研修ワンポイント

ブリディオンつかってみた

筋弛緩回復剤「ブリディオン」(一般名:スガマデクス)が使用できるようになった。早速,使用してみた。下記の投与目安にしたがって使うと筋弛緩モニターでT2が出現したときには2mg/kgである。
ブリディオンを使用する場合は全例、筋弛緩モニターを行う必要がある(添付文書に明記されている)。
管理人にとっては、筋弛緩薬を使用したときには筋弛緩モニターは当たり前なのだが、いろいろなところで、筋弛緩モニターなしで筋弛緩薬を繰り返し投与している状況を目撃する。
また、これまでのアトワゴリバースの効能書きには、「筋弛緩モニターによる回復又は自発呼吸の発現を確認した後に行うこと」とあるだけで、必ず、筋弛緩モニターを使う必要はない。ブリディオンでは筋弛緩モニターによる筋弛緩の程度を評価することが、投与量の決定に必要で、効能書きにここまで具体的に書かれると、モニターを使わないわけにはいかない。
すなわちブリディオンを投与するということは、筋弛緩モニタリングは必須になるのである。ということは、筋弛緩モニターが売れるということになる。ロクロニウムとスガマデクスと筋弛緩モニターの3つは、同じ会社が売っている?ような気がするが。。。
アトワゴリバースは、考えてみれば拮抗するといっても、あまりに他力本願的である。神経筋接合部のアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼを阻害して、アセチルコリンの分解が起きないようにすることでアセチルコリンを増やすというものである。これは、持続時間に問題があるのと、拮抗できる筋弛緩の程度に限界がある。真の意味での拮抗薬とは言い難い。
ブリディオンは、ロクロニウム分子を包み込む「包接」という様式で、拮抗する。つまり、特異的なのである。しかも、一度、拮抗すると作用は翌日ぐらいまで続くのである。これは、安全のためには必要なことである。作用の継続が短いと、また、筋弛緩作用が発現する。逆に、再度、ロクロニウムを投与しても効果がほとんどないという事態となる。”もろ刃の剣”なのである。
巷では、薬価が高いから使わないとか言っているのをよく耳にするが、必要ならば使用すればよい。保険適応になっている薬ですから。
不要なのに使うのはどうかと思う。なんでもかんでも、ブリディオンというのではなく、必要な症例を見極めて適切に使うのが、真の専門医なのだと思う。
薬価は200mgが9947円、500mgが2万3652円である。少々お高いので、これをきっかけに今後、麻酔薬の薬価についてのムーブメントが麻酔科医に起きるのではないかと思っている。アルチバ、ディプリバン、セボフルラン、笑気など麻酔薬の値段を知っているだけでいけなくて、1症例あたりいくらになるかが計算できますか?
ブリディオンは、”専門医の良識”で使う薬である。その意味では、議論に事欠かない薬になるのではないかと思う。
【ブリディオンの投与量の目安】
ロクロニウム投与直後:16mg/kg
1-2 in PTC:4mg/kg
T2 in TOF :2mg/kg
■ブリディオン添付文書
シクロデキストリン(先端科学をのぞいてみよう)
筋弛緩回復剤「ブリディオン静注」を発売 シェリング・プラウ(薬事日報)

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