研修ワンポイント

Context-Sensitive Decrement Time(CSDT)

1週間ほど前Context-Sensitive Half Time (CSHT)に関する記事を掲載しましたが、麻酔ディスカッションリストで、ちょっと誤解されてしまいましたので、もう少し汎用的な指標について書いておきます。
Context-Sensitive Decrement Time(CSDT)という概念です。CSDTとは、一定濃度Cで投与しているところから投与を中止して、目的とする任意濃度に減少するまでの時間を表現するもので、CSHTが、血中濃度が半分になる時点(0.5×C)を指すだけ(CSHTは50%になるまでのCSDT)であるのに対して、CSDTは、より汎用的であると思います。
鎮静薬の場合、維持濃度から覚醒する濃度になるまでの時間、鎮痛薬の場合は維持濃度から副作用(呼吸抑制など)がなくなる濃度になるまでの時間(鎮痛作用がなくなるまでの時間ではない)が大切であるということ(副作用がなくなる濃度より鎮痛作用がなくなる濃度の方が低い)。
結局、CSDTを意識することによって未来の血中濃度(効果部位濃度)を予測するクセがつくまでトレーニングする必要があるということ。これらをきちんと意識することで、カンで麻酔薬を投与することから脱却しましょう。血中濃度(効果部位濃度)を意識するとともに、BISなどの脳波モニターや麻酔経過中の役立つ所見などで補正をかけることも個人差への対処には必要ですね。
参考サイト:
Rational Drug Selection in Neuroanaesthesia:the Effect Site and Context Sensitive Decrement Times
 Intravenous agents, TCI and TIVA (The Virtual Anaesthesia Textbook)
参考書籍:
■第3章 Good risk症例におけるTIVAの実際?調節するのはプロポフォールか?オピオイドか??p.47-63
 今日から実践できるTIVA(真興交易医書) 編著:木山秀哉 2006年6月 ISBN:4880037672

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