興味が無い.穿刺前に動脈圧とモニターとの接続コードの接続がなされていないことが多い.動脈穿刺後,カニュレーションをして圧トランスデューサーのラインをカテーテルに接続しても圧波形が出ない.その時点で,接続コードがつながれておらずゼロ合わせもされていないことに気づく.何度も同じ光景が見られる.何のために動脈穿刺を行っているのかがわかっていない.手技だけマスターしたいということの表れだろうか.気管挿管の場合も同様の傾向が見られる.気管に入ればOK,入らなければダメ.それだけでは,かなりさびしい.何のための,誰のための気管挿管だろうか.研修医の練習のため?ではない.そこから認識して研修を行うことが大切である.ただでさえ,医療側のミスやトラブルには敏感な時代である.手技(穿刺や挿管)だけできても,できたとはいえないのである.
2008年2月15日
1分間プレゼンと3分間プレゼン
1分間でまとまった内容を話そうとするとき、語句の選択以外に話す順序も吟味する必要がある。もちろん、止まったり、よどんだりすることは許されない。当然、練習も必要である。同じ内容を3分で話す場合には、考えてゆっくり話しても何とかなることがある。しかし、準備すれば1分で話すことができる内容を3分かけて説明するのは疑問である。3分かけて説明した場合と、1分で説明した場合の説得力はどうだろうか。比較してみると良い。
いくら、普段から意識せずに使っている日本語であってもプレゼンとなると、一段階、いやそれ以上の洗練した内容が要求される。
プレゼンは学会発表や毎日の症例カンファレンスのためだけではない。人を相手にする職業の人たちはすべてプレゼンがきちんとできなければ、上司や部下への報告もpoorになる。相手の理解が悪いのは、自分の伝え方が悪いのではないかとまず考えよう。
2007年11月17日
基本姿勢
回復室での光景である.当院では,麻酔から覚醒させたあと回復室に移動してモニターをつけて患者さんの回復を少し観察する.そのためには,移動させなければならない.そのときの麻酔担当医(初期研修医)と患者さんの位置関係に関してである.移動させるところまでは,ほぼ問題なく対応ができているのに,モニターをつけた後,モニターばかりをみて記録している.麻酔チャートを閉めたり,回復室記録を書かなければならないのはよくわかるが,患者さんをみているはずの医師がモニターをみている.最もよくあるのは,患者さんにおしりを向けてモニターを見て記録ばかりしている光景である.記録台は軽くて自由に動かすことができる.それをモニターが見やすい場所に動かして記録している.当然,モニターも患者さんも見やすい場所に動かすというのが正解である.
術中と違うのは回復室では,麻酔から覚醒しているのが前提なので,患者さんに声をかけることが大切である.患者さんを観察して声をかけながらモニターをつけ,記録を完成させるのが通常である.
ほぼすべての初期研修医が,この状況を指導医の先生に指摘されている.患者を診るという基本姿勢が身についていないのが露呈されている.術中には患者さんが訴えないので,仕方なくモニターを使って観察しているという状況があるのだが,何かを訴えることができる状況になっても,それをしないのは基本姿勢を見失っていると言わざるを得ない.
2007年10月23日
目標を設定する(2)
目標を設定し,達成できたかどうかを評価する.自己評価と他人の評価の両方が必要である.自己評価は自分で可能であるが,甘い評価になりやすい.必ず他人による評価を併用する.この他人による評価であるが,指導医が最もよい.この評価をもらうためには,指導医との関係を良好に保つ必要がある.指導医は研修医の目標設定のチェックとともに達成度を評価し,できていない場合は修正をかける必要がある.これは,当たり前のことであるが,周りを見るとできていないことが多いので,ここに書いてみた.
2007年10月22日
目標を設定する(1)
研修での目標を設定することは良く行われています.そのなかでも,毎日の目標や症例ごとの目標を設定することを行っていますか.目標を設定する.そしてそれが達成できたかどうかを評価するという過程が大切なのです.よく,大目標を達成した後は目標を見失ってしまうことがあります.その目標は最終目標であったということです.人が生きている限り,最終目標など無いはずです.必ず,目標を設定して物事を始めないと忙しさに流されてしまいます.
2007年10月 6日
DVDでみる経食道心エコー法アドバンス
「経食道心エコー法マニュアル(改訂第3版)」の著者,渡橋和政先生の本.臨床現場で実際に遭遇する可能性のあるシナリオを選び,TEE活用のタイミングや具体的方法, pitfallなどについて,動画を参照しながら学べるようになっている.付録DVDには560本もの動画を収載しており日本心臓血管麻酔学会の認定試験(JB-POT)のビデオ問題対策にもなると思う.
■DVDでみる経食道心エコー法アドバンス 渡橋和政 2007年09月
B5版 228ページ ISBN978-4-524-24745-5
\13,650
カテゴリー
このカテゴリーの記事一覧
- 下顎挙上と頭部後屈のちがい
- クロスフィンガーの直前
- さぬキャップの発売元
- イメトレのすすめ
- 研修医の「さしすせそ」
- よそゆきの演題とふだんの演題
- 臨床教育1分間指導法(Six Micro-Skills for Clinical Teaching)
- 後手後手(ごてごて)の麻酔
- エアラリマ
- あらためて、攻める麻酔
- 3分間砂時計GET
- 戦いは、手術の前から始まっているぞ!!
- 初期臨床研修制度の不具合の修正?
- がんばりましょう、その後
- 会長企画:工夫とロジック
- 系統講義への挑戦
- TIVA教育アンケート(中間報告)
- 「なぜできないか」ではなく,「どうしたらできるか」
- 1分間プレゼンと3分間プレゼン
- 他人とは違った教え方ができる能力
- 下あごの位置
- 丸石製薬の配布している麻酔情報誌
- 動脈ラインのゼロあわせ
- 基本姿勢
- 目標を設定する(2)
- 目標を設定する(1)
- DVDでみる経食道心エコー法アドバンス

