(2)日経メディカル10月号 医学界トピックス

●麻酔薬ラボナールが製造中止 不採算のため設備投資できず

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 田辺製薬は,8月1日,静脈麻酔薬チオペンタールナトリウム(商品名:ラボナール)の製造を中止した。販売は,在庫が切れる来年3月ごろまでは継続されるが,チオペンタールナトリウムは,わが国で行われる手術の約半数に使われており,医療現場の混乱は必至と見られている。

 製造中止の理由として田辺製薬が挙げるのが,チオペンタールナトリウムが500mg352円と薬価の安い“不採算商品”だということ。医療機関の根強いニーズに応える形で生産を続けてきたが,製造施設の老朽化が進み,96年4月に行われたGMP(医薬品の製造および品質管理に関する基準)の改正に対応できなかった。田辺製薬は「会社として改正GMPに対応するための新たな設備投資は難しいと判断し,製造中止を決めた」と説明している。

 なお,代替薬には,短時間作用型のチアミラールナトリウム(商品名:イソゾール,販売:吉富製薬,薬価500mg 305円)やプロポフォール(商品名:ディプリパン,販売:ゼネカ薬品,薬価:200mg 20p 1970円)などがある。しかし,チオペンタールナトリウムと比べ使用が難しい面があるとされており,転換がすんなり進むかどうかを疑問視する声も出ている。


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