指導法ワンポイント

閉腹時の筋弛緩薬投与

閉腹時に外科医におなかが硬いといわれることがある。その意味合いは様々で、本当に硬いと思うこともあれば、ついついクセで言ってしまう外科医もいる。本当の場合は、明らかに腸管が見えている。言いがかり(管理人はそう呼んでいる)の場合は、腹壁を引っ張っても内容が出てくるわけではなく、腹腔内にきちんと腸管は収まっている。気のせいなのである。
気のせいでない場合は、麻酔を深くするか、筋弛緩薬を少量投与すれば大抵は喜んでくれる。以前は、アルチバを増やすかプロポフォールを増量して対応していたが、最近、ブリディオンを使うのを前提に、筋弛緩薬を投与することも多くなった。ただし、常時、筋弛緩モニターでTOFは確認、表示している。最近、問題に思っているのは筋弛緩をモニターせずに筋弛緩薬を追加投与する場合である。管理人が指導しているのは、筋弛緩薬が切れるのを確認できてから追加投与をすることである。筋弛緩薬が切れるのを確認せずに、漫然と追加投与すると全く反応しないまま、閉腹を迎える。そこで、おなかが硬いと言われて慌てて、筋弛緩薬を投与し、抜管前にはじめて筋弛緩をモニターするとTOFも1発も出なければ、50Hzテタヌス刺激にも反応しないのをみたことがある(当院ではない)。こうした場合、ブリディオンであればどうすればよいのか。ブリディオンの投与量の目安は、ロクロニウム投与直後:16mg/kg、1-2 in PTC:4mg/kg、T2 in TOF :2mg/kgである。PTCが出ないといけないのだが反応がないと言うことは4mg/kgではいけないのだろう。ロクロニウム投与直後と同量の16mg/kgを投与すべきかあるいは1-2 in PTCを待つべきなのか。筋弛緩モニターで筋弛緩の程度を評価していないと、こんな事態になる。テタヌス刺激に反応しない理由が、本当に効き過ぎているのか、モニターの使い方が悪いのか突き止めなければならないが、いずれにしろ問題である。せめて、1回ぐらいはTOFで1発か2発出る(初回投与量が筋弛緩薬が切れてくるかどうか)のを確認して、筋弛緩を追加投与するクセをつけておかなければいけない。
筋弛緩モニターなしで盲目的に筋弛緩薬を投与する時代ではないだろう。筋弛緩モニターがない場合にも、せめて神経刺激装置でTOFぐらいは、1回は術中にモニターして欲しいものである。ブリディオンというのは、筋弛緩の残存具合により投与量を変える必要のある薬剤であるというのをお忘れなく。

「iPhone4」の予約打ち切り ソフトバンクモバイル前のページ

iPhone4の本申し込みのメールが来ない次のページ

関連記事

  1. 指導法ワンポイント

    他人とは違った教え方ができる能力

    IT理論というのを以前紹介したことがある。思い出していただけただろうか…

  2. 指導法ワンポイント

    DVDでみる経食道心エコー法アドバンス

    「経食道心エコー法マニュアル(改訂第3版)」の著者,渡橋和政先生の本.…

  3. 医療全般

    エコーガイド下中心静脈穿刺

    2010年麻酔科エキスパートセミナー in Hiroshimaでもご指…

  4. 初期研修医向け

    会長企画:工夫とロジック

    第55回日本麻酔科学会学術集会で 緊急公募していた、会長企画"私のテク…

  5. 初期研修医向け

    「自分探し」を終わりにしよう

    自分探しを続けている人は多いと思う。個人によって、その意味は大きく異な…

  6. 指導法ワンポイント

    下あごの位置

    msanuki.orgでは以前から,"歩き","常歩(なみあし)"につ…

PAGE TOP