ヤブ医者とは何だろうかと考えてみた.「できない医者」のこと?と考えてみたところで,ネットで調べた.知泉Wikiによると,”「薮」というのは当て字ではないか?と言う説が現在は有力で、もともとは『野巫:やぶ』だったらしい。この『野巫』とは「田舎者の巫女:みこ」の事を意味している。当時の日本では薬学もあまり発達していなかった為に、病気になった場合、巫女が祈祷をして治すと言う習慣がまだ残っていた。そこであまり上手に病気を治せない巫女は田舎者とされていて「下手な医者」のことを『野巫』というようになったらしい。”とのこと.そして最近では藪にもなれない医者を”筍(タケノコ)医者”と呼ぶらしい.
さて,その薮医者であるが,初期研修医は”薮医者”ということになるのだろうか.ということである.いつの時点で,できなければ"藪"と認定されるのだろう.たしかに,研修医でも医師免許を持っており,保険医なので患者さんの診療を行っている.特に,夜の救急外来などでは初診を見る施設もあるだろう.
...初期研修医はまだ修行中なので”藪”ではなく”筍”という説もある.後期研修医はどうであろうか.やはりできなければ”藪”かも知れない.しかし,まだ猶予期間である.
管理人の意見は,こうである.「専門医という資格があってもできなければ,藪である」.むしろ,専門医という資格にふさわしくない力量の持ち主が藪であると思う.今の専門医制度は,基本的に再試験がない.また,我が国には医師国家試験にも再試験がない.その医師の,その時点での力量を公平な目で判断するものは何もない.患者さんの風評のみである.薮といわれないように,実力を維持していくことが大切であると思う.
研修医も進化するが,指導医も進化する.同じ指導医に習ったとしても2年前と今とでは指導内容が違う.少しずつわかりやすいように指導法を変えているはずである.少なくとも管理人は,2年前とは指導内容が違う.相手にあわせて進化する必要がある.その指導が受けない場合は,ネタを変える.何度も同じ事を教えていると,指導する側も指導に変化をつけたくなるというのも真実である.
キチンと勉強してくる研修医には教えられることが多い.勉強してくるから,疑問も湧いて質問が必ず出る.管理人は,その質問により良い答えができるよう心がけている.その心がけが,指導医を変化させるきっかけになる.
先週に引き続いて,ACLSヘルスケアプロバイダーコース(G2005)を9/8-9/9と受講した.なんと,後になって気づいたが,本日は救急の日である(9月9日).それはさておき,感想を忘れないうちに書いておきたいと思う.
BLSとACLSの違いは”身体で覚える”割合かなと思った.先週のBLSでは,ほとんど頭は使わなかった.判断を要求される場面が少ない.ひたすら有効なCRPとAEDである.心電図も読む必要はなくAEDにお任せ.こちらは,前回も書いたがビリーのブートキャンプのノリで押していけば,受講生はついてくると思う.しばらくは...ある意味,やりやすい.
年齢を超えて,職種を超えて同じノリで大丈夫だと思う.
しかし,本日のACLSはちょっと頭も使う.decision makingの場面でも,時折,悩ましいことがある.院内のチームのリーダーであるので,多くの人に遅滞なく指示を出さなければならない.G2005でのおきまりの手順に従う必要があるので,G2005を覚えたての管理人にとっては,考えながらの指示だしになる.ちょっとぎこちない.これらの,アルゴリズムを完璧に何も考えなくても反射的にできるようになるには,すこし実務が必要だと感じた.機会があれば,何回かコースを見てみたい.
もう一つ,ACLSとBLSで参考になったのは,他人のチームリーダーぶりを見ながら何回も繰り返し勉強できるという点である.これで,けっこうイメージトレーニングができる.自分がリーダーをやっているときには気づかないことを,冷静に見ることができるので,自分の番では注意して行うことができる.繰り返し学習することの大切さが,1回のコースを受講しただけで身にしみてわかった.
そして,受講生もけっこーハードだがインストラクターはもっとハードだということもよくわかった.大変ありがとうございました.
さて,これだけでは読者が満足しないので,管理人がコース中に考えていたことを少し書きたいと思う.胸骨圧迫に使う筋肉(や関節)はどこかということである.ご存じのように胸骨圧迫(心マとはいわない)は100回/分のペースで行うのであるが,もうひとつ,押したら完全に戻さなければ次を押してはいけないのである.押すときは体重がかかっているので,きんにくはそれほど使わないが,戻すときが問題である.遅滞なくリズミカルに100回/分のペースで有効な胸骨圧迫を行うには戻すときに,筋力をつかうのである.リズミカルに行うには押した後に,戻すことが常に頭になければならないのである.これは,まさにスポーツのように使用すべき筋肉,鍛えるべき筋肉を論ずるべきであろう.かりに,うまく胸骨圧迫ができるようになった疲れにくいプロバイダーを.心マスター(心マ・マスター)とよび,要領よく心マを指導できるインストラクターを心マニア(心マ・マニア)とでも呼んだらおもしろいかもしれない.さて本題に戻ろう.胸骨圧迫の時に使う筋肉であるが,押すときはどこから曲げると楽かといえば股関節である,背骨,とくに腰椎を曲げるイメージを持つと腰を痛めてしまう.戻すときは,腕が肩胛骨からついていると認識すると,肩胛骨を動かして引き上げればよい.いかがであろうか.これが管理人が2週に渡って考えていた心マスターへの道である.
昨日,レミレンタニルの症例検討会という目的で第4回広島麻酔エキスパートセミナーが開催された.広島地区の麻酔科医65名が集まって大盛況だった.広島地区は全国でもレミフェンタが多く出ている地区なのだそうだ.そのなかで,ちょっと考えさせられる演題があった.レミフェンタの導入で術中の麻酔薬剤の消費量とコストはどうなったか?というもの.使い始めの調査なのでレミフェンタノ使用量が多いのは否めないが,平均の投与速度は0.2-0.25μg/kg/min,セボフルレンの併用症例ではコストは若干下がっているがセボフルレン自体のコストは低下せず.しかし,全体の使用比率は半分になっている.鎮静剤にプロポフォールの症例が増加傾向.症例内でのプロポフォールのコストは若干低下.フェンタニルは術後PCAで使用しているためそれほど,コスト的には下がっていない.レミフェンタノ分だけがコストとして上乗せになっているという感じである.
この中で,昨日につづきセボフルレンの件であるが,症例自体の濃度は少し下がっている.全体の使用量が下がっている要因は,セボフルレンの症例が減っていることによるものである.
これは仕方ない.以前はフェンタとプロポフォールを上手に使うことができなくてTIVAをあきらめていた麻酔科医が,レミフェンタ+プロポフォールでTIVAを始めたのが原因ではないかと思う.
セボフルレンの使用量は平均すると症例内では減っていないと書いたが,おそらくセボフルレンの症例は,てんかんの手術などでセボフルレンの濃度を高濃度で維持する症例が含まれていて,その影響が出ていると思う.要するに,通常のセボフルレン+レミフェンタの症例ではセボフルレンの維持濃度は大きく下がっているとも考えられる.というのが管理人のその演題に対する考察である.
レミフェンタの使用に関しては,もう少しなれた段階の調査では,もう少し低い維持で行っているのではなかろうか.ということで,この調査年次的な経緯を見るとおもしろいと思った.各施設で行うべき調査であると感じた.薬剤使用量と使用薬剤の調査は,自動麻酔記録の導入されているところでは簡単なので,もう少し詳細なデータが出るものと思う.全国レベルでの続報を期待したい.これはもしかすると,日本麻酔科学会がまとめるべき調査なのではないだろうか.
”セボフルラン1.5%キャンペーン”というのが始まっているそうだ.ちょっとちょっとである.
電脳麻酔ブログに解説があるが,管理人もフェンタニル,レミフェンタニルを十分併用の状況では1-1.5%でよいと思っている.萩平先生の以前の解説でも1.5%はいらなかったように思う.少なくとも,吸入麻酔薬濃度を計測している限りにおいては1.5%はいらないだろう.覚醒の危険性があるのでというなら,1%以下にしないというので,よいのではないか?そもそもプロポフォールと違ってセボフルランでは術中覚醒は発生率が低く,1%を1.5%にすれば発生率が下がる?というのはどうであろうか.たしかに,濃度を上げれば鎮静は強くなるだろう.しかし,十分に鎮痛がなされている状況においては血圧も低下する.麻酔科医にとっても麻酔の維持をするのが困難な状況になるのも確かである.一律に1.5%にしようというのはいかがなものか.それよりも,きちんとモニタリングをして,いずれの条件もみたして患者さんの麻酔状態を整える濃度で使用するというのが,本来の使い方であろう.ケースバイケースである.個々の患者さんの状態を把握することができる麻酔科医の責任において濃度を上げるべきであって,一律に1.5%にしようというキャンペーンには賛成しかねる.
本日,AHAのBLSヘルスケアプロバイダーコース(G2005)を受講した.来週はACLSプロバイダーコースを受講する予定である.AHAのG2005を再履修する目的でうけてみた.以前,といっても5年も前にACLSプロバイダーコース(当然AHAではない)をうけていたのだが,最近,思うことがあって再履修する気になったのだ.DVDでデモを見せながら,一緒に実践するという形式で,まるでビリーのブートキャンプである.ちょっと違うのが,ビリーよりやっている内容が深刻だということ.DVDを見ながらグループでトレーニングを行うことに関しては,ビリーと同様の効果があるのではなかろうか.ビリーも,スタジオでいつも開催されれば続けられる人も多くなってくるのでは?と思った.ビリーの続けられないのは,自宅でできるのだが,チェックする人がいないところ.最近,ビリーのDVDを手に入れて自宅のDVDの前でTRYしようとしているのだが,見ているだけで満足してしまう.実際はやっていないのだが,やっている気になる,できた気になる.そんな効果があるように思われる.ノリはビリーほどでもないが,本日のBLSコースはビリーを,会場でそれもチェックするプログラムつきで行っている,実践プログラムであった.
そんなわけで管理人は,大変満足して帰ってきた.インストラクターの皆様に感謝します.医療系のプログラムで,久々に楽しかった(もちろんインストラクターやコース責任者のかたがたのしゃべりも大きく関与している).
昨日のつづきである.
タイミングよく,お金の取れる麻酔を実践している様子を描いた記事が出ている.「膝関節鏡と大腿神経ブロック(電脳麻酔ブログ)」である.管理人の目指している「お金の取れる麻酔」そのものである.患者だけではない,外科医からもリクエストがもらえる麻酔である.
皮肉なことに「お金の取れる麻酔」は,実際には「お金を稼げる麻酔」ではない(意味が違う).「お金をいただいても,はずかしくない麻酔」である.これを実践するには,日頃からの勉強とスキルの維持・向上が必須である.さらに,常に新しいことに挑戦する勇気も必要である.新しいことというと,JK大学泌尿器科の内視鏡手術を想像するかも知れないが,そんなできそうもないことでなく,実力に見合った範囲内での新しいことである.
むかし,先輩の先生から「お金の取れる麻酔ができる麻酔科医になれ」と言われた.最近,このことを思い出したので,ここに書いてみる.
管理人が研修医の頃,大学病院から市中病院に出向になった.そこで,今はすでに亡くなられた先輩に,「気管挿管ができるだけの医者はいらない!」といわれた.まさにその通りだと思った.決して,管理人が気管挿管のできる医者を目指していたわけではないのだが,その言葉を聞いて「これだ」と思った.要するに,専門性である.専門性をもてということ.気管挿管ができるというのは,べつにたいしたことではない.判断ができるようになることが大切である.どういう状況で,どういう患者にということの方が大切である.手技をマスターするということのみに終始してはいけない.その判断ができるようになり,特殊な手技を上手にできるようになることが本当に,気管挿管をしてお金の取れる医者ということ.
気管挿管をしてくれと依頼されて,ただ気管挿管ができるだけというのはあまりに寂しい.気管挿管の周囲にあることを多く学んで,それをできるようになるという過程が大切.その周囲にあることを深く掘り下げることが,専門性(専門医としての道)につながる.
できるとかできないとかといったことだけを考えているうちは,到底,専門性はもてない.何科であっても意味は同じであろう.
これを,麻酔という行為に当てはめてみると,全身麻酔を依頼されて全身麻酔を行うことができる.というレベルを維持するだけではいけない.同じ患者に,どのように麻酔を行えば,合併症がなく快適で満足のできるレベルの麻酔を提供できるかが大切.この満足できるというのは,時代やここの患者により異なるのである.ここまででよい,と勝手に自分で決めつけないようにしたい.
これが,「お金の取れる麻酔」であると思う.昔,麻酔を習ったので麻酔ができると思っているかた.今の麻酔ができるだろうか?このことは,自分自身でも考えて続ける必要があることだと思っている.
最近は,医療情報システムに日本語入力する機会が多いが,きちんと日本語入力ができない医師や看護師がいる.かな漢字変換の仕方が我流である.システム端末の使い方は教えてもらったことはあると思う.しかし,日本語入力の仕方は教えてもらっていないのではなかろうか.そこで,そんな心配のある諸氏に本日は日本語変換のポイントを紹介したサイトを紹介したい.こっそり勉強してほしい.
■あなたの日本語入力は間違いだらけ
快適!日本語入力(1)IME、ATOKの便利な使い方
快適!日本語入力(2)間違いに慌てるな!入力・変換テクニック
快適!日本語入力(3)辞書の精度を下げない変換のコツ
いづれも,日経PCオンラインからです.
台風の影響で中止になった広島大学病院麻酔科後期研修説明会2007が再度行われます.こちらは,8月下旬を予定しています.
これとは別に,ビール会を予定しています.初期研修医の先生も大歓迎です.麻酔科に興味のある方も歓迎します.
とき:2007/8/3(金) 19:30から(途中からの参加も大歓迎です)
ところ:焼き鳥すずき(広島市南区段原)
貸し切りです.
ここは,先日話題になった広島麻酔エキスパートセミナーの補習で話題になった焼鳥屋です.説明会ではなく、飲みたい人はお集まりください。というノリです。
管理人も参加します.
URL:http://www.sempuku.co.jp/sagaseru/shop/shop_hiroshi/minami/minami_17.htm
第1回麻酔科エキスパートセミナーの参加者数は19名でした.雨の中,参加いただきましたありがとうございました.遠方から参加するために,土曜日が希望という意見もありましたが,今年度はまず金曜日を基本に行っていきたいと思います.なお,特別セミナーは土曜日に企画しております.こちらの方にも是非ご参加ください.特別セミナーは参加登録不要です.参加登録が必要なセミナーでは,テキスト(ファイル)の送付とセミナーでの質問の後日回答の際にE-mailアドレスを利用させていただきます.
広島大学関連病院麻酔科後期研修係では,現在は別のところで,あるいは別の診療科で後期研修をしているのだが,やっぱり広島で麻酔科後期研修をしたいという方々にも対応しています.随時,見学や訪問を受け付けておりますので,お気軽に,広島大学関連病院麻酔科後期研修係にお問い合わせ(ここからメールが送れます)ください.
最近の研修医の読む麻酔科の雑誌といえば,LiSA(メディカルサイエンス)である.LiSA以外の日本語の麻酔科学ジャーナルは知らない研修医も多い.まず何かあれば,LiSAなければ成書(教科書)である.しかし,それだけでは,寂しい.PubMedで文献検索をして英文文献を引けとはいわないが,翌日の症例の予習には,日本語文献,特に症例報告を探してほしい.LiSA以前はどうしていたかというと,赤い「臨床麻酔」(真興交易)や「麻酔」(克誠堂)である.文献検索もネットでできなっかったので,研修医は「臨床麻酔」や「麻酔」の12月号についている索引を何年分もコピーして持っていた.そのなかから症例報告や特集を探したものである.LiSAもお手軽でよいのだが,それしか知らないというのはちょっと残念である.
いまは,索引をコピーして持たなくても,医学中央雑誌WEBなんてものがあるので,それで検索して必要な文献を手元に持ってくればよい.
麻酔科学後期研修医以降の先生(一部プログラムは初期研修医にも対応)を対象に、広島麻酔エキスパートセミナーを開催します。
エキスパートをめざす方あるいはエキスパートの誰もが、ちょっと気になる話題をセミナー形式でレクチャーします。開催は月に1回程度で、これからの医師、麻酔科医を養成するために必要なテーマを中心に、使える知識を使える形で提供するのが目的です。
オープンなセミナーですので、医師や麻酔科診療に関わる方ならどなたでもお気軽に参加いただけます。もちろん、初期研修医も歓迎です。
内容を理解するのに必要なテキストを配布することがありますが、いずれのコースも参加は無料です。セミナー修了後、講師に質問する時間(立食での意見交換)をもうけているセミナーや、セミナー後の補習(食事代は各自負担)をもうけているセミナーもあります。
スキル:医師・麻酔科医に必要なスキル
理論と実践:理論と実践シリーズ
特別:特別セミナー
の3タイプのセミナーがあります。
テキストの準備の都合やお知らせしたいことがありますので事前申し込みを行ってください.
申込等は下記のリンクをご覧ください.
「超音波ガイド下区域麻酔法」DVD付きが克誠堂から出版された.この書籍,本は大きくて白黒でじっくり勉強するための本というイメージである.以前に発売された「超音波ガイド下神経ブロック法ポケットマニュアル 」(克誠堂)は手術室に持ってはいるような雰囲気であったのに対して今度のは対照的である.
「超音波ガイド下区域麻酔法」DVD付きの良さはなんといっても付属しているDVDで動画が見られることである.こんな本は世界中探してもないだろう.日本語で超音波ガイド下神経ブロックの動画が解説付きでみられるなんて,すごいことだと思う.すばらしい!
超音波ガイドで神経ブロックを目指している方々,すべてにオススメである.買って損はない.
本日から札幌で日本麻酔科学会第54回学術大会が開催されている。管理人も、参加中。AIRWAYスコープの対抗機種、AIRTRAQが展示されている。もうすぐ日本でもMERAが販売するそうである。価格は本体が¥11,000(ディスポーザブル)、カメラが約\120,000(定価)だそうである。カメラがなくても本体だけでも気管挿管が可能なのがよい。AIRWAYスコープは約80万円なので、対抗機種にはならず、AIRTRAQの方がずいぶん安価である。操作性は、AIRWAYスコープの方が慣れているせいか簡単に感じた。AIRTRAQは操作性がいまいちの様な印象だが、ちょっと扱ってみた限りでは合格範囲内である。これなら外勤先の病院に、買ってと言ってもお願いしやすい。
気道確保の時に下顎を前方に突き出す動作を,ある先生は「アイ~ン」と表現する.本日,ある麻酔看護セミナーでこの表現を聞いたとき,管理人はおかしくて笑いをこらえるのに苦労していたのだが,看護師さんには全然うけない.なぜなんだろう?志村けんのバカ殿様を知らない?と一瞬考えたのですが,そんなわけはない.やはり,「アイ~ン」の動作の意味がわかっていないのではなかろうか?管理人は「アイ~ン」と同様の動作をゴリラのようにとかオランウータンのようにとか表現することがある.(ゴリラさんとオランウータンさんごめんなさい.)それよりも,あの「アイ~ン」の方がぴったりする.下顎をつきだして下の歯が見える様子などは,まさに「アイ~ン」そのものである.この「アイ~ン」がわからない人は,おとがい挙上(スニッフィング)の意味がわかっていないのではなかろうか?
英文文献の検索にPubmedを利用することは日常になっていると思いますが,モバイルpubmedはいかがでしょうか.手元にあいているPC端末がないときにちょっと検索できます.PalmやWindowsMobileでPubmedを検索できるものが出ています.ご存じでしょうか.ソフトウェアをインストールするものとWEBブラウザの表示をモバイル用に変更してあるものがあり後者では機種に関係なく使用できます.PalmやWindowsMobileでない,たとえば管理人のようなnokia E61などのシンビアンOSでも後者が使えます.表示したホームページの右上の方法です.
先日、麻酔科を回ってきた医学生の人たちと話をしていて、オタクとプロフェッショナルの違いが話題になった。非常に専門的な話になると「オタク的な話」として、目が輝いてきて聞き流しモードになる。ありふれた話をすると、眠たそうな目になってしまう。管理人は、「オタク」という言葉よりむしろ「プロフェッショナル」が好きである。たしかに、独自性のある場合には「オタク」度は高いが、本当の意味では「オタク」ではない。仕事として認められているならば「プロフェッショナル」が正しい。Wikipediaでオタクを引いてみると”「広義のおたく」では「社会一般からは価値を理解しがたいサブカルチャーに没頭しコミュニケーション能力に劣る人」というネガティブな見解から「特定の事物に強い関心と深い知識を持つ一種のエキスパート」であるといった肯定的な主張まで、オタクの意味するところは人により大きく異なり定っておらず論争も多い。”との解説もあり、広義の意味で肯定的な用法とすれば、「プロフェッショナル」を「オタク」呼んでもまんざら間違いではない。
話が脱線したが、医学生を相手に解説するとき、ありきたりの話ではなく、すこし込み入った話を易しく解説することでずいぶんコミュニケーションがとれるようになる。いわゆる「お勉強」とは違った雰囲気を出すと、効果的である。医学生や初期研修医の相手が嫌いな(苦手な)先生は、相手を自分の土俵に引き込んではどうだろうか。
電脳麻酔ブログに「キセルとチャンポン」が紹介されている。キセル麻酔はおなじみだが、チャンポン麻酔とはいかなるものか。電脳麻酔ブログによると、アルチバで鎮痛のそこあげをしておいて、フェンタニルを適宜追加していく方法を指すらしい。アルチバを笑気のような感覚でベースに流しておき、その上に使い慣れたフェンタを追加するというもの。強い侵襲が加わったときにはアルチバのボーラスで対応しておきフェンタも追加する。じつは、この方法は管理人も最近、愛用している方法でアルチバの使用量を減らすメリットと覚醒時のシバリングがおきないメリットがあると考えている。フェンタ使いの管理人には非常にやりやすい方法である。こちらでは「上乗せ(うわのせ)オピオイド」と呼んでいるものである。アルチバの最後の乗り換えを麻酔のはじめから行っている感覚である。
もう一つ、最近行っている方法は、「ダブルキセル」である。オピオイド(鎮痛薬)のキセルはもちろんだが、鎮静薬のキセルも行う。このことをダブるキセルと呼ぶ。フェンタ-アルチバーフェンタのキセルと、プロポフォールーセボフルレンープロポフォールである。鎮痛薬の方は、コストは度外視、鎮痛薬の方はプロポフォールの消費量を減らすためセボフルレン(2L/min中流量)を併用する。まあそこまでこだわらなくてもよいが、手術が長くても少々肝機能が悪くてもプロポフォールを500mg以内(導入時に用意したTCI用の50mlを1本)で終わらせるので覚醒が遅くなる心配は少ないし、無駄がない(ゼネカさんごめんなさい)。
最近は、ダブルキセルのオピオイドを上乗せ麻酔としているのでもっとお安い。学術的な意味づけはこれからであるが、アルチバの乗り換えの一つの方法として「上乗せオピオイド」はお手軽で先に書いたようなメリットが期待できると考えている。いかがだろうか。
アルチバ(レミフェンタニル)のコントロールにはTCIは必要ないという意見が多い。ただし、血中濃度がどれくらいになるかを知っていればの話である。麻酔電脳ブログでもかかれているのだが、
投与速度(μg/kg/min)の数字×25が平衡になった時の血中濃度(ng/ml)になると覚えておけばよい。
0.2μg/kg/minで投与するなら5ng/mlになるということである。もう少しいうと、μg/kg/min計算はアルチバを100μg/mlに希釈(2mgを20ml、5mgなら50mlに希釈)する場合、0.1μg/kg/min ⇒ 0.06×体重(kg) ml/hrである。50kgの場合3ml/hrで投与すれば0.1μg/kg/minである。0.5μg/kg/minなら 15ml/hrである。
AP通信に国立循環器病センター麻酔科の内田先生が開発されたpkBOXが出ています。これは、シリンジポンプから通信でデータをもらい、予測の血中濃度やeffect siteの濃度を表示するものです。製作にはケースの工作や数百カ所のハンダ付が必要になります。管理人は、今度の日本麻酔科学会でpkBOXの工作とその注意点について一般演題で発表の予定です。現在、内田先生の製作されたオリジナルのpkBOXが5台、管理人の製作したpkBOXが2台で計7台が世の中に存在しています。
ちなみに、AP通信のものは手で持っていますが、管理人のは点滴台にマウントできるように、シリンジポンプの余った架台を使って工作しています。
アルチバの使い方で、Transient(transitional) opioidという方法がある。アルチバをoffにする前に、鎮痛作用時間のより長い、フェンタニルやモルヒネなどに乗り換えることをさす。乗り換えるという言葉を使っていたら、「キセる」に似ていることに気づいた。以前、セボフルランのキセる麻酔を紹介したが、アルチバもキセると簡単である。はじめと、終わりはフェンタニルで途中はアルチバでというのが、アルチバのキセる麻酔である。慣れていないうちは、フェンタで導入しその後アルチバの持続を始める、術中で侵襲が大きいフェーズにはアルチバで行うが、最後にアルチバからまたフェンタに乗り換える、キセる麻酔を行えばよい。だんだん慣れてきたら、導入にもアルチバを使い、最後だけフェンタに乗り換える。
「キセる」と「乗り換え」はいずれも電車の用語のようである。キセル乗車、電車を乗り換えるなどと使う言葉である。
管理人は、アルチバの使用量を少なくするため(残液を出さないために)に1本単位で、きりのよいところでフェンタに乗り換えてしまう。
日経メディカルから「頭で理解し 身体で覚える 気管挿管トレーニング DVD」がいよいよ3月25日に発売されます。どうしたら気管挿管ができるようになるかを追求したDVDです。上記のURLからサンプル画像が見られます。初期研修医、救急救命士をはじめとして、普段、気管挿管をおこなっているがなんとなくやってきた医師にも対応しています。教科書には書かれていないトレーニング法を満載しました。やみくもに練習してもダメです。きちんとできるようになるには、それなりの知識が必要です。わかっているつもりでわかっていない方の”こそ勉”にも役立ちます。
指導者が,初心者にステップを踏んで教えるときにも役立ちます.これまで何気なく教えていた(教えられていた)ことが,DVDの解説により”すっきり”します.
このDVDでは、マッキントッシュ型喉頭鏡を使うことを前提に、基本的な挿管手技のトレーニング方法を紹介しています。喉頭鏡の仕組みとその正しい使い方、初心者が試みるときに注意すべき点、人形での挿管トレーニングの限界などについて解説。DVDで紹介したトレーニングを行うことで、気管挿管がスムーズにできるようになります。
<主な内容>●これが達人の技だ! 模範演技 ●讃岐流トレーニングのポイント ●喉頭鏡の仕組みを知れば挿管は簡単 ◆喉頭鏡の仕組み ◆立ち位置&姿勢 ◆挿管時の頭位 ◆開口操作 ◆喉頭鏡挿入&喉頭展開 ◆気管チューブ挿入 ●達人への近道 ◆人形の限界を知る ◆達人直伝!自主トレメニュー ◆準備は万全に ●達人の技 ポイントチェック
ちょっと前、食道誤挿管に気づかず患者を低酸素症に陥れ意識障害になったとの報道があった。CO2濃度が低かったが、重症ぜんそく発作と思いこんだとのことである。思いこみによる単純ミスともとれるが、真相はわからない。食道挿管した場合、CO2は全く出ないかといえば、そうではない。かすかに呼気CO2モニタでも山が出る。これを見て、重症ぜんそく発作と思いこんだのかもしれない。
幸いなことに、管理人はこれまで食道挿管に気づかずに放置したことはない。逆に、ぜんそく発作を食道挿管と思いこみ再挿管したことは何度もある。研修医の頃から、気管挿管後におかしかったら食道挿管を疑って何をさておいても、即、再挿管を実践してきた。自信が持てなかった時には、気管支ファイバーでのぞいてみたりもした。
重症ぜんそくなら、気道内圧は高く、呼気CO2がほとんど出てこないはずである。食道挿管なら気道内圧ははじめは低いはずである。よほど、マスク換気時に胃内にガスを送り込んでいなければはじめは低く、人工呼吸器で送っているうちに高くなるはずである。
きっと、ぜんそくの既往がある患者さんだったに違いない。ぜんそく、ぜんそくと既往症を復唱しているうちに思いこみ勘違いの悪いサイクルにはまったのではなかろうか。
このような換気ができないという危機的な状態で、パニックに陥ったときの心理は、計り知れないものがある。
とにかく、おかしかったら再挿管である。
昨日、挿管人形では気管挿管はうまくならないと書いた。さらに、AP通信では"挿管人形ではうまくならない!"という記事を書いていただいた。実は、ここに書いてあるすべて+αの挿管人形の欠点について、3月25日、日経メディカルから発売予定の管理人が主演 兼 監修の「(頭で理解し身体で覚える)気管挿管トレーニングDVD」に動画で盛り込んであります。また、これまでの初期研修医の指導の中で、管理人が開発した気管挿管トレーニングの方法を詳細に述べました。msanuki.bizにある様な、素振りやエア挿管も入っています。これまで、麻酔科医が教えてなかったトレーニングです。
なぜ、研修医が気管挿管の上達が遅いかと言えば、まず第一に気管挿管実習に来る救命士とちがって切迫したものがないからだと思います。救命士の方々は、私がアドバイスする一言一言を大事にして次の挿管では、必ず欠点を克服しているのですが、研修医にはそれがない場合が多いのです。2ヶ月(うちの病院の麻酔科ローテーションは2ヶ月)もすればうまくなるだろうと思っているのかもしれません。スポーツと一緒で、うまくなろうと思えばオフトレが必要です。ここのオフトレが十分できているのが救命士、不十分なのが研修医です。やはりステップを踏んでトレーニングすることが重要なのです。
どうしてマッキントッシュ喉頭鏡で喉頭展開ができるのか。どの方向に入れてどうすれば展開がうまくいくのかがわかるには、静的な解剖だけでなく、動的な解剖がひつようです。それを前もって学習するには、注意すべき点を予習しておくことが必要なのです。また、麻酔科医(達人)が行う気管挿管を、鋭い目でじっくり観察することも必要です。
ですから、頭で理解し身体で覚える気管挿管です。マッキントッシュ喉頭鏡の構造や仕組みを知らずして気管挿管はできません。握り方、力を入れる方向を知らずして展開はできません。開口してから喉頭展開までのフェーズごとのポイント(チェックする点)を知らずして上達はありません。開口から喉頭展開までの一連の動作は、プロの麻酔科医が行えば一瞬でおわります。しかし、その一瞬をコマ送りにして頭の中でポイントをつかむことができれば、プロの麻酔科医の挿管のまねができます。
結局、救命士は時間をかけて事前に勉強している分だけ、このフェーズごとのポイントを克服する目がついているのです。それが気管挿管の上達の違いだと考えています。これが救命士と研修医の上達の違いの第二の理由です。
挿管人形での実習に関して、AP通信では少しふれている。挿管人形での実習をたくさんやったからといって、決して挿管は上手にならない。挿管人形のだめなところを認識していなければだめだ。管理人は、挿管人形で挿管ができた研修医には××をつけている。挿管人形の悪い点(実際のヒトと異なる点)を述べることができれば、点数は復活する。挿管人形での練習には限界がある、手順を覚えるという意味では有用だと思うが、挿管人形だけでは悪いクセがつくだけであると思っている。挿管人形での挿管は簡単である。逆に下手なヒトは、挿管人形でのコツがわからないだけである。実際のヒトでの気管挿管はバリエーションがあり、そのバリエーションを吸収して気管挿管ができなければ気管挿管ができるとは言わない。舌をよけることができない。舌がつぶれる。上位頸椎だけが異常に後屈できる。口が開けにくい(逆に首を思いっきり後屈して折ることで自然に?開口する)など、欠点をあげればきりがない。最近は、ちょっとましな黒い挿管人形が出ているようであるが、少しましな程度である。
学会発表,院内カンファレンス,麻酔科でのプレゼンテーション,指導医への報告,すべてがプレゼンだとすると如何に多くのプレゼンの機会があるか.
人にわかりやすく手短に説明するにはを追求すればプレゼンはうまくなる.そこで,プレゼンをする上での3つの要素について考えてみたい.
1.示すべき資料
2.口頭での説明
3.質問の受け答え
いずれ場面でも,何かを指し示して解説するには,資料と口述が必要で,その後には必ず質問形式の受け答えが必要である.1.は上司への報告やミニカンファレンスでは作成しない場合も多い.示すべき資料がない場合には,如何に口でうまく説明できるかが勝負である.3.の質問の受け答えでも資料は提示しないことが多い.資料の作成も重要だが,口頭での説明が上手でなければプレゼンはいつまで経っても上達しない.学会などの定型的な発表は最も簡単である.それに引き替え,口頭ですべてをすまさなければならないプレゼンほど実力が必要である.どの順番で,なにに重点を置いて話すか.どんな口調で話すかが大切である.資料を提示しない他人のプレゼンを聞いてみよう.わかりやすいだろうか.棒読み風ではないだろうか.強調すべき点はどんな調子で述べているだろうか.滑舌はよいだろうか.管理人は資料のないプレゼン(特に,朝の症例プレゼンテーション)では,目をつむって聞いている.そうすると,その人がわかりやすいプレゼンを意識しているかどうかが判定できる.
初期研修ではどうしても見学が主体になってしまう診療科があるようです。そんな診療科を回った後に、当院の麻酔科に研修に来る研修医はたいてい、「ボク(ワタシ)がしていいんですか?」という反応を示す。難しい手技や合併症を起こすのでなければ、「やってみればいいじゃん」と答えている。特に、患者さんへの問診や診察は、きちんと受け答えできれば受け入れてくれる患者さんがほとんどである。研修医であることを堂々と告げればまず問題ない。医師免許を持っているのだから、研修医といえども医師に違いはない。ただ、患者さんに対する受け答えは前もって練習しておく必要がある。
第7回麻酔科学ウインターセミナーが,現在,ニセコで開催されている.AP通信でも実況中継をしているが,今年もすばらしい内容である.学会では質問できないことでも質問できてしまうのが,このセミナーである.AP通信の先生の講演もすばらしかった.ブログで早くからプレゼンの準備をしているといわれていたが,たしかに手の込んだプレゼンであった.緑のレーザーポインターを持っていたのは管理人とT先生の2人のみであったらしい.やはり,ちょっとだけレーザーポインターを使うのは有効な手法なようだ.緑だと,非常に見やすい.絶対,緑である.
それから,毎年,ベストプレゼンテーション賞をポスター演題に対して発表しているのですが,今年もなんと旭川医大からの演題が1位に輝いた.研修医セッションの第1位は東京女子医大からの演題であった.再受賞を妨げないので,ぜひ,何度でも賞をめざして欲しい.
管理人主演、監修の気管挿管トレーニングDVDの制作が進行中です。かなりいい具合にできています。
4月までには某社から出る予定なので、もう少しお待ちください。素振りやエア挿管なども登場します。ポイントは「さぬちゃん」キャラが出てきて解説します。初期研修医の皆さんに教えてきたトレーニングの集大成です。救急救命士、初期研修医をはじめ、臨床研修できちんと学べなかった、何となく気管挿管をやっている方々にも基礎からみっちりトレーニングできます。気管挿管のイメージがつかめます。気管挿管のいわゆるオフトレです。DVDをみてポイントをつかんで実践できる内容です。「頭で覚え、体で感じるトレーニング」です。詳しい内容や紹介サイトができましたらまたお知らせします。お楽しみに。
待望のレミフェンタニルが1月22日に発売されました。管理人のレミフェンタニルのへの期待としては、フェンタニルでは難しかったものから挑戦したいと思っています.導入時,気管吸引時,抜管時の循環変動には有用でしょうね.これまで,導入時は思い切ってフェンタニルを投与していたかたも,抜管時にはちょっと弱気になる場合が多かったのですが,これからはレミでいけますね.また,昔,深麻抜管なんてよばれていた手技の時にも有用ではないでしょうか.吸入麻酔薬の単独の深い麻酔よりもレミ併用麻酔で行ってはどうかと思います.ファイバー挿管などにも有用そうですが,導入時の鉛管現象と自発呼吸の消失には気をつける必要があります.
鉛管現象はbolusでいれたり,注入速度が速いと起きます.このときにはフェンタでも経験するように全く換気ができなくなるので,慣れないうちは筋弛緩薬を使う麻酔に使用する方が安全なようです.
循環への影響としては徐脈です.
術中の使用に関しては,フェンタニルと同様ですね.しかし,鎮痛作用はすぐに消失しますので,術後鎮痛を術中から考えておかないと,麻酔覚醒時に痛がって覚醒してくる場合が要注意です.要するに,痛ければ鎮静剤がたくさん残っていても目が覚める可能性があります.
静脈麻酔薬投与時の基本的な注意ですが,点滴(キャリアウォーター)がなくなってしったり点滴が逆流していると投与速度が落ちます.そのときには,側管から入れている薬物の濃度が下がりますので,レミフェンタの場合は,気づくのが遅れると大惨事になる可能性があります.プロポフォールは白いのですがレミフェンタは透明なので,下手をすると循環変動や体動で気づくことになりかねません.キチンと点滴ルートの落ちを確認しましょう.安全のためには輸液ポンプにつけた点滴ルートの側管から投与することも必要かもしれません.
「センスがある」という言葉をつかうことがある。「あの先生はセンスがある」とか、「センスが感じられない」といった使いかただと思う。このセンスは、おそらく感性という意味を含んでいるのだろう。通常は物事の見方や考え方のスマートさに使う言葉であるのだが、臨床医学領域では(少なくとも私のなかでは)、先を見通せて現時点での手技や医療行為(または考え方)が理にかなっている状態をさすことがある。もてる知識の幅が広く、その知識をその時々に応じて適切な部分を引用しつつ、物事の推論や判断をできる能力ではないだろうか。また、手技や医療行為に関しては技術的なこつを心得ていると思わせるものがあることである。知識やコツは、ある程度の努力によって身につけることができるが、それらをどう組み合わせて適用するかは努力によっては身に付かない部分である。この部分が優れている人がセンスがいいと言うことになる。このセンスがいいというのは、要するにセンサー、sensoryがとぎすまされている必要がある。感覚神経といってもよい。物事(人がやっていること)をみてなにも感じないというのは、ちょっと問題である。感覚神経のとぎすまされた人は、常にsensoryが働いていて真剣に観察している。手技であれば、動作だけでなく力のいれ具合であるとか、方向、深さ、距離、わかれば筋肉のうごきなどである。また考え方に関しては途中が省略されて出力されることが多いので、その考えに至った途中の省略された部分を質問することで、そのセンスを身につけることができるのではないかと考えている。その、努力ができるかどうかもsonsoryの問題であるのでsensoryの欠如している場合は、どうしようもない。医師のセンスというのは、そのような努力を積み重ねてできるものであると思う。
最近、自分のなかで「センスがある」「センスがない」という言葉を使わない人たちがいることに気づいた。初期研修医に対しては「センスがある」「センスがない」と言ったことがない。「筋がいい」とか「よく勉強している」とかは言うが「センスがいい」とは使わない。「センスがある」と使っているのは後期研修医以上である。また、自分より上の先生でも「センスがない」と言うことはある(本人に向かってではない)。「センスがある」というのは上級医に対する最上級のほめ言葉であると思っている。
術中からの術後鎮痛(2)で示したグラフは、管理人自身が受けた手術の時のフェンタニルの効果部位濃度の推移です。この手術で,msanuki.orgにも報告しましたように1時間後から飲食ができています.吐き気も痛みもありませんでしたし,おなかも動いていました(これに関してはまた別の機会に述べます)。
さて、脊椎手術は効果部位濃度が高めで覚醒させて+NSAIDsでいけるとして、開胸、開腹で術後は硬膜外鎮痛を使用しない場合は、術後鎮痛にはフェンタニルのIV-PCAのような鎮痛が必要になると思います。この場合においても、術中からある程度高め(フェンタニルの維持濃度は3ng/ml-4ng/ml)の効果部位濃度(脊椎手術より高目の効果部位濃度が必要)で、覚醒させなければ、PCA持続だけでは足らない状態になり、痛みがでるためPCAのボーラスをおしまくるという状態になると考えられます。できるだけ術中からの鎮痛を考えることにより痛みのない状態を作り出すことが、術後鎮痛の成功につながると考えます。レミフェンタニルを術中に使用する場合には、とくに術後鎮痛への鎮痛薬の引継ぎを意識する必要があります(術後にレミフェンタニルは使えません)。術後にフェンタニルの余韻を利用するには、術中にフェンタニルを3ng/ml程度(それ以上)で維持して、覚醒時には2ng/ml前後をめざして下げてくるとうまくいくことが多いと感じています(高齢者では覚醒時濃度はもう少し低め)。
これは,propofol+fentanylでおこなった脊椎手術症例のfentanylの効果部位濃度の推移である.2時間ちょっとの手術でfentanylは800μg投与している。
fentanylの予測効果部位濃度1.6ng/mlの時にpropofolの予測濃度2.0μg/mlで覚醒した.この時点から約3時間後に1.0ng/ml,約5.5時間後に0.8ng/mlとなる.fentanylの場合,ゆっくり濃度が下がっていくため,術後鎮痛薬を投与するまでには数時間の余裕がある.脊椎手術症例であれば、うまくすれば,このfentanylの余韻+その後に投与したNSAIDs(作用部位が異なる2剤のダブルブロック)で術当日の痛みはコントロールできてしまうかもしれない.ここで,考えるのはこの余韻の部分を大きくすることで術後鎮痛をもうすこし長く得ることができるのでないかと言うことだ.もっとたくさん術中に投与しておけば,術後にがんがんオピオイドを投与する必要はない。fentanylの覚醒時濃度>>鎮痛効果をもつ濃度で、高い濃度で覚醒する若い人には有効な方法ではないだろうか。開腹術や開胸術では、NSAIDsではちょっと無理だが、脊椎手術程度の術後痛には有効な手段ではないかと思う。(つづく)
来年早々,レミフェンタニルが発売される.2月にはすでに使用している方もいるかもしれない.レミフェンタニルについては,レミフェンタニルからの術後鎮痛(金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座 Blog)やレミフェンタニル入門(8)(電脳麻酔ブログ)などで,術中から術後鎮痛の必要があることが解説されている.レミフェンタニルの性質から言えば当然のことであろう.硬膜外麻酔など他の鎮痛手段を併用していない全身麻酔(セボ+レミやプロポフォール+レミ)で.術後鎮痛を考えずに術中に投与してたレミフェンタニルをOFFとした場合,レミが切れたとたんに痛みを訴えるあるいは,痛みのために暴れ出す症例が続出して,レミフェンタニルは悪魔の薬だと言うことになりかねない(笑えない話である).レミを使ったときには,否が応でも術中からの術後鎮痛を考えざるを得なくなる状況はあきらかである.これまでは何となくフェンタニルの余力で手術室から出るときにはそれほど痛みを訴えず病棟に帰ってから鎮痛剤を使用していた症例もあるだろう.フェンタニルをレミフェンタニルに切り替えたとたん,鎮痛効果を残したまま麻酔を覚ましてくることが,どれほど大切かを思い知ることができるであろう.なんだか,予言のようになってしまったが,来年は術中からの術後鎮痛を再考する年になるであろう.
吸入麻酔薬の話題が「金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座Blog」のイギリスの手術室(2)で取り上げられている.特に興味があるのは,CO2をコントロールできるシステムである.吸入麻酔薬空の覚醒時は吸入麻酔薬を体外に排泄するために,換気量を増やすと思いがちだが,これはやりすぎるとかえって覚醒遅延を引き起こす.換気量を増やすというのはできるだけ吸入麻酔薬を洗い流したいという考えからではあるが,換気量を増やすことによりCO2分圧は下がり脳血流が減ることにより逆効果であるからだ.そこで,CO2をとばさずに吸入麻酔薬を洗い流すためには,換気量を増加させるならCO2を負荷しながらnormocapniaに保つ必要がある.2005年の大阪の臨床麻酔学会で管理人と同じワークショップで講演したDerek Sakata(日本人のような顔だが日本語はなせない)先生が開発したデバイスQED-100が米国で発売されている.このデバイスはCO2を負荷するだけでなく吸入麻酔薬の吸着剤が入っていて麻酔回路にこのデバイスを装着すれば覚醒はものすごく速い.カタログによると1/2以下の時間で覚醒するらしい.このカタログを見ても判ると思いますが,換気量を増やすとCO2が下がるために通常の回路では問題があります.覚醒時のCO2のコントロールについてよく考えて欲しいと思います.
MACを捨てるにはMACについてよく知らなければなりません。そこで、MACはどうやって決めるかご存じですか.諏訪邦夫先生の電子麻酔学教科書の「麻酔深度とMAC(マック)」に出ていますので,ご覧ください.
では1MACの2倍の2MACではどうかということになるのですが、これはMACの2倍というだけの意味しかない。MACはあくまでも統計上の値で個々の患者に適応するようなものではない。実際的でないというわけである。そこで50%のヒトで皮切で交感神経反応を抑制できるMAC-BAR(block autonomic response)や気管挿管が可能なMAC-EI(endtracheal intubation)、50%のヒトが覚醒するMAC-awakeなどが考案された。ちなみに、セボフルラン、イソフルランはMAC-awakeはMACの約1/3である。しかし、MAC-awakeをのぞいては吸入麻酔薬の何の作用を見ているかが明確ではない。そもそもMACを求めること自体が、吸入麻酔薬が全身麻酔の4要素をすべてカバーするものと考えていると思われる。現代の全身麻酔において、吸入麻酔薬単独で行える麻酔は限られているためその指標は、麻酔薬の何の力価を表しているかを表現することが必要であろう。バランス麻酔において笑気をのぞく吸入麻酔薬には鎮静作用を求めているものと考えるとそれに見合う指標が必要である。
ラジオNIKKEI、スズケンDIアワーに、萩平先生(大阪大学)のレミフェンタニルの解説が出ています。まとまっていて非常にわかりやすいと思います。必見です。
しかも、ストリーミングでスライドだけでなく音声も聞けます。視聴にはRealPlayer(Windows版は、ページの右下にある無料版をダウンロードしてください)が必要です。
2年前にmsanuki.orgでも紹介したフロリダ大学のサイトに「Virtual Anesthesia Machine」がある.初めの頃は,Virtual Anesthesia Machine (VAM) Simulationぐらいしかなかったのだが,最近では静脈麻酔や筋弛緩薬のシミュレーションまで登場してきた.来年以降に発売が期待されているロクロニウムのシミュレータやコンパートメントモデルのシミュレータ,基本的だが確認のためにプロポフォールのシミュレーションがおすすめである.また,ファビウスGSのシミュレーションやAirway Devices for the Difficult Airway もある.FreeMember以外にinstructorエリアというのもあり,ここは年間$100必要.ここには,モジュラスII,エスティバなどのシミュレーションなどもある.今後もいろいろなシミュレータが登録されることが期待される.会員登録は無料なので登録して活用してみてはいかがでしょうか.
MACといえば、Macintosh(コンピュータや喉頭鏡)もあれば、McDonald's(大阪ではマックではなくマクド)もあります.しかし,捨てるのはこれらのモノではありません.捨てるのは概念です.MAC(minimum alveolar concentration)のことです.MACはそもそも吸入麻酔薬の力価を比較(表現)するために使われたものです.いまのバランス麻酔のように吸入麻酔薬を鎮静薬として使用する場合の指標ではありません.MACの定義ですが,「皮切時に50%のヒトが動かない吸入麻酔薬の濃度」です.動くか動かないかは,痛いか痛くないかということではなく,動けるか動けないかにかかっています.少なくとも脳に対する作用のみを表現したものではなく,脊髄の機能抑制を見ている可能性があります.すなわち,(脳を作用点とする)鎮静薬としての吸入麻酔薬を比較する場合にはMACで表現するのは不適切といわざるをえません.皮切で動くか動かないかということだけでは,鎮静作用をキチンと評価できるとは思えません.また,動かないから鎮痛作用があると考えている方がいますが,これは間違いです.バランス麻酔を考えるには,まずMACという概念を考え直す必要があります.(つづく)
Anesthesia Nowという麻酔科の情報サイトがある(オルガノン提供)。
日本の麻酔薬の会社が出している情報誌はAnesthesia Today。名前が似ている。
「吸入麻酔のファ-マコキネティックス」諏訪邦夫 克誠堂出版 (1986/01) ISBN: 4771900612 、名著である。管理人も研修医の頃、大変お世話になった、1冊。水色(青色)と白の表紙で、印象が強い。当時、管理人の麻酔科学への興味を維持させ続けるきっかけになった1冊である。吸入麻酔について、こんなにも奥が深いということを思い知らせてくれた。これを読んで、麻酔に関する考え方が大きく変わったと思う。いまでは、少し内容が古いところがあるが、考え方を作るという意味では、凄い。20年前にここまで。ぜひ、一度内容をご覧ください。お宝になるかも。
新品はすでに手に入らなくなっているかもしれません。
写真は、管理人のものをスキャンした。なんとなく、この本の色づかいは、このブログの色に似ていると思いませんか。知らず知らずのうちに色まで影響を受けていたのかもしれません。
1週間ほど前Context-Sensitive Half Time (CSHT)に関する記事を掲載しましたが、麻酔ディスカッションリストで、ちょっと誤解されてしまいましたので、もう少し汎用的な指標について書いておきます。
Context-Sensitive Decrement Time(CSDT)という概念です。CSDTとは、一定濃度Cで投与しているところから投与を中止して、目的とする任意濃度に減少するまでの時間を表現するもので、CSHTが、血中濃度が半分になる時点(0.5×C)を指すだけ(CSHTは50%になるまでのCSDT)であるのに対して、CSDTは、より汎用的であると思います。
鎮静薬の場合、維持濃度から覚醒する濃度になるまでの時間、鎮痛薬の場合は維持濃度から副作用(呼吸抑制など)がなくなる濃度になるまでの時間(鎮痛作用がなくなるまでの時間ではない)が大切であるということ(副作用がなくなる濃度より鎮痛作用がなくなる濃度の方が低い)。
結局、CSDTを意識することによって未来の血中濃度(効果部位濃度)を予測するクセがつくまでトレーニングする必要があるということ。これらをきちんと意識することで、カンで麻酔薬を投与することから脱却しましょう。血中濃度(効果部位濃度)を意識するとともに、BISなどの脳波モニターや麻酔経過中の役立つ所見などで補正をかけることも個人差への対処には必要ですね。
参考サイト:
■Rational Drug Selection in Neuroanaesthesia:the Effect Site and Context Sensitive Decrement Times
Intravenous agents, TCI and TIVA (The Virtual Anaesthesia Textbook)
参考書籍:
■第3章 Good risk症例におけるTIVAの実際-調節するのはプロポフォールか?オピオイドか?-p.47-63
今日から実践できるTIVA(真興交易医書) 編著:木山秀哉 2006年6月 ISBN:4880037672
さて,術野の情報は見ればわかると先の記事では書いたが,本当にそうでしょうか.管理人が研修医から研修医を終えたぐらい頃,信じられない外科医がいた.もしかすると今からここに書くような外科医は、今でもどこかに存在するのかもしれない...その外科医は、出血していても手で隠していて、出血していないと言い張る。ガーゼに血がついていて、重さを量ってもほとんど水だと言い張る。つまり、自分は出血させていない。輸液が多いから腹水が出ると常に言い張るのです。まあ、そういう状況もありましょう。しかし、常にはおかしいわけで、明らかにガーゼが赤い。ガーゼ重量が、まともに重い。挙げ句の果ては血液が大量にしみた柄付きガーゼを手術の最後まで出さずに腹腔内に隠しておく。さいごに出したとしても、術野の外のバケツに絞ってしまう。たちが悪いのです。こんなことは、ある程度経験を積んでくれば当然、嘘だとわかる。明らかに、術野が赤い。手術が雑。ここで、この外科医の言葉を信じたとしましょう。そうすれば、どこかで周囲の状況と食い違ってくるのです。しかしそれを見破る力を持ち合わせていなかったとしたら、術野を見て、別のパラメータを評価したとしても、逆の雑音が含まれているため、惑わされるかもしれません。これが判断する力です。この判断が速く、雑音に惑わされない能力を身につけるべく切磋琢磨(はやりの四字熟語?)するのが今の専門医の一つの方向性であります。これが臨機応変です。さらにいえばマニュアルにあるからそのようにすると言うのではなく、(小泉前首相みたいなことを言いますが)状況に応じて適切に判断し適切に行動するのが臨機応変です。臨機応変とは別に、専門医のめざすべき方向性、Tubokawa先生がいうところの創意工夫とはちょっとニュアンスが違います...この創意工夫ができるフトコロの広い麻酔科医をめざすべきだと管理人は思います。創意工夫はなぜするかというと、その状況に満足できないからです。こうすればもっとうまくいく。こうすればもっとよくなるというのをめざすから創意工夫をするのです。創意工夫がないということになると、次の課題がないと言うことになってしまいます。確かに、昔(50年前)に比べると麻酔科領域の課題は克服されてきて、ある一定のレベルに達したのかもしれません。薬剤の進歩、医療機器の進歩、道具の進歩。麻酔法や麻酔管理技術の進歩、麻酔教育の進歩、それぞれの進歩は患者の安全性や麻酔の確実性もたらしたでしょう。これからは過去に追い求めてきた創意工夫とはレベルの違う創意工夫が必要なのだと思います。これでいいのだ。と思ったとき創意工夫は必要なくなります。ワクワクする状況、アドレナリンの放出される状況は、創意工夫を企てている時に起こるような気がします。この創意工夫が必要ないとなれば、まともな麻酔科医はいなくなるに違いありません。臨機応変だけでは、真の麻酔科医はワクワクしません。
昔話にトラックバックします.昔は,モニターと言えば心電図と血圧計(手動ではかる)ぐらいで,残りは五感を利用して麻酔をかけていた.今は,痛みと侵襲のモニターをのぞいては,数値で表現される一応の指標があるため,だれでも,ちょっとしたことでもその気になって見ていれば気づくのは可能.しかし,情報を統合して判断する能力が昔に比べると要求されるようになった.バラバラの情報を統合して,はじめて意味をなす.モニターだけでは,はっきりとはわからないこともある.たとえば,ビデオ画像や内視鏡などを使った術野の情報である.その事実を見るだけで,何が起こっているかわかることがある.まあこれも,情報の一つ.要するに,昔に比べて判断材料が増えているのだ.五感を利用していただけの時代に比べて,情報が多い分,何らかの異常を捉えることはできるようになったが,判断スピードも要求されるようになった.判断に時間がかかっていたのでは,後手に回ってしまう.
戦争を例に出すと,批判されるかもしれないが,昔の戦争と今の戦争の違いと同じだ.如何に早く,情報を捉え次の手を打つかにかかっている.昔は,遅れて行動していたことが,今ではそんなに時間を待たなくても,情報が統合できれば先手に出られる.しかし,モニターの解析能力が上がれば,情報を統合する必要はなくなるかもしれないが,最終判断すべきは人である.また,どんな行動を起こすかを考え実行するのも人であるうちは,情報を統合してどこにどの程度の重みを置いて判断し,行動する能力を磨くことは無駄ではないであろう.
50年後に麻酔科医がいなくなるどころか,進化した麻酔科医とそうでない麻酔科医の差は歴然とするのではなかろうか.麻酔科医間の格差ができればできるほど,他科の医師では判断しかねる状態も増えるのではなかろうか.50年後にこの記事を読んでいる人は,笑うだろうか.感心するだろうか.
Context-Sensitive Half-Time (CSHT)とは、ある薬物を一定の血漿濃度を維持するために持続静注した時、投与中止後血漿濃度が50%に減少するのに必要な時間である。教科書に,
こんな図
が書かれているのを見たことはありませんか。フェンタニルが大変なくせ者です。レミフェンタではCSHTは時間がたってもほとんど変化しません(こんな図にはでていません)ので問題にはなりませんが、フェンタニルでは2時間を超えたころから、同じ調子で入れ続けるとCSHTが次第に長くなってしまいます。こんなことを言うと、フェンタニルの使い方が下手な麻酔科医は、ただでさえフェンタニルの投与量が少ないのにさらに投与量を減らしてしまう懸念がありますね。そこでシミュレーションソフトが活躍します。賢い諸君はお気づきでしょうが、これらの話をするときには3コンパートメントモデルを理解しておくことが重要です。
レミフェンタニルほどCSHTが短く、時間がたっても変化しないものが出てくると、これまで、それほど気にならなかった(?私は気になっていたが...)プロポフォールが意外とくせ者だということがご理解いただけるでしょうか。
UKのサイトに、これらを理解するために都合のよいものがあるので、ここにリンク(右クリックで保存して、パワーポイントでご覧ください)しておきます。
ちなみに、CSHTは2005年度の麻酔科専門医筆記試験にも出題されています。今後、試験には必ずどこかに出てくる概念だと思います。
ここにリンクというサイトは,
http://www.onlineanaesthesia.co.ukで,中でも,Primary TopicsのPharmacologyには特筆すべき資料があります.一度,ご覧ください.音声付きのものもあります.
変な名前である.アルチバとは来年の2月頃発売されるレミフェンタニルの商品名である.ヤンセンファーマのサイトに出ています.
レミフェンタニルのミニ講座が「電脳麻酔ブログ」や「金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座 Blog」で始まっている.
また「麻酔科医のお勉強」の TIVA/TCI にも関連情報にたどりつくためのリストを掲載しています.レミフェンタニルを含めた薬品の添付文書は「麻酔科医のお勉強」の麻酔薬の添付文書と販売会社にあります.ひさびさの麻酔科領域の新薬発売が楽しみです.
”なんちゃってTCI”よりもっとすごいのがある.”なんちゃってキセる麻酔”である.管理人の行っている”キセる麻酔”はセボフルラン+フェンタニルのフェーズとプロポフォール+フェンタニルのフェーズが同時に存在することはない.つまり鎮静剤をプロポフォール→セボフルラン→プロポフォールと切り替える.これを”キセる麻酔”という.最初と最後がプロポフォールで真ん中がセボフルランであることから,たばこの道具である煙管(キセル)になぞらえたものである.これを,いつの間にか誤解して(拡大解釈して),なんだかんだと理由を付けて,常にプロポフォール+セボフルラン+フェンタニルで麻酔をしている人たちがいる.これは”なんちゃってキセる”である.断じて”キセる麻酔”ではない.この”まぜまぜ状態”を”キセる麻酔”とは呼んでほしくない.”キセる麻酔”命名者としては拒否である.”なんちゃってキセる麻酔”は,許し難い.”キセる麻酔”と呼ぶのなら,(鎮静剤は)どちらかにしてくれ.
”なんちゃってTIVA”と"TIVA"は、似て非なるもので、全く違うものであることを説明した。TIVAをきちんと行うにはバランス麻酔の概念をきちんと理解して実践することが必要である。バランス麻酔とは鎮痛、鎮静、筋弛緩の3つの要素を個別に調節して全身麻酔を実現する方法だ。バランス麻酔とは読んで字のごとくバランスで成り立っている。筋弛緩はともかくとして、バランスの基本は鎮痛と鎮静のバランスである。アンバランス麻酔の極みは、( 鎮痛 <<<<<< 鎮静 )というもので、鎮静を極端に行うタイプである。現在のTIVAの主流はフェンタニル(鎮痛)、プロポフォール(鎮静)であるが、バランス麻酔の概念は吸入麻酔+フェンタニルという組み合わせでも実現可能である。この場合、フェンタニル(鎮痛)、吸入麻酔薬(鎮静)である。最近では、フェンタニル+プロポフォール+吸入麻酔薬という方法も存在するらしい。管理人は、プロポフォールと吸入麻酔薬を同時には投与しない(キセる麻酔とは異なる)のだが、このプロポフォール+吸入麻酔同時投与では鎮静薬の過量投与となっているのではなかろうか?つまり、鎮痛 <<<<<<<<<<< 鎮静 というアンバランス麻酔ではないだろうか。よく、大阪大学の萩平先生(BIS解析の大家)の講演によく出てくる、セボフルラン1-1.5%+フェンタニル適量という吸入麻酔+フェンタニルの組み合わせの”黄金処方”があるのだが、これに対比すると鎮痛が少なくて済むと思いこんでいるのでhなかろうか。血圧が下がれば麻酔が深い、動かなければ麻酔が深いと思いこんであるのではなかろうか?
不意に予期せぬ?手術侵襲で足下をすくわれたときには、一時的にはアンバランス麻酔は許されるかもしれないが、きちんとコントロールする(していると思っている)場面では、いかがなものであろうか。
もう一度、鎮痛、鎮静、筋弛緩のコンポーネントについてきちんと整理して考えてみよう。全身麻酔では何を指標に行うのがよいであろうか。もちろん、血圧や脈拍などのバイタルサインのコントロール、筋弛緩による不動化なども必要かもしれないが、麻酔の本質は何であろうか。20世紀の麻酔の指標をすてて、別の観点からきちんと麻酔を見直す必要があるのではないだろうか。我々、21世紀の麻酔科医(第3世代以降)は、アンバランス麻酔ではなくバランス麻酔が実践できる麻酔科医をめざすべきではないだろうか。
【参考書籍】
◆バランス麻酔:最近の進歩改訂第2版 ―エンドポイント指向型バランス麻酔―
白い心6にTBします.
全くその通りだと思う.やり方や道筋,方法というのは複数あってどれがよいというのは,簡単には決められない.
よりよい方法,よりよい理論を求めていけば,結局,複数の方法をマスターする必要がある.
そのときに,生半可(いいかげん)にこんな感じという調子では,新しい方法をマスターできるどころでなく,自分自身の思いこみで誤った方法を作ってしまうことになる.本当はそんなやり方でないのに,自分でマスターしたと思いこんでしまうのである.そうならないためには(本質を理解するには),やはり白い心が必要である.頭を白紙にすることが必要である.
とにかく,自分のやっているものと違うのであれば,その方法や理論を”きっちり”勉強する(まねる)必要があるのだ.その際に,思いこみが強すぎると”きっちり”まねできない.
話は変わるが,最近”なんちゃってTIVA”が横行している.血中濃度(効果部位濃度)を意識していないと思われるTIVAである.BISをつけたら?と言えば,BISはいらない.フェンタニルをもう少し入れたらと言えば,醒めなくなるからといってプロポフォールを高濃度でずっと維持している.呼吸が速い状態で麻酔から覚めてきて,目が開かない.うーん.こういった場合,その医師にどのように声をかけたらいいだろうか?難しい.自分で気づくしかないのである.
”なんちゃってTIVA”おそるべし.プロポフォールが出て10年も経って,TCIにも慣れた麻酔科医がたくさんいる時代である.”TIVA”と”なんちゃってTIVA”は違うものである.これに気づかないのは”白い心”になれないからではないだろうか.
旭川で開催されている臨床教育セミナー(教育講演の臨床お役立ち版か?)がある.10月26日(木)は気道確保関連のセミナーがまとめられており,いくつか聞いてみた.いつも思うのであるが,プレゼンのうまい下手でずいぶん印象が異なる.教育講演の様になってしまっているものは既成概念にとらわれたプレゼンで,聞いているのがつらかった.テンポも悪く眠りを誘っていた.それとは対照的に動画やアニメーションを使って易しく解説しようという意図の感じられるすばらしいプレゼンもあった.手技についてのノウハウだけでなく,文献などもうまく引用してアカデミックな内容も盛り込まれていた.話すテンポや雰囲気づくりに関してもすばらしく聴衆は目を輝かせて聴いていた.若い頃からプレゼンテーションについて本気で取り組むべきであると思う.会場で同じ時間を共有する立場からすると,良いプレゼンテーションを見たり聞いたりした後は「すっきり!」する.
文字をずらずら並べたブルースライドを出されてもぴんとこないが,動画やアニメーションを効果的に使ったプレゼンは聴衆に内容を理解させる時間を短縮できて,結果的に多くの内容をテンポ良く盛り込める.また話すリズムも大切で,画面の切り替えでリズムを作ってゆくと,内容が変化したときに余分な言葉を追加しなくても良いので結果的にテンポが上げられる.
久々に二重丸のプレゼンに出会ったので,ついついコメントを書いてしまった.良いプレゼンから学ぶことはたくさんある.その場でなければどんなプレゼンであるかは正確に伝えられない.ビデオにしてもその雰囲気は伝わらないであろう.聴衆の反応がビデオには収録できないからである.これが,真の学会のプレゼンである.学会に来て良かった,その場にいて良かったと思えるプレゼンであった.S先生,ありがとうございました.
物事を学ぶ方法には2つある.一つはこれまで知っていることに新しいことを追加する方法.もう一つは,すべて新しく学んだことにする方法.である.全くしらない,ほとんど知らない場合には後者がよいが,かなりそのことについて知っている場合には前者になる.管理人が,白紙にしてといっているのは後者の場合ではなく前者の場合に行って欲しいと思うのである.教える側の真意を理解するには,既成概念をいったん捨ててしまった方がよい.とりあえず,教えている人の言うことをすべて聞きいれてみるのだ.そうした上で,真意が理解できたならば,既存の物に修正して追加すればよいと思う.真意を理解する上で,既存の知識が邪魔になることが多い.自分の知っていることはすべて正しいのならば,教えられる必要がない.
電脳麻酔ブログに白い心2として次のような文章が掲載されている.
この前、新しいことを学ぶときは白い心でという書き込みをしたら、sanuki先生からも同様の意見をいただいた。
そんなときに、AHAのBLSインストラクターコースというのを受講した。すでにインストラクターをやっているK先生から「白い心」に関して御意見をいただいた。人づてなので真意は明らかではないが、白だろうが赤だろうが黄色だろうが、その人のバックグラウンドを踏まえた上で教えるのが上手なインストラクションだよと私に伝えたかった?あるは学んで欲しい、という風に聞こえた(それでいいですか?)。
この前の書き込み自体は否定するつもりはないが、指導する側の技量や努力が大事なのはいうまでもない。学ぶ、教えるということについてこれからも考えていきたい。
日経メディカルCadetto(カデット)とい若手医師向けの雑誌が発刊されます.日経メディカルオンラインに登録することで医師であれば無料で購読できます.ぜひ,どうぞ.私も登録しました.
気管挿管を事前学習するサイトがmsanuki.bizです.じっくり見て,練習してから実際の研修にのぞんでください.喉頭鏡の握り方や練習方法も解説しています.挿管人形では絶対に練習できないコツも含まれています.
初期研修医でまじめな皆さんにはあまり関係ないのですが、後期研修医やそれ以上の麻酔科医で新しいこと、とくに自分のやっていない方法を受け入れられない方がいます。電脳ブログでは”白い心”と表現されているのですが、私はよく頭を白紙にすると言う表現を使います。これができないと、現代の医療の世界では、新しい考え方が出てくるのが常ですから、今風の医療ができない医師になってしまいます。初期研修医は比較的素直に受け入れてくれることが多いと感じてますが、後期研修医以上(指導医クラスも含めて)になると、ちょっと自分のやり方と違うことを受け入れられない場合が目に付きます。後期研修医を教えにくい原因の一つは、ここにあると思います。管理人が教えられる側になる場合には、”教える人の言うことをすべて受け入れること”に心がけてきました。
この気持ちを持たないと、新しいものはそのうち何も受け入れられなくなってしまいます。いろいろなやり方、考え方を学ぶためには”頭を白紙にして受け入れる”過程が重要です。これが、出発点です。
日経メディカルオンラインに登録(医師であれば無料)すると過去の日経メディカルの記事がPDFで閲覧可能です.日経メディカル 2006年9月号のp.62-63に管理人が出ていますので是非ご覧ください.右のカラムのお役立ち情報BOXのなかにある「日経メディカル・過去記事検索 」から検索できます.
「特集 その手技、本流? ~あなたのやり方は間違っていないか~」という記事です.
Laryngoscopeさんのところに「時代が違う」という記事が掲載されている.以前は並列麻酔も,麻酔中にICUでの急変も対応していた先輩の話である.たしかに若い頃(かつての時代)はそれでも良かった.いまは,まともにやっていても失敗すれば刑事事件にされる時代である.並列麻酔やICUの患者が急変したときなど,自分の診ている患者が落ち着いていれば対応できるときもあるだろう.しかし,わざわざそのような状況を好きこのんで自ら作って,かりに自分が見ていた(放置した)患者が不幸なことになった場合,どう見ても救いようがない.並列麻酔を行って自分は医療事故など起こさないという強者もいまだにいるのは確かである.外科医が要求するから,病院が無理を言うから並列麻酔を行うという人々もいる.麻酔は誰のためにするか,何のためにするのかを忘れているのではないだろうか.もちろん生産性や効率もある程度は追求すべきだとは思うが,安全が担保できない場合には認めることはできない.そういう時代である.
かなり以前に「患者はこうして殺される(浅山健)」が出版されている(医者にメス掲載の目次).実際にあった話に忠実にかかれいると聞く.
管理人も夜中3時頃に不意に並列麻酔になってしまったことがある.脊麻でやっていた緊急帝王切開がほぼ終了した頃に,院内発症の肝硬変患者の急性頭蓋内出血がなだれ込んできた.ぼぼ閉腹が終わったので患者に気分をたづね問題ないので,終了する旨を伝え看護師に頼んで,なだれ込んできた頭蓋内出血の全麻のために別の部屋に移動した.麻酔導入が終わった頃,帝王切開は終了したが出血が止まらず再開腹するという.戻ってみると,患者は顔面蒼白,ショック状態で意識レベルが低下している.弛緩出血である.挿管全麻に切り替え輸血ルートを確保し輸血を大量にオーダーした.その処置が済むかすまないうちに,頭蓋内出血の方はショック状態で出血が止まらないという.この時点で,不意に並列麻酔になってしまっていた.いずれししろ,院外からもう一人の麻酔科医を呼んでいる暇はない.このままでは2人とも死ぬ.福島の産婦人科医の逮捕事件の直後だったので,刑事事件で逮捕というフレーズが何度も頭をよぎる.一人ではどうにもならない.だれでもいい,院内の当直医を呼ぶしかない.助けを求めて電話すると,偶然にも他科に異動した麻酔科専門医を持った医師が当直であった.不幸中の幸いだった.手術室では2列の手術が同時進行しており手術をしている医師も止血に一生懸命だ.術者も人が足らなくて院外からさらに上級医を呼ぶ状況であった.結局,2人とも救命でき管理人は医療事故を起こさずに済んだ.2症例とも出血/輸血の量は尋常ではない.急速輸血のためにポンプを必要とした.患者の状態の判断,ポンプや輸血の扱い,セットアップ,麻酔のことすべてを「おねがい,こっちの症例なんとかしといて」で頼むことができたのは麻酔専門医だったからである.患者も助かった,私も助かった.思い出しただけでも恐ろしい.
挿管時の枕について,日々の雑感さんが書かれていますが,枕は大切だと思います.高くて大きい枕はオトガイ部と甲状軟骨間の距離が短くなり気道が閉塞するだけではなく開口も困難です.また,肩に枕を入れるような場合には,頭部を後屈して開口するしか方法はありません.これがひどいと喉頭展開したときに下手をすると頭部が空中に持ち上がってしまいます.基本的にはスニッフィングになりやすいようにすればよいわけで,当院の手術室ではゼリー状の円座を使っています.この円座(fig1/2/3)は頭部のどこに置くかでしっくりくる位置に調節できます.
気管挿管を教えるときに,枕の大きさや位置などを考えずに頭部を適当においている(そのようなことには全く言及しない)指導者がいるのには驚かされます.枕なしでもかまわないとは思いますが,ない場合にも,頭部の位置については言及する必要はあると思います.
「自分に厳しい人は他人に厳しい」,この中身には2種類ある.自分に厳しいというのは常に自己研鑽を積むということを指している.他人に厳しいというのは2つを分けて考える必要がある.まず万人に厳しい人これはOKとしよう.部下に厳しく目上(または同僚)に甘いという人がいる.これが問題である.特に,部下の失敗を自分の責任と思わず,部下のみを叱りつけるのはサイテーだと思う.これは,自分に甘く,他人に厳しいと同等である.部下の失敗の原因は,自分の失敗であり,自分がうまく部下をコントロールもしくは指導できないから失敗するのである.このことがわからない指導医を時に見かける.
よく「どうして麻酔科医になったか」を聞かれることがある.「どうして」と聞かれても「好きだから」としか言いようがない.その「好きだから」にいろいろな理由があるのだと思う.「好きだから」というのは立派な答えだと思う.物事に向き合う上で「好きだから」というのは,最上の理由である.「好きだから」続けられる.「好きだから」がんばれる.「好きだから」新しいことに挑戦できるのである.
おそらく「どうして」と聞くのが研修医で,その研修医がメンターをもとめて問うている場合には,「好きだから」だけでは満足しない.聞く相手が,一般人あるいは上級医であれば「好きだから」だけで完結してよいと思う.私の場合,きっかけは「好きだから」なのであるが,そこから「おもしろい」に発展した.この「おもしろくなった」というのは今でも覚えている.麻酔科が「ただ単に麻酔をかけているだけではない」と言うことが実感できたからおもしろくなったと思う.手術の麻酔で”うまい麻酔科医”が麻酔をすると何事もなく終了する.この”なにごともなく”の裏にはどんな努力(ちょっと大げさか)があるかを理解できたなら麻酔科の魅力がわかるだろう.その努力というのが,ちょっと大人なのである.
ここを熱く語ればよいのではないかと思う.恥ずかしいのでこれ以上は書けないが,麻酔科の魅力を知りたい研修医の先生は私のところに研修にきてください.
msanuki.biz 麻酔科研修支援サイトを2006年6月から立ち上げています.このサイトは麻酔科研修に役に立つような内容を発信していきます.現時点では,気管挿管の動画,麻酔の術前説明用ビデオを中心とした動画とファイバー挿管の手順などを紹介しています.今後,お勧め書籍や,おすすめサイトなどの研修に役立つものをここにまとめていく予定です.ご期待ください.msanuki.bizの動画はホームページで見ると音声はついていませんが,iTunesにpodcastとして取りこむとすべての動画に音声がついています.方法は別記事で紹介します.
臨床研修医が質問をすると「勉強しなさい」と答える指導医がいるらしい。わからないから質問をしているのに、「勉強しなさい」はないだろう。勉強の仕方を教える。どんなものを調べればよいのか、何というキーワードで調べたらよいのかなど、何らかの目標設定をしてあげるべきだと思う。これと同様で、「予習してきなさい」や手技に関して「イメージトレーニングしてきなさい」も論外である。きちんとその方法を教えた後で言うべき言葉だと思う。何を予習するのか、何を勉強するのか、どんなイメージを持ったらいいのか?指針を与えて初めて指導といえるのではないだろうか。
最近,「麻酔電脳ブログ」で知ったのですが,The Department of Anesthesiology & Critical Care at St. Louis Universityが公開しているPodcastのサイト「Anesthesia podcast」があります.QuickTimeとiTunesがあれば,WindowsでもMacintoshでも視聴が可能です.このサイト,最近の管理人のお気に入りになっています.Chairman’s Talk/Grand Rounds/Anesthesiology Lecturesをクリックして様々なコンテンツにアクセスしてみてください.
眠らない麻酔科に「方策」という記事が出ている.このなかに,”「名選手は名監督にあらず」はジーコを見ても理解できるけど、やって見せると言う、これ以上の手本はない。”という行があるが,まったくその通りだと思う.私自身,自分のできないことはうまく教えられないし,やってみせられないことは教えても説得力が全くないと思う.まず,教えることができるのは自分がきちんとできると言うことが最低条件で,教えるためには,教えられる人の考え方や手技をみて,どこを直せばうまくいくか,間違った方向に考えているところはないかなどを分析できなければならないと思う.「名選手は名監督にあらず」とはよく言うが,選手である自分と同じ事を初心者に教えてすぐできる故ではない.選手はすでに特殊な技能を身につけてしまっているのである.初心者ができるようにするためにはどのようなアプローチで教えるかを,あらかじめ考えておく必要がある.また,初心者に見せる手本は初心者ができるようなわかりやすいスピード,わかりやすい手順などで見せる必要があり,選手としてのうまさ(上手で素早いだけの)を強調するような物をお手本として示すのはよろしくない.選手が監督になったとき,要求されるのは選手としての技量に加えて監督としての配慮であると思う.良い監督はこのような配慮ができることであり,このような配慮こそコーチングの基本であると思う.
K-Yゼリーとキシロカインゼリーの違いをご存じだろうか?数年前から私の勤務している病院では、麻酔科の使用する潤滑剤はキシロカインゼリーからK-Yゼリーに変わっている。管理人が以前勤務していた病院でも、手術室からはキシロカインゼリーは数年前になくなりK-Yゼリーに変わっていた。潤滑剤としてK-Yゼリーとキシロカインゼリーを比べた場合、遜色ないのなら、わざわざキシロカイン入りのものを使う必要はない。だいたい、価格はK-Yゼリーの方が安い。K-Yゼリーは医薬品でないので薬剤部扱いではなくなる。
そもそも、キシロカインゼリーをラリンジアルマスクに塗ると嚥下機能が障害されるのではないかという疑問からK-Yゼリーへの見直しは始まった。気管挿管チューブのカフまたは先端にキシロカインゼリーを塗らなければならないんだろうか?何のために塗っていたのだろうと考えると、キシロカインゼリーである必然性はなくなった。
最近では何でもK-Yゼリーに取って代わっている。経食道エコープローベに塗る潤滑剤、体温測定用のプローベ、胃管の潤滑剤など。キシロカイン中毒ならぬK-Yゼリー中毒状態である。手術室では何の違和感もなくK-Yゼリーを使っている。時に、老練の外科医が「キシロカインゼリーをくれ!」とのたまったりする以外は、キシロカインゼリーの出番はなくなっている。とはいえ、その時にもK-Yゼリーを出しているのだが...
そうそう、言い忘れたのだが、管理人がK-Yゼリーにただ一つ不満がある。入っている容器が昔の歯磨きの入っていた金属のチューブである点である。入れ物のチューブの材質だけはキシロカインゼリーが勝っている。
今、なぜかネットで気管挿管時の開口の流儀が話題になっています。開口の流儀には、右手でクロスフィンガーを行う方法と右手を頭部後屈に使用する方法の2種類があるとスミルノフ先生が分類しておられます。
実際、msanuki.bizには開口の方法としてクロスフィンガーを紹介しています。ただ、クロスフィンガーの後に舌をしまいこむことが必要で、そのためには喉頭鏡を挿入する前に、クロスフィンガーと反対の手(左手)で頭部を動かして上顎より下顎が上になるような形になるようにと指導しています。そのことを、スミルノフ先生は、喉頭鏡を挿入した後、右手で後屈を行っているように誤解しています。そうではなくて、「喉頭鏡を挿入する前に」行うと何度も先の日本麻酔科学会でも強調していました。喉頭鏡を入れてから右手で後屈を追加するのは下手な気管挿管(喉頭展開)です。喉頭鏡を挿入してから気管挿管チューブ挿入までに余計な時間がかかります。あくまでも、喉頭鏡挿入前に左手(クロスフィンガーと反対の手)で行ってください。
ツーアクションとなるのがダメだとか、格好悪いとかではなくて、きちんと喉頭鏡を挿入できるスペースを作る方法を覚えるべきです。クロスフィンガーだけでもうまくいく症例は多いのですが、きちんと喉頭鏡の挿入前に後屈を行えば、開口できるということも覚えるべきです。複数の方法を知っているべきですし、両方できて悪いということはありません。一番大切なのは、喉頭鏡操作に起因する合併症を起さないこと。歯を折った、唇や舌を切ったり腫らせた、気道狭窄、喉頭浮腫を起したなどということはもってのほかです。そのためには、喉頭鏡挿入前の仕事が大切で、そこをもっと教科書でも強調すべきだと思います。この手の研究はいろいろあって、どれも決定的であるとは思えません。いまだに、喉頭鏡を使用した喉頭展開時の研究は行われています。それが、喉頭展開の難しさを物語っています。
話は変わりますが、麻酔科後期研修(初期研修では無理です)では喉頭鏡による気管挿管だけではなく、ファイバーによる気管挿管もスイスイできるようにトレーニングすべきだと思います。毎日、ファイバー挿管を行うぐらいでもよいと思います。喉頭展開による気管挿管に囚われることなく、ほかの方法もきちんとマスターできるまでトレーニングすべきです。
2006年7月15日(土)
東京女子医大麻酔科 後期研修説明会が開催されます.なんと丸の内のフォーシーズンズホテルです.
会場の選定では,地方からの参加も十分に配慮していますね.
管理人も行ってみたい.
麻酔科後期研修のジオログ が立ち上がっています.URLもしゃれています.morton1846です.COOLです.
東京女子医大麻酔科の後期臨床研修医説明会のブログです.
TIVAをより理解できる、現在もっともクリアカットな麻酔の参考書です。TIVAだけでなく、麻酔の本質から理解させてくれます。後期研修医にも是非読んでほしい本です。超オススメです。
◆今日から実践できるTIVA(真興交易医書) Amazon YahooBooks
麻酔科研修支援サイト msanuki.biz を立ち上げました.第一弾として,初期研修医のために気管挿管事前学習のできる動画をupしました.ホームページでもQuickTimeがあれば閲覧可能です.また,iTunesがあればPodcastのアイコンをiTunesのpodcastingにドラッグ&ドロップすることで音声付きの動画をダウンロード可能です.iTunesに取りこんだものは,当然,ビデオの見られるiPodに入れて持ち歩くことができます.
asahi.comの2006年5月20日付けの記事に「研修後の若手医師、大学病院敬遠 脳神経外科も不人気」というのが出ている。人気順に、形成外科、皮膚科、麻酔科、耳鼻科、精神科の順で人気がある。逆に、脳外科、外科、小児科、整形外科、産婦人科、救急科の順に人気がない。このデータは、当院で初期研修を今年の3月に終えた研修医の進路とも一致している。この記事では、初期研修医の制度の影響と断定しているが、初期研修の各科での研修内容にも差があるのではないかと思う。いかに、研修医に満足のいく研修場所を与えられるか、興味を持たせるかが問題であると思う。もちろん、その科の医師の将来の姿を見せると言うことを含めて...
(上記記事内の資料にリンク)
週間医学界新聞第2682号 2006年5月15日に「初期研修修了一期生が語る 後輩へのアドバイス(下山祐人氏 )」が出ています.「症例数の多さであるとか,当直が多い(のが嬉しいのは最初だけでした!)とかを,研修病院の選択基準として考慮する場合は,数が単純に能力に反映するわけではないと知っておいたほうがいいでしょう。また,「足りないものは補える」ことも強調したいと思います。外部の勉強会を利用すれば,高名な先生のご意見を聞けたり,活発なdiscussionに参加できたりします。 (処遇も含め)研修内容に完璧な条件を備えた病院を探す必要はないのではないかと思います。与えられた環境の中で存分に力を発揮できるよう,professionalたろうとすることこそ重要です。 」という心境になれたことは立派だと思います.このことに気づかずに隣の芝生にあこがれている研修医を見かけます.
臨床研修制度が始まってすでに2年が経過しました。自分の頃と比べて、カリキュラムがきちんと決まっていて、うらやましいと思う反面、カリキュラムが決められているのはどこの科を回るかだけで、中身は研修医次第であると言う話も聞きます.もし,そうであれば昔から何ら変わっていません。当然といえば当然のことですが、研修内容や程度は、研修する側の問題が大きいのです。器だけあっても中身がない研修になります。あなたの病院はどうでしょう.
さて、今回は勉強法についてです。学生の頃の延長で、教科書だけを勉強している。あるいは、医学雑誌の特集記事のみを見ている方はいませんか。まとまった知識を得たいとき。常識的な知識を得たいときには、それでかまいません。しかし、ある程度の知識や技術が身についてくると、それだけでは物足らないことに気づくはずです。あることがマスターできたらそれで終わり?それでいけないと思ったときが、ステップアップのチャンスです。疑問に思ったことを解決してくれる,解決するための勉強法を知っていますか.それができなければ,研修でせっかく経験した症例も身につかず時間だけが無駄に過ぎていくということになります.焦る必要はありませんが,教科書や雑誌の特集だけの勉強だけではいけないということです.最近は,ACLSやBLSなど決められたことを覚えればそれでおしまいと考えている研修医も多く,その延長で臨床研修も捉えてしまいがちです.それではいけないと言うことだけ書いておきます.
では、どのように勉強を発展させるか.それは次回のテーマとします。
あなたは患者さんに,「点滴をとる」と言いますか?点滴は「取る」ではなく,「する」と言った方がよいです.点滴を取るというのは,ものを取ることと同じで,医療行為を行う者が患者さんから奪うという意味だと思うのです.丁寧に言ったとして「点滴を取らせていただきます」というのはやはり変です.「点滴をさせていただきます」というのがよいのではないでしょうか.この話は,第6回麻酔科学ウインターセミナーで,秋田の佐藤先生が発言された内容です.それ以来,私もつとめて「点滴をさせていただきます」と言うようにしています.
本日は,メンターって聞き慣れない言葉の解説から.
長期的な観点に立って指導し、支援してくれるような人物のことを“メンター(mentor)”といいます。いわば職業人生上の師匠のような人です.尊敬できる上司や有能で親切な先輩は、“メンター” の役割を果たしてくれる可能性が高いのです。
臨床研修医がメンターと思える医師は、通常は自分より少し上の先輩医師ではないでしょうか。ということは、後期研修医は十分、初期研修医のメンターになることが可能だということ。つまり、後期研修医は研修という立場でありながら、初期研修医にとって魅力的な存在になる必要がありますね。
以前にmsanuki.netで紹介した,山形大学麻酔科のサイトに「麻酔科医になろう!」というページがあります.ここでもメンターについて,紹介されています.
医師を育てる 新人研修(讀売オンライン 医療ルネサンス)
o 産科 厳しい現実に尻込み (2006年3月25日)
o 魅力ある体制へ 指導に力 (2006年3月24日)
o 患者の心 思いやる経験 (2006年3月23日)
o 一般病院で学ぶ専門分野 (2006年3月22日)
o 各科回り 診る力アップ (2006年3月21日)
電脳麻酔ブログに「バランス麻酔のレベル分類」が紹介されている.麻酔の技術にレベルを想定するというのはよい考えだと思う.どのような麻酔が,よい麻酔かを考えるベースになる.何かを目標にして麻酔を研修するという姿勢が必要であることは疑う余地がない.
どんな麻酔でもよいのか?答えとして,どんな麻酔でもかまわないと考えるならば,すでに進歩は止まっているといえるだろう.
「サヌサピアン」とは自作の経口ファイバー挿管補助用の器具である。「オバサピアン」という商品をパロッて私が付けた名称である。 オバサピアンとは、開発者のオバサピアン先生の名前をとって名付けられたオバサピアン・エアウエイのことである。 「サヌサピアン」が、当院では一般名で通用する. 先日、麻酔器具室で「サヌサピアン」入れの箱を発見した。
どこかのメーカーで、サヌサピアンを商品化してくれないかなー。大募集中です。
オバサピアンでは短すぎてファイバーの先端が舌根部まで到達しない。サヌサピアンのほうがファイバーの誘導が容易である。
【参考ページ】サヌサピアンの紹介
【参考文献】麻酔・救急・集中治療専門医のわざ(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-609-9 p.29-33 ファイバースコープ挿管-30秒で入れる- 讃岐美智義
「論文を書いてみよう!」
どこかの教授の口癖のようなこと言うなー.とお思いかもしれませんが,これは本のタイトルです.
諏訪邦夫先生の最新刊です.克誠堂出版から出ています.
研修には関係ないと考えている方もいるでしょう.
しかし毎日,仕事をしているならば何らかの発見や,創意工夫があるでしょう.教科書に書いてあるとおり,指導医に教えられたとおりだけではないはずです.研修年限が上がるにつれて,教科書通りでないことは増えてくるのです.
さて,この本で問題にしているのは論文を書くまでのプロセスで,インパクトファクターを稼ぐ方法とか,一流雑誌に掲載する方法とかは紹介していません.研究(動物実験に限りません.)したことを世に知らしめるための方法を紹介しているだけです.これが,初心者には大事だと思います.
書いてみるまでのとっかかりが重要です.一度書いてみれば次からは,スピードがつきます.どんどんいけます.この,始めの一歩が踏み出せない研修医がおおいと私は感じています.その第一歩を踏み出す手助けをしてくれます.今風にアレンジした表現になっていますので,過去に出版された類書よりずいぶん易しく手引きをしてくれると思います.いちど,読んでみてください.
麻酔科指導医「麻酔器仕業点検、麻酔時のモニター、ACLSは何のキーワードでしょう?」
研修医A「?」
研修医B「わかりません」
麻酔科認定医「先生(指導医)の得意な分野ですか?」
麻酔科指導医「ほぼ当たりかな」
これは、麻酔科専門医の実技試験のヤマです。いつの時代も同じはず。
麻酔科で研修すると、3つのいずれの項目も絶対に他科の医師より詳しくならなければいけないことだから。
スミルノフ教授のサイトをみても実技試験に絶対でる項目です。ちょっとできるだけではダメで、かなり詳しくないといけない。だから実技で試すと(日常的にやっているかどうかを見るには)よいのです。
2006年2月24日(金)~2月26日(日)に北海道(ヤマハリゾート キロロ)で、第6回麻酔科学ウインターセミナーが開催される。
ここでは、初期研修医向け企画があり、発表の機会が設けられる。是非参加して最優秀エッセイ賞をGETしよう。
●初期研修医向け発表(初期研修で麻酔科を回った研修医対象)
後援は、日本心臓血管麻酔学会と日本麻酔・集中治療テクノロジー学会で,各ページに詳細が掲載される予定。
2005年10月29日(土)の、広島大学麻酔蘇生学関連病院グループ 後期研修説明会には、多くの方々に参加頂き、大変ありがとうございました。管理人が頂いた「麻酔科先輩の話」というお題を改変して、「麻酔科の魅力」ということで、お話をさせて頂きました。ここに、公開されていますので、ぜひご覧ください。
2005年10月29日(土)15時から、広島大学麻酔蘇生学関連病院グループ 後期研修説明会が開催されます。
管理人も、そのなかで「麻酔科先輩の話」というお題を頂きました。
●麻酔科医になったわけ
●初期研修から麻酔科後期研修へ(自分の入局当時と比較して)
●麻酔科入局から現在まで(麻酔科医として考えてきたこと)
●麻酔科の魅力(広島大学麻酔科の魅力含む)
などについて、本音で語ります(かなり熱いです)。興味がありましたら、ぜひお越しください。
説明会後には懇親会も予定されていますので、十分にお話が可能だと思います。
研修医2年目だけでなく1年目の先生も参加して損はありません。また、転科をお考えの先生もどうぞ。
奈良医大のように遠方からの参加者の旅費は出ませんが・・
「スペシャルリポート 大学病院改革の行方」という記事が、TH.NETに掲載されている。ここでは、専門医研修では大学病院が有利であるとの意見がある。この記事は第2回のマッチングが行われる前なので昨年かかれたものであろう。今年はさらにその傾向が強くなっているような気がする。ここで、大学病院が巻き返してくるのは確実だろう。十分な情報を収集するには、自分の足で稼ぐことである。周りの噂だけではなく、実際に話を聞いてどこが信用できるのかも自分の力で選択する必要がある。
初期研修医に、TIVAやTCIを教える機会が増えています。特に2年目に選択科目として行う麻酔科研修では、その理論に興味が移ってきています。大変、すばらしいことだと思います。1年目の麻酔研修(必修)時にTCIポンプの使い方やPalmakokinetics(Palmのソフトウェア)の使い方はすでに理解しているので、その理論に興味が移ってくるのは当然でしょう。実際の研修では、個々の症例管理に主眼が置かれ手術室内で詳しく説明する時間が少ないので、以下のサイトや書物で予習してきてほしいと思います。
[WEB]
■ますいねっとのTCIの解説(必読)
ここにはPCでシミュレーションも可能なBeConSimがあります(要登録)
[書籍]
■今日から実践できるTCI 真興交易
■静脈麻酔/TCIソフトウェアガイドブック―研修医からエキスパートまで 克誠堂
初期臨床研修医を募集する市中病院は多いが,後期臨床研修医を独自に募集する市中病院が少ないのはどうしてだろうか?単純に考えれば,後期臨床研修医を受け入れる定員枠がないということである.そんな中でも,独自に募集しているところがある.選考方法は様々であるが,応募締め切りがたいてい9/30か10/31である.どうしても,市中病院で研修したいと考える方は,応募してみては.独自で募集(公募)しているところは,ホームページでアナウンスをしているので,目的とする病院のホームページを探して応募要項を手に入れよう.
麻酔科の後期研修ということでいえば,入局という形をとっているところも多い.その場合は,後期研修説明会は入局説明会と表記されることがある.この入局説明会も,興味を持ったところへは行ってみるべきである.どんな,良い話が聞けるかもしれない.自分で足を運んで集めた情報は,周りの噂や伝聞でのものに比べると雲泥の差がある.実際に,いって話を聞いてみる.これが自分の道を自分で決めるときの鉄則である.
さて,医局説明会(後期研修説明会)が今後予定されているところを,あげておこう.以外とホームページでのアナウンスは少ないうえに,すでに終わっているところもあり,残念である.
広島大学(10/29土),山口大学(9/30金),奈良県立医科大学(10/15土 と 11/3 祝)しか見つからなかった.なんと,奈良県立医科大学は遠方からの参加には旅費・宿泊費等支給があるとのこと.
秋の学会シーズンである。後期研修の情報集めにぜひ学会(地方会、全国学会)を利用しよう。参加して学会の演題を聞くだけでなく、積極的なロビー活動(学会場の外のロビーで活動することからそう呼ぶ)を行って自分が興味を持った施設の先生を捕まえて話をしてみよう。学会では施設名と氏名を書いた名札をつけているので、どこの先生かが一目瞭然である。ほとんどの地方会はすでに終わっているが、関東甲信越地方会はこれから(2005/9/24)である。また、日本心臓血管麻酔学会(岡山 2005/9/23-9/24)や日本臨床麻酔学会(大阪 2005/11/17-11/19)もある。土曜や休日にかかっていることもあるので比較的参加しやすいだろう。また、研修医割引がある学会もあるので、必要な証明書などについても調べておこう。
さらに、学会の懇親会はロビー活動にもまして情報収集のチャンスである。本音の話が聞けるチャンスである。学会に参加したら、懇親会にも参加しよう。当然、懇親会でも名札は着用しているのでどこの誰だかは一目瞭然である。
管理人も心臓血管麻酔学会と臨床麻酔学会には参加するので、見かけたら声をかけてほしい。もちろん、サインもOKである。
先日、当ホームページで紹介した山形大学麻酔科学分野の新しいサイトがあったのを忘れていた。そのサイトでは、「麻酔科医に、なろう!」というコンテンツが大きく取り上げられている。かつ、美しくセンスいい仕上げになっている。麻酔科を考えている方々には一度、訪れてほしいサイトである。
女性の天職?(麻酔科医というライフスタイル)、ドキュメントある麻酔科医の24時間をはじめとする魅力あるコンテンツで構成されている。一部、準備中もあるが今後の発展が楽しみなサイトである。
横浜市大麻酔科では標榜医、認定医を取得後、入局3~5年目の間に自分の意志で自由に研修に使って良い時期(通称フリーエージェント(FA)制度)があるといいます。画期的な制度です。
詳しくは、横浜市立大学医学部麻酔科のホームページをご覧ください。
麻酔科の専門領域は多岐にわたるため、豊富な大規模関連病院と連携し、全国に類をみない新しい研修プログラムを作成したとのことです。
日本麻酔科学会が、「麻酔科後期臨床研修医募集を学会ホームページに掲載」するための原稿募集を始めた。(掲載サイト 日本麻酔科学会).
いずれ、掲載されると思うが、当サイトでも後期研修を麻酔科と考えている皆さんのために近日中にホームページでの状況をまとめる予定です。ご期待ください。それまで、我慢できないとお考えの方は、とりあえず麻酔科のリンク集(さぬちゃんのおすすめホームページ)のところをご覧ください。