(3)SPA!(週刊スパ:扶桑社)10月15日号 P.33

●安価でいい薬が消滅?定評の麻酔薬が採算割れで製造中止に

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 長期間、医師が便い慣れ、薬効も確立した「ラボナール」という全身麻酔薬が、採算割れで製造中止となることになった。この薬は'51年に田辺製薬から発売され、以来46年間、妊娠中絶手術など短時間の手術や、精神神経科の治療などで使われてきた。ところが10年来採算割れが続いており、同社が'88年から厚生省に対して薬価値上げを陳情し続けたが認められず、さらに昨年「医薬品の製造管理及品質管理に関する基準」(GMP)が強化され、約10億円の設備投資が必要となったのだ。これに対して厚生省は「現在検討中です」とノーコメント。しかし今回の製造中止は、いち麻酔薬だけの問題ではない。「麻酔薬は、ひとつ間違えれば患者さんを死なせてしまう劇薬です。使い慣れた薬でないと事故の起きる心配が出てきます。また新薬は高価なので患者さんの負担も大きくなります。さらに病院が代替薬のメーカーとそれまで取引してなかった場合納品が後回しされる危険もあります。このように、さまざまな支障が出る可能性があるのです。採算割れしている安い薬はほかにもたくさんあります。企業原埋からいえば、コスト割れの製品を製造中止するのは仕方がないと理解できますが、しかし我々は”安くて必要な薬”が市場から消えてしまう現在のシステムを問題視しているのです」(日本麻酔学会)同学会ではメーカーや厚生省に要望書を提出するという。厚生省には、くれぐれも迅速な対応を望みたい。もちろん”支障”が出る前に。


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