学会や研究会などでのプレゼンテーションでは、様々な手法がある。以前はスライドに凝るだけのものが多かったが、最近ではスライドだけではなくストーリーが重視されるようになってきている。まず一番多いのが、起承転結を守っているもので、最後まで結論はわからないもの(1)。最近よくあるのが、全体の概略を示して、小見出しに沿って話を進めていくもの(2)。ちょっと型破りだが、結論を先に話して、その結論を補うように事実や理由を話していくもの(3)などがある。(1)の場合、10分以内の講演や一般演題などに使うことが多い。(2)では、講義や教育講演などで使うことが多い。(3)の手法はk基礎系の研究者が使うのをみたことがある。全部話したいのだが、結論を導き出した過程や内容が聴衆には少し難しい場合、結論を先に述べてしまう。こうすることで、結論を聴衆に確実に印象づけることができる。
もう一つ、起承転結について考えてみよう。起承転結の手法は短いプレゼンに向くオーソドックスな手法であるが、このパターンはオーソドックスで、トピックス的な内容を話すときにはすこし、印象がうすい。
そこで、最近、管理人が用いているのは起承転結ではなく、序破急というパターンである。序破急とは日本芸能における3形式で、能楽では「序」が導入部、「破」が「序」を受け継ぐ展開部、「急」で加速し終結する。雅楽では、「序」が無拍子かつ低速度で展開され、太鼓の拍数のみを定めて自由に奏される。「破」から拍子が加わり、「急」で加速が入り一曲三部構成を成している。「起・承」が「序」、「転」が「破」、「結」が「急」と一般的に捉えられている。序の部分でゆっくり始め、すぐに本題に入る、ここではある程度、抑揚をつけて流れを途絶えさせないようにリズムよく話を進める、ある程度まとまったところで最後に急でまとめる。長い講演の場合は、2-3回繰り返すこともある。スライドだけでなくストーリー展開やリズムについても、プレゼンを聞くときにそのつもりで研究してみるとおもしろい。上手なプレゼンはリズム感が大切だと思っている。