麻酔科医になろうよ!!

2007年09月28日

ヤブ医者の定義

ヤブ医者とは何だろうかと考えてみた.「できない医者」のこと?と考えてみたところで,ネットで調べた.知泉Wikiによると,”「薮」というのは当て字ではないか?と言う説が現在は有力で、もともとは『野巫:やぶ』だったらしい。この『野巫』とは「田舎者の巫女:みこ」の事を意味している。当時の日本では薬学もあまり発達していなかった為に、病気になった場合、巫女が祈祷をして治すと言う習慣がまだ残っていた。そこであまり上手に病気を治せない巫女は田舎者とされていて「下手な医者」のことを『野巫』というようになったらしい。”とのこと.そして最近では藪にもなれない医者を”筍(タケノコ)医者”と呼ぶらしい.
さて,その薮医者であるが,初期研修医は”薮医者”ということになるのだろうか.ということである.いつの時点で,できなければ"藪"と認定されるのだろう.たしかに,研修医でも医師免許を持っており,保険医なので患者さんの診療を行っている.特に,夜の救急外来などでは初診を見る施設もあるだろう.
...初期研修医はまだ修行中なので”藪”ではなく”筍”という説もある.後期研修医はどうであろうか.やはりできなければ”藪”かも知れない.しかし,まだ猶予期間である.
管理人の意見は,こうである.「専門医という資格があってもできなければ,藪である」.むしろ,専門医という資格にふさわしくない力量の持ち主が藪であると思う.今の専門医制度は,基本的に再試験がない.また,我が国には医師国家試験にも再試験がない.その医師の,その時点での力量を公平な目で判断するものは何もない.患者さんの風評のみである.薮といわれないように,実力を維持していくことが大切であると思う.

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2007年09月25日

指導医の進化

研修医も進化するが,指導医も進化する.同じ指導医に習ったとしても2年前と今とでは指導内容が違う.少しずつわかりやすいように指導法を変えているはずである.少なくとも管理人は,2年前とは指導内容が違う.相手にあわせて進化する必要がある.その指導が受けない場合は,ネタを変える.何度も同じ事を教えていると,指導する側も指導に変化をつけたくなるというのも真実である.
 キチンと勉強してくる研修医には教えられることが多い.勉強してくるから,疑問も湧いて質問が必ず出る.管理人は,その質問により良い答えができるよう心がけている.その心がけが,指導医を変化させるきっかけになる.

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2007年09月24日

上手なプレゼン,わかりやすいプレゼン,楽しいプレゼン

プレゼンの要素で最も大切なのは,聴衆をいかに楽しませるか(学会なら感心させるか)ということだと思う.もちろん,スライドの要素も大切だが,聴衆の反応を見てプレゼンをすすめることが大切である.プレゼンは対話であると思う.管理人が尊敬するジョブズの新型iMac紹介のプレゼンをごらんいただきたい.ここには勉強すべきプレゼンの心構えが満載である.ぜひ,このプレゼンから上手なプレゼンはわかりやすいプレゼンであり楽しいプレゼンであることをみてほしい.

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2007年09月20日

黒子のように動く?

今年の4月に大学病院に転勤してから,以前の病院の初期研修医とのモチベーションの違いを感じることが多くなった.管理人のポリシーは,研修医が大切なことに気づかない場合は,”黒子のように動いて”,患者さんに迷惑をかけないように何事もなかったかのようにすることである.前の病院にいた頃は,黒子のように動く頻度は少なかったのだが,今は頻繁である.明らかに違う.ここまでくると,殿様麻酔である.研修医の研修のために時間が流れていると感じることさえある.
愚痴を言っている故ではないが,もう少し,「麻酔科研修チェックノート」を読み込んできてほしい.麻酔科研修が始めるまでに,最低1回は読んでおいてほしい.

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2007年09月19日

デジタル文献整理術 第3版

克誠堂からデジタル文献整理術 第3版が9月18日に発売されました.EndNote WEBの使い方を追加して,バージョンX11までに対応しました.

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2007年09月11日

レミフェンタニルの感触(200709)

最近,レミフェンタの使い方がすこしわかってきた.皆さんが困っていることに対して,管理人も困っていたが,これも少し解決しつつある.コツがわかったという感じだ.効能書きどおりにレミフェンタニルを使用しているうちは,どうも具合が悪かったのだが,工夫を重ねるうちになんとかなる様になってきた.コツはムキにならないこと.レミフェンタに頼りすぎないことである.

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2007年09月10日

サヌキャップ

日経メディカルオンラインとカデット第3号(2007年9月5日発行)に"サヌキャップ"が紹介されています.Cadettoはイタリア語で弟の意味。『日経メディカル』の弟分である若手医師向け雑誌『日経メディカルCadetto』です。U35ドクター向けのキャリアアップ関連情報をお届けします。
■日経メディカルカデットの冊子体はここから申し込みができます.(医師であれば無料で送付されます).ただし,今からの申し込みでは第4号からになります.

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2007年09月09日

ACLSヘルスケアプロバイダーコース(G2005)

先週に引き続いて,ACLSヘルスケアプロバイダーコース(G2005)を9/8-9/9と受講した.なんと,後になって気づいたが,本日は救急の日である(9月9日).それはさておき,感想を忘れないうちに書いておきたいと思う.
BLSとACLSの違いは”身体で覚える”割合かなと思った.先週のBLSでは,ほとんど頭は使わなかった.判断を要求される場面が少ない.ひたすら有効なCRPとAEDである.心電図も読む必要はなくAEDにお任せ.こちらは,前回も書いたがビリーのブートキャンプのノリで押していけば,受講生はついてくると思う.しばらくは...ある意味,やりやすい.
年齢を超えて,職種を超えて同じノリで大丈夫だと思う.
しかし,本日のACLSはちょっと頭も使う.decision makingの場面でも,時折,悩ましいことがある.院内のチームのリーダーであるので,多くの人に遅滞なく指示を出さなければならない.G2005でのおきまりの手順に従う必要があるので,G2005を覚えたての管理人にとっては,考えながらの指示だしになる.ちょっとぎこちない.これらの,アルゴリズムを完璧に何も考えなくても反射的にできるようになるには,すこし実務が必要だと感じた.機会があれば,何回かコースを見てみたい.
もう一つ,ACLSとBLSで参考になったのは,他人のチームリーダーぶりを見ながら何回も繰り返し勉強できるという点である.これで,けっこうイメージトレーニングができる.自分がリーダーをやっているときには気づかないことを,冷静に見ることができるので,自分の番では注意して行うことができる.繰り返し学習することの大切さが,1回のコースを受講しただけで身にしみてわかった.
そして,受講生もけっこーハードだがインストラクターはもっとハードだということもよくわかった.大変ありがとうございました.
さて,これだけでは読者が満足しないので,管理人がコース中に考えていたことを少し書きたいと思う.胸骨圧迫に使う筋肉(や関節)はどこかということである.ご存じのように胸骨圧迫(心マとはいわない)は100回/分のペースで行うのであるが,もうひとつ,押したら完全に戻さなければ次を押してはいけないのである.押すときは体重がかかっているので,きんにくはそれほど使わないが,戻すときが問題である.遅滞なくリズミカルに100回/分のペースで有効な胸骨圧迫を行うには戻すときに,筋力をつかうのである.リズミカルに行うには押した後に,戻すことが常に頭になければならないのである.これは,まさにスポーツのように使用すべき筋肉,鍛えるべき筋肉を論ずるべきであろう.かりに,うまく胸骨圧迫ができるようになった疲れにくいプロバイダーを.心マスター(心マ・マスター)とよび,要領よく心マを指導できるインストラクターを心マニア(心マ・マニア)とでも呼んだらおもしろいかもしれない.さて本題に戻ろう.胸骨圧迫の時に使う筋肉であるが,押すときはどこから曲げると楽かといえば股関節である,背骨,とくに腰椎を曲げるイメージを持つと腰を痛めてしまう.戻すときは,腕が肩胛骨からついていると認識すると,肩胛骨を動かして引き上げればよい.いかがであろうか.これが管理人が2週に渡って考えていた心マスターへの道である.

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2007年09月07日

セボフルラン1.5%キャンペーン

”セボフルラン1.5%キャンペーン”というのが始まっているそうだ.ちょっとちょっとである.
電脳麻酔ブログに解説があるが,管理人もフェンタニル,レミフェンタニルを十分併用の状況では1-1.5%でよいと思っている.萩平先生の以前の解説でも1.5%はいらなかったように思う.少なくとも,吸入麻酔薬濃度を計測している限りにおいては1.5%はいらないだろう.覚醒の危険性があるのでというなら,1%以下にしないというので,よいのではないか?そもそもプロポフォールと違ってセボフルランでは術中覚醒は発生率が低く,1%を1.5%にすれば発生率が下がる?というのはどうであろうか.たしかに,濃度を上げれば鎮静は強くなるだろう.しかし,十分に鎮痛がなされている状況においては血圧も低下する.麻酔科医にとっても麻酔の維持をするのが困難な状況になるのも確かである.一律に1.5%にしようというのはいかがなものか.それよりも,きちんとモニタリングをして,いずれの条件もみたして患者さんの麻酔状態を整える濃度で使用するというのが,本来の使い方であろう.ケースバイケースである.個々の患者さんの状態を把握することができる麻酔科医の責任において濃度を上げるべきであって,一律に1.5%にしようというキャンペーンには賛成しかねる.

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2007年09月02日

BLSヘルスケアプロバイダーコース(G2005)

本日,AHAのBLSヘルスケアプロバイダーコース(G2005)を受講した.来週はACLSプロバイダーコースを受講する予定である.AHAのG2005を再履修する目的でうけてみた.以前,といっても5年も前にACLSプロバイダーコース(当然AHAではない)をうけていたのだが,最近,思うことがあって再履修する気になったのだ.DVDでデモを見せながら,一緒に実践するという形式で,まるでビリーのブートキャンプである.ちょっと違うのが,ビリーよりやっている内容が深刻だということ.DVDを見ながらグループでトレーニングを行うことに関しては,ビリーと同様の効果があるのではなかろうか.ビリーも,スタジオでいつも開催されれば続けられる人も多くなってくるのでは?と思った.ビリーの続けられないのは,自宅でできるのだが,チェックする人がいないところ.最近,ビリーのDVDを手に入れて自宅のDVDの前でTRYしようとしているのだが,見ているだけで満足してしまう.実際はやっていないのだが,やっている気になる,できた気になる.そんな効果があるように思われる.ノリはビリーほどでもないが,本日のBLSコースはビリーを,会場でそれもチェックするプログラムつきで行っている,実践プログラムであった.
そんなわけで管理人は,大変満足して帰ってきた.インストラクターの皆様に感謝します.医療系のプログラムで,久々に楽しかった(もちろんインストラクターやコース責任者のかたがたのしゃべりも大きく関与している).

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2007年08月30日

お金の取れる麻酔...つづき

昨日のつづきである.
タイミングよく,お金の取れる麻酔を実践している様子を描いた記事が出ている.「膝関節鏡と大腿神経ブロック(電脳麻酔ブログ)」である.管理人の目指している「お金の取れる麻酔」そのものである.患者だけではない,外科医からもリクエストがもらえる麻酔である.
皮肉なことに「お金の取れる麻酔」は,実際には「お金を稼げる麻酔」ではない(意味が違う).「お金をいただいても,はずかしくない麻酔」である.これを実践するには,日頃からの勉強とスキルの維持・向上が必須である.さらに,常に新しいことに挑戦する勇気も必要である.新しいことというと,JK大学泌尿器科の内視鏡手術を想像するかも知れないが,そんなできそうもないことでなく,実力に見合った範囲内での新しいことである.

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2007年08月29日

お金の取れる麻酔

むかし,先輩の先生から「お金の取れる麻酔ができる麻酔科医になれ」と言われた.最近,このことを思い出したので,ここに書いてみる.
管理人が研修医の頃,大学病院から市中病院に出向になった.そこで,今はすでに亡くなられた先輩に,「気管挿管ができるだけの医者はいらない!」といわれた.まさにその通りだと思った.決して,管理人が気管挿管のできる医者を目指していたわけではないのだが,その言葉を聞いて「これだ」と思った.要するに,専門性である.専門性をもてということ.気管挿管ができるというのは,べつにたいしたことではない.判断ができるようになることが大切である.どういう状況で,どういう患者にということの方が大切である.手技をマスターするということのみに終始してはいけない.その判断ができるようになり,特殊な手技を上手にできるようになることが本当に,気管挿管をしてお金の取れる医者ということ.
気管挿管をしてくれと依頼されて,ただ気管挿管ができるだけというのはあまりに寂しい.気管挿管の周囲にあることを多く学んで,それをできるようになるという過程が大切.その周囲にあることを深く掘り下げることが,専門性(専門医としての道)につながる.
できるとかできないとかといったことだけを考えているうちは,到底,専門性はもてない.何科であっても意味は同じであろう.
これを,麻酔という行為に当てはめてみると,全身麻酔を依頼されて全身麻酔を行うことができる.というレベルを維持するだけではいけない.同じ患者に,どのように麻酔を行えば,合併症がなく快適で満足のできるレベルの麻酔を提供できるかが大切.この満足できるというのは,時代やここの患者により異なるのである.ここまででよい,と勝手に自分で決めつけないようにしたい.
これが,「お金の取れる麻酔」であると思う.昔,麻酔を習ったので麻酔ができると思っているかた.今の麻酔ができるだろうか?このことは,自分自身でも考えて続ける必要があることだと思っている.

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2007年08月23日

第2回広島麻酔エキスパートセミナー

2008/8/17(金)に行われた第2回広島麻酔エキスパートセミナー「静脈麻酔/TCIシミュレーションソフトウェアを活用する」は,PK/PDから静脈麻酔薬の特性の話まで含んだ,これまでの麻酔科のどの講演でも聴いたことのないオリジナリティーの高い話だった.管理人は,非常に満足であったが,後期研修医の先生には少し難しかったかも知れない.あの内容なら全国ブロードバンドで流しても恥ずかしくないと感じた.今後も質の高いセミナーを維持していきたい.講師の先生方,よろしくお願いします.

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2007年08月17日

PCの日本語入力

最近は,医療情報システムに日本語入力する機会が多いが,きちんと日本語入力ができない医師や看護師がいる.かな漢字変換の仕方が我流である.システム端末の使い方は教えてもらったことはあると思う.しかし,日本語入力の仕方は教えてもらっていないのではなかろうか.そこで,そんな心配のある諸氏に本日は日本語変換のポイントを紹介したサイトを紹介したい.こっそり勉強してほしい.
■あなたの日本語入力は間違いだらけ
 快適!日本語入力(1)IME、ATOKの便利な使い方
 快適!日本語入力(2)間違いに慌てるな!入力・変換テクニック 
 快適!日本語入力(3)辞書の精度を下げない変換のコツ
いづれも,日経PCオンラインからです.

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2007年05月31日

AIRTRAQ

本日から札幌で日本麻酔科学会第54回学術大会が開催されている。管理人も、参加中。AIRWAYスコープの対抗機種、AIRTRAQが展示されている。もうすぐ日本でもMERAが販売するそうである。価格は本体が¥11,000(ディスポーザブル)、カメラが約\120,000(定価)だそうである。カメラがなくても本体だけでも気管挿管が可能なのがよい。AIRWAYスコープは約80万円なので、対抗機種にはならず、AIRTRAQの方がずいぶん安価である。操作性は、AIRWAYスコープの方が慣れているせいか簡単に感じた。AIRTRAQは操作性がいまいちの様な印象だが、ちょっと扱ってみた限りでは合格範囲内である。これなら外勤先の病院に、買ってと言ってもお願いしやすい。

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2007年05月30日

プレゼンのスライド

プレゼンのスライドについて有用なアドバイスが、電脳麻酔ブログに出ている。「最後の仕上げ」である。準備したスライドから一枚だけ省略することを考えてみよう。というもの。この一枚を減らすという作業ができるようになれば、もうプレゼンの達人は目の前である。時間配分に気をつけてプレゼンができるようになっている。この減らすという作業は、大切なアドバイスである。管理人ももう一度プレゼンファイルを見直して減らす努力をしてみる。

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2007年05月21日

アイ~ンを検証してみた

今日は午後から外勤だった.本日の外勤先には,現在もれなく初期研修医2年目の麻酔科研修指導がついている.そこでマスク換気や気管挿管に悩んでいる研修医の先生に「アイ~ン」が通用するかどうか試してみた.結果は大成功.うけるだけでなく,教育効果絶大.きちんとできるようになった.「アイ~ン」は使える.下顎を持ち上げる操作を忘れている研修医の諸君が多いのだが,これで忘れないだろう.本日は確信を持った.回りの看護師さんにもうけていた.
結語:「アイ~ン」は,大衆の前で講義の際に使うより,実際の実技指導の場面でつかう方が効果的である.

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2007年05月14日

話し方のトレーニングができるDS用ソフト

なんと,話し方のトレーニングができるDS用ソフト『ビズ能力DSシリーズ 話心の素』がコクヨから7月26日に発売される.すごい,時代になったものだ.”ゲーム機で,トレーニング”である.スポーツのトレーニングではなくビジネスの基本を鍛えるトレーニング.プレゼンや人との対応能力を磨くために役立つに違いない.

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2007年05月12日

PDAや携帯でPubmed

英文文献の検索にPubmedを利用することは日常になっていると思いますが,モバイルpubmedはいかがでしょうか.手元にあいているPC端末がないときにちょっと検索できます.PalmWindowsMobilePubmedを検索できるものが出ています.ご存じでしょうか.ソフトウェアをインストールするものとWEBブラウザの表示をモバイル用に変更してあるものがあり後者では機種に関係なく使用できます.PalmやWindowsMobileでない,たとえば管理人のようなnokia E61などのシンビアンOSでも後者が使えます.表示したホームページの右上の方法です.

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2007年05月03日

ダブルキセルと上乗せオピオイド

電脳麻酔ブログに「キセルとチャンポン」が紹介されている。キセル麻酔はおなじみだが、チャンポン麻酔とはいかなるものか。電脳麻酔ブログによると、アルチバで鎮痛のそこあげをしておいて、フェンタニルを適宜追加していく方法を指すらしい。アルチバを笑気のような感覚でベースに流しておき、その上に使い慣れたフェンタを追加するというもの。強い侵襲が加わったときにはアルチバのボーラスで対応しておきフェンタも追加する。じつは、この方法は管理人も最近、愛用している方法でアルチバの使用量を減らすメリットと覚醒時のシバリングがおきないメリットがあると考えている。フェンタ使いの管理人には非常にやりやすい方法である。こちらでは「上乗せ(うわのせ)オピオイド」と呼んでいるものである。アルチバの最後の乗り換えを麻酔のはじめから行っている感覚である。
もう一つ、最近行っている方法は、「ダブルキセル」である。オピオイド(鎮痛薬)のキセルはもちろんだが、鎮静薬のキセルも行う。このことをダブるキセルと呼ぶ。フェンタ-アルチバーフェンタのキセルと、プロポフォールーセボフルレンープロポフォールである。鎮痛薬の方は、コストは度外視、鎮痛薬の方はプロポフォールの消費量を減らすためセボフルレン(2L/min中流量)を併用する。まあそこまでこだわらなくてもよいが、手術が長くても少々肝機能が悪くてもプロポフォールを500mg以内(導入時に用意したTCI用の50mlを1本)で終わらせるので覚醒が遅くなる心配は少ないし、無駄がない(ゼネカさんごめんなさい)。
最近は、ダブルキセルのオピオイドを上乗せ麻酔としているのでもっとお安い。学術的な意味づけはこれからであるが、アルチバの乗り換えの一つの方法として「上乗せオピオイド」はお手軽で先に書いたようなメリットが期待できると考えている。いかがだろうか。

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2007年04月12日

pkBOX

AP通信に国立循環器病センター麻酔科の内田先生が開発されたpkBOXが出ています。これは、シリンジポンプから通信でデータをもらい、予測の血中濃度やeffect siteの濃度を表示するものです。製作にはケースの工作や数百カ所のハンダ付が必要になります。管理人は、今度の日本麻酔科学会でpkBOXの工作とその注意点について一般演題で発表の予定です。現在、内田先生の製作されたオリジナルのpkBOXが5台、管理人の製作したpkBOXが2台で計7台が世の中に存在しています。
ちなみに、AP通信のものは手で持っていますが、管理人のは点滴台にマウントできるように、シリンジポンプの余った架台を使って工作しています。

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2007年04月09日

アルチバの「キセる」と乗り換え

アルチバの使い方で、Transient(transitional) opioidという方法がある。アルチバをoffにする前に、鎮痛作用時間のより長い、フェンタニルやモルヒネなどに乗り換えることをさす。乗り換えるという言葉を使っていたら、「キセる」に似ていることに気づいた。以前、セボフルランのキセる麻酔を紹介したが、アルチバもキセると簡単である。はじめと、終わりはフェンタニルで途中はアルチバでというのが、アルチバのキセる麻酔である。慣れていないうちは、フェンタで導入しその後アルチバの持続を始める、術中で侵襲が大きいフェーズにはアルチバで行うが、最後にアルチバからまたフェンタに乗り換える、キセる麻酔を行えばよい。だんだん慣れてきたら、導入にもアルチバを使い、最後だけフェンタに乗り換える。
「キセる」と「乗り換え」はいずれも電車の用語のようである。キセル乗車、電車を乗り換えるなどと使う言葉である。
管理人は、アルチバの使用量を少なくするため(残液を出さないために)に1本単位で、きりのよいところでフェンタに乗り換えてしまう。

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2007年03月19日

頭で理解し 身体で覚える 気管挿管トレーニング DVD

日経メディカルから「頭で理解し 身体で覚える 気管挿管トレーニング DVD」がいよいよ3月25日に発売されます。どうしたら気管挿管ができるようになるかを追求したDVDです。上記のURLからサンプル画像が見られます。初期研修医、救急救命士をはじめとして、普段、気管挿管をおこなっているがなんとなくやってきた医師にも対応しています。教科書には書かれていないトレーニング法を満載しました。やみくもに練習してもダメです。きちんとできるようになるには、それなりの知識が必要です。わかっているつもりでわかっていない方の”こそ勉”にも役立ちます。
指導者が,初心者にステップを踏んで教えるときにも役立ちます.これまで何気なく教えていた(教えられていた)ことが,DVDの解説により”すっきり”します.

このDVDでは、マッキントッシュ型喉頭鏡を使うことを前提に、基本的な挿管手技のトレーニング方法を紹介しています。喉頭鏡の仕組みとその正しい使い方、初心者が試みるときに注意すべき点、人形での挿管トレーニングの限界などについて解説。DVDで紹介したトレーニングを行うことで、気管挿管がスムーズにできるようになります。

<主な内容>●これが達人の技だ! 模範演技 ●讃岐流トレーニングのポイント ●喉頭鏡の仕組みを知れば挿管は簡単 ◆喉頭鏡の仕組み ◆立ち位置&姿勢 ◆挿管時の頭位 ◆開口操作 ◆喉頭鏡挿入&喉頭展開 ◆気管チューブ挿入 ●達人への近道 ◆人形の限界を知る ◆達人直伝!自主トレメニュー ◆準備は万全に ●達人の技 ポイントチェック

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食道誤挿管

ちょっと前、食道誤挿管に気づかず患者を低酸素症に陥れ意識障害になったとの報道があった。CO2濃度が低かったが、重症ぜんそく発作と思いこんだとのことである。思いこみによる単純ミスともとれるが、真相はわからない。食道挿管した場合、CO2は全く出ないかといえば、そうではない。かすかに呼気CO2モニタでも山が出る。これを見て、重症ぜんそく発作と思いこんだのかもしれない。
幸いなことに、管理人はこれまで食道挿管に気づかずに放置したことはない。逆に、ぜんそく発作を食道挿管と思いこみ再挿管したことは何度もある。研修医の頃から、気管挿管後におかしかったら食道挿管を疑って何をさておいても、即、再挿管を実践してきた。自信が持てなかった時には、気管支ファイバーでのぞいてみたりもした。
重症ぜんそくなら、気道内圧は高く、呼気CO2がほとんど出てこないはずである。食道挿管なら気道内圧ははじめは低いはずである。よほど、マスク換気時に胃内にガスを送り込んでいなければはじめは低く、人工呼吸器で送っているうちに高くなるはずである。
きっと、ぜんそくの既往がある患者さんだったに違いない。ぜんそく、ぜんそくと既往症を復唱しているうちに思いこみ勘違いの悪いサイクルにはまったのではなかろうか。
このような換気ができないという危機的な状態で、パニックに陥ったときの心理は、計り知れないものがある。
とにかく、おかしかったら再挿管である。

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2007年03月15日

初期研修におけるTEE

以前,初期研修医にTEEのどの画面でどんなことが判るのですかと聞かれた.簡単に説明したが,何か書物が欲しいという.本気で勉強する気になれば,TEEの教科書を薦めるが,そこまでの時間はないという.
困った.
An Anesthesiologist's Dayのブログを勧めたが,その時点ではぴったりした記事はなかったという.本日,その質問の答えとなる記事がUPされた.ここを参照して欲しい.
また,CABGだけに限っていえば”冠動脈バイパス術のTEEをいかに速く正しく記録するか ? —ひとりTEEと麻酔科医—”日本臨床麻酔学会雑誌 25(7):616-625,2005.が決定版であるのでぜひ入手(PDF)してよんでおいてほしい.しかし,超凄腕の麻酔科医でなければ,麻酔をかけながら一人でTEEはできないので,そのつもりで.
麻酔科研修チェックノートの改訂第2版には, ASE/SCA のガイドライン(Anesth Analg 89: 874, 1999)の主要20断面を載せておいたので,4月以降に研修する諸君は,参考にして欲しい.いずれにしろ,初期研修医の段階では自分でTEEを操作する機会はないが,見学する機会があり,その場で指導医の説明を理解できれば良いだろう.積極的に質問して欲しい.

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2007年03月12日

IT理論

第7回麻酔科学ウィンターセミナーでの,内田先生の講義の中で知ったのだが,「IT理論」というのがある.ITというのはInformationTechnologyではなく,Impression Timesである.IT理論というのは学んだことを脳に定着させるための理論である.つまり,印象(Impression)と回数(Times)の掛け算によって私たちは学んだことを脳に定着させているということです.いわれてみれば,当たり前なのですが,キチンと認識しているかどうか.すべてにおいてI×Tが必要なのです.1回で覚えたと思っても,いつか忘れてしまう.定着させるにはIが少ないものはTを増やす必要がある.Iがすごいものは1回で覚えるのだが,私たちの日常ではIが高いというものはそれほどない.やはり,如何にTを増やすかがポイントです.

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2007年03月09日

気管挿管トレーニングについての答え

昨日、挿管人形では気管挿管はうまくならないと書いた。さらに、AP通信では"挿管人形ではうまくならない!"という記事を書いていただいた。実は、ここに書いてあるすべて+αの挿管人形の欠点について、3月25日、日経メディカルから発売予定の管理人が主演 兼 監修の「(頭で理解し身体で覚える)気管挿管トレーニングDVD」に動画で盛り込んであります。また、これまでの初期研修医の指導の中で、管理人が開発した気管挿管トレーニングの方法を詳細に述べました。msanuki.bizにある様な、素振りやエア挿管も入っています。これまで、麻酔科医が教えてなかったトレーニングです。
なぜ、研修医が気管挿管の上達が遅いかと言えば、まず第一に気管挿管実習に来る救命士とちがって切迫したものがないからだと思います。救命士の方々は、私がアドバイスする一言一言を大事にして次の挿管では、必ず欠点を克服しているのですが、研修医にはそれがない場合が多いのです。2ヶ月(うちの病院の麻酔科ローテーションは2ヶ月)もすればうまくなるだろうと思っているのかもしれません。スポーツと一緒で、うまくなろうと思えばオフトレが必要です。ここのオフトレが十分できているのが救命士、不十分なのが研修医です。やはりステップを踏んでトレーニングすることが重要なのです。
どうしてマッキントッシュ喉頭鏡で喉頭展開ができるのか。どの方向に入れてどうすれば展開がうまくいくのかがわかるには、静的な解剖だけでなく、動的な解剖がひつようです。それを前もって学習するには、注意すべき点を予習しておくことが必要なのです。また、麻酔科医(達人)が行う気管挿管を、鋭い目でじっくり観察することも必要です。
ですから、頭で理解し身体で覚える気管挿管です。マッキントッシュ喉頭鏡の構造や仕組みを知らずして気管挿管はできません。握り方、力を入れる方向を知らずして展開はできません。開口してから喉頭展開までのフェーズごとのポイント(チェックする点)を知らずして上達はありません。開口から喉頭展開までの一連の動作は、プロの麻酔科医が行えば一瞬でおわります。しかし、その一瞬をコマ送りにして頭の中でポイントをつかむことができれば、プロの麻酔科医の挿管のまねができます。
結局、救命士は時間をかけて事前に勉強している分だけ、このフェーズごとのポイントを克服する目がついているのです。それが気管挿管の上達の違いだと考えています。これが救命士と研修医の上達の違いの第二の理由です。

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2007年03月07日

挿管人形での実習

挿管人形での実習に関して、AP通信では少しふれている。挿管人形での実習をたくさんやったからといって、決して挿管は上手にならない。挿管人形のだめなところを認識していなければだめだ。管理人は、挿管人形で挿管ができた研修医には××をつけている。挿管人形の悪い点(実際のヒトと異なる点)を述べることができれば、点数は復活する。挿管人形での練習には限界がある、手順を覚えるという意味では有用だと思うが、挿管人形だけでは悪いクセがつくだけであると思っている。挿管人形での挿管は簡単である。逆に下手なヒトは、挿管人形でのコツがわからないだけである。実際のヒトでの気管挿管はバリエーションがあり、そのバリエーションを吸収して気管挿管ができなければ気管挿管ができるとは言わない。舌をよけることができない。舌がつぶれる。上位頸椎だけが異常に後屈できる。口が開けにくい(逆に首を思いっきり後屈して折ることで自然に?開口する)など、欠点をあげればきりがない。最近は、ちょっとましな黒い挿管人形が出ているようであるが、少しましな程度である。

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2007年02月23日

プレゼンの3要素

学会発表,院内カンファレンス,麻酔科でのプレゼンテーション,指導医への報告,すべてがプレゼンだとすると如何に多くのプレゼンの機会があるか.
人にわかりやすく手短に説明するにはを追求すればプレゼンはうまくなる.そこで,プレゼンをする上での3つの要素について考えてみたい.
1.示すべき資料
2.口頭での説明
3.質問の受け答え
いずれ場面でも,何かを指し示して解説するには,資料と口述が必要で,その後には必ず質問形式の受け答えが必要である.1.は上司への報告やミニカンファレンスでは作成しない場合も多い.示すべき資料がない場合には,如何に口でうまく説明できるかが勝負である.3.の質問の受け答えでも資料は提示しないことが多い.資料の作成も重要だが,口頭での説明が上手でなければプレゼンはいつまで経っても上達しない.学会などの定型的な発表は最も簡単である.それに引き替え,口頭ですべてをすまさなければならないプレゼンほど実力が必要である.どの順番で,なにに重点を置いて話すか.どんな口調で話すかが大切である.資料を提示しない他人のプレゼンを聞いてみよう.わかりやすいだろうか.棒読み風ではないだろうか.強調すべき点はどんな調子で述べているだろうか.滑舌はよいだろうか.管理人は資料のないプレゼン(特に,朝の症例プレゼンテーション)では,目をつむって聞いている.そうすると,その人がわかりやすいプレゼンを意識しているかどうかが判定できる.

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2007年02月22日

レーザーポインタ付きリモコン

ウインターセミナーで緑のレーザーポインタを使ったと書きましたが,このレーザーポインタは巷では人気が出ているようです.留学研究ネットによると,レーザーポインタ付きリモコンのなかのランキングでKOKUYO レーザーポインタ IC-GREEN サシ-81が第1位なんだそうです.でも値段が高くて,定価で45000円ぐらいします.ヨドバシで先日みましたが,39800円でした.Amazonでは30000を切っています.最安値ではないでしょうか.また,リモコンがなくても良い場合は2万円ちょっとで,KOKUYO レーザーポインタ IC-GREEN サシ-80が購入できるようです.
緑色は赤色に比べて目立ちます.特に医学系のプレゼンで赤い写真(術野の写真など)を指すと,緑で良かったと思えます.
レーザーポインターの注意点は1つだけ.人に向けないことです.

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2007年02月21日

やってみればいいじゃん

初期研修ではどうしても見学が主体になってしまう診療科があるようです。そんな診療科を回った後に、当院の麻酔科に研修に来る研修医はたいてい、「ボク(ワタシ)がしていいんですか?」という反応を示す。難しい手技や合併症を起こすのでなければ、「やってみればいいじゃん」と答えている。特に、患者さんへの問診や診察は、きちんと受け答えできれば受け入れてくれる患者さんがほとんどである。研修医であることを堂々と告げればまず問題ない。医師免許を持っているのだから、研修医といえども医師に違いはない。ただ、患者さんに対する受け答えは前もって練習しておく必要がある。

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2007年01月29日

レミフェンタニルへの期待

待望のレミフェンタニルが1月22日に発売されました。管理人のレミフェンタニルのへの期待としては、フェンタニルでは難しかったものから挑戦したいと思っています.導入時,気管吸引時,抜管時の循環変動には有用でしょうね.これまで,導入時は思い切ってフェンタニルを投与していたかたも,抜管時にはちょっと弱気になる場合が多かったのですが,これからはレミでいけますね.また,昔,深麻抜管なんてよばれていた手技の時にも有用ではないでしょうか.吸入麻酔薬の単独の深い麻酔よりもレミ併用麻酔で行ってはどうかと思います.ファイバー挿管などにも有用そうですが,導入時の鉛管現象と自発呼吸の消失には気をつける必要があります.
鉛管現象はbolusでいれたり,注入速度が速いと起きます.このときにはフェンタでも経験するように全く換気ができなくなるので,慣れないうちは筋弛緩薬を使う麻酔に使用する方が安全なようです.
循環への影響としては徐脈です.
術中の使用に関しては,フェンタニルと同様ですね.しかし,鎮痛作用はすぐに消失しますので,術後鎮痛を術中から考えておかないと,麻酔覚醒時に痛がって覚醒してくる場合が要注意です.要するに,痛ければ鎮静剤がたくさん残っていても目が覚める可能性があります.
静脈麻酔薬投与時の基本的な注意ですが,点滴(キャリアウォーター)がなくなってしったり点滴が逆流していると投与速度が落ちます.そのときには,側管から入れている薬物の濃度が下がりますので,レミフェンタの場合は,気づくのが遅れると大惨事になる可能性があります.プロポフォールは白いのですがレミフェンタは透明なので,下手をすると循環変動や体動で気づくことになりかねません.キチンと点滴ルートの落ちを確認しましょう.安全のためには輸液ポンプにつけた点滴ルートの側管から投与することも必要かもしれません.

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2007年01月21日

センスがある

「センスがある」という言葉をつかうことがある。「あの先生はセンスがある」とか、「センスが感じられない」といった使いかただと思う。このセンスは、おそらく感性という意味を含んでいるのだろう。通常は物事の見方や考え方のスマートさに使う言葉であるのだが、臨床医学領域では(少なくとも私のなかでは)、先を見通せて現時点での手技や医療行為(または考え方)が理にかなっている状態をさすことがある。もてる知識の幅が広く、その知識をその時々に応じて適切な部分を引用しつつ、物事の推論や判断をできる能力ではないだろうか。また、手技や医療行為に関しては技術的なこつを心得ていると思わせるものがあることである。知識やコツは、ある程度の努力によって身につけることができるが、それらをどう組み合わせて適用するかは努力によっては身に付かない部分である。この部分が優れている人がセンスがいいと言うことになる。このセンスがいいというのは、要するにセンサー、sensoryがとぎすまされている必要がある。感覚神経といってもよい。物事(人がやっていること)をみてなにも感じないというのは、ちょっと問題である。感覚神経のとぎすまされた人は、常にsensoryが働いていて真剣に観察している。手技であれば、動作だけでなく力のいれ具合であるとか、方向、深さ、距離、わかれば筋肉のうごきなどである。また考え方に関しては途中が省略されて出力されることが多いので、その考えに至った途中の省略された部分を質問することで、そのセンスを身につけることができるのではないかと考えている。その、努力ができるかどうかもsonsoryの問題であるのでsensoryの欠如している場合は、どうしようもない。医師のセンスというのは、そのような努力を積み重ねてできるものであると思う。
最近、自分のなかで「センスがある」「センスがない」という言葉を使わない人たちがいることに気づいた。初期研修医に対しては「センスがある」「センスがない」と言ったことがない。「筋がいい」とか「よく勉強している」とかは言うが「センスがいい」とは使わない。「センスがある」と使っているのは後期研修医以上である。また、自分より上の先生でも「センスがない」と言うことはある(本人に向かってではない)。「センスがある」というのは上級医に対する最上級のほめ言葉であると思っている。

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2007年01月13日

術中からの術後鎮痛(3)

術中からの術後鎮痛(2)で示したグラフは、管理人自身が受けた手術の時のフェンタニルの効果部位濃度の推移です。この手術で,msanuki.orgにも報告しましたように1時間後から飲食ができています.吐き気も痛みもありませんでしたし,おなかも動いていました(これに関してはまた別の機会に述べます)。
さて、脊椎手術は効果部位濃度が高めで覚醒させて+NSAIDsでいけるとして、開胸、開腹で術後は硬膜外鎮痛を使用しない場合は、術後鎮痛にはフェンタニルのIV-PCAのような鎮痛が必要になると思います。この場合においても、術中からある程度高め(フェンタニルの維持濃度は3ng/ml-4ng/ml)の効果部位濃度(脊椎手術より高目の効果部位濃度が必要)で、覚醒させなければ、PCA持続だけでは足らない状態になり、痛みがでるためPCAのボーラスをおしまくるという状態になると考えられます。できるだけ術中からの鎮痛を考えることにより痛みのない状態を作り出すことが、術後鎮痛の成功につながると考えます。レミフェンタニルを術中に使用する場合には、とくに術後鎮痛への鎮痛薬の引継ぎを意識する必要があります(術後にレミフェンタニルは使えません)。術後にフェンタニルの余韻を利用するには、術中にフェンタニルを3ng/ml程度(それ以上)で維持して、覚醒時には2ng/ml前後をめざして下げてくるとうまくいくことが多いと感じています(高齢者では覚醒時濃度はもう少し低め)。

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2007年01月07日

術中からの術後鎮痛(2)

これは,propofol+fentanylでおこなった脊椎手術症例のfentanylの効果部位濃度の推移である.2時間ちょっとの手術でfentanylは800μg投与している。

fentanylの予測効果部位濃度1.6ng/mlの時にpropofolの予測濃度2.0μg/mlで覚醒した.この時点から約3時間後に1.0ng/ml,約5.5時間後に0.8ng/mlとなる.fentanylの場合,ゆっくり濃度が下がっていくため,術後鎮痛薬を投与するまでには数時間の余裕がある.脊椎手術症例であれば、うまくすれば,このfentanylの余韻+その後に投与したNSAIDs(作用部位が異なる2剤のダブルブロック)で術当日の痛みはコントロールできてしまうかもしれない.ここで,考えるのはこの余韻の部分を大きくすることで術後鎮痛をもうすこし長く得ることができるのでないかと言うことだ.もっとたくさん術中に投与しておけば,術後にがんがんオピオイドを投与する必要はない。fentanylの覚醒時濃度>>鎮痛効果をもつ濃度で、高い濃度で覚醒する若い人には有効な方法ではないだろうか。開腹術や開胸術では、NSAIDsではちょっと無理だが、脊椎手術程度の術後痛には有効な手段ではないかと思う。(つづく)

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2006年12月31日

術中からの術後鎮痛(1)

来年早々,レミフェンタニルが発売される.2月にはすでに使用している方もいるかもしれない.レミフェンタニルについては,レミフェンタニルからの術後鎮痛(金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座 Blog)レミフェンタニル入門(8)(電脳麻酔ブログ)などで,術中から術後鎮痛の必要があることが解説されている.レミフェンタニルの性質から言えば当然のことであろう.硬膜外麻酔など他の鎮痛手段を併用していない全身麻酔(セボ+レミやプロポフォール+レミ)で.術後鎮痛を考えずに術中に投与してたレミフェンタニルをOFFとした場合,レミが切れたとたんに痛みを訴えるあるいは,痛みのために暴れ出す症例が続出して,レミフェンタニルは悪魔の薬だと言うことになりかねない(笑えない話である).レミを使ったときには,否が応でも術中からの術後鎮痛を考えざるを得なくなる状況はあきらかである.これまでは何となくフェンタニルの余力で手術室から出るときにはそれほど痛みを訴えず病棟に帰ってから鎮痛剤を使用していた症例もあるだろう.フェンタニルをレミフェンタニルに切り替えたとたん,鎮痛効果を残したまま麻酔を覚ましてくることが,どれほど大切かを思い知ることができるであろう.なんだか,予言のようになってしまったが,来年は術中からの術後鎮痛を再考する年になるであろう.

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2006年12月30日

吸入麻酔薬からの覚醒時CO2

吸入麻酔薬の話題が「金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座Blog」のイギリスの手術室(2)で取り上げられている.特に興味があるのは,CO2をコントロールできるシステムである.吸入麻酔薬空の覚醒時は吸入麻酔薬を体外に排泄するために,換気量を増やすと思いがちだが,これはやりすぎるとかえって覚醒遅延を引き起こす.換気量を増やすというのはできるだけ吸入麻酔薬を洗い流したいという考えからではあるが,換気量を増やすことによりCO2分圧は下がり脳血流が減ることにより逆効果であるからだ.そこで,CO2をとばさずに吸入麻酔薬を洗い流すためには,換気量を増加させるならCO2を負荷しながらnormocapniaに保つ必要がある.2005年の大阪の臨床麻酔学会で管理人と同じワークショップで講演したDerek Sakata(日本人のような顔だが日本語はなせない)先生が開発したデバイスQED-100が米国で発売されている.このデバイスはCO2を負荷するだけでなく吸入麻酔薬の吸着剤が入っていて麻酔回路にこのデバイスを装着すれば覚醒はものすごく速い.カタログによると1/2以下の時間で覚醒するらしい.このカタログを見ても判ると思いますが,換気量を増やすとCO2が下がるために通常の回路では問題があります.覚醒時のCO2のコントロールについてよく考えて欲しいと思います.

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2006年12月29日

MACを捨てる(2)

MACを捨てるにはMACについてよく知らなければなりません。そこで、MACはどうやって決めるかご存じですか.諏訪邦夫先生の電子麻酔学教科書の「麻酔深度とMAC(マック)」に出ていますので,ご覧ください.
では1MACの2倍の2MACではどうかということになるのですが、これはMACの2倍というだけの意味しかない。MACはあくまでも統計上の値で個々の患者に適応するようなものではない。実際的でないというわけである。そこで50%のヒトで皮切で交感神経反応を抑制できるMAC-BAR(block autonomic response)や気管挿管が可能なMAC-EI(endtracheal intubation)、50%のヒトが覚醒するMAC-awakeなどが考案された。ちなみに、セボフルラン、イソフルランはMAC-awakeはMACの約1/3である。しかし、MAC-awakeをのぞいては吸入麻酔薬の何の作用を見ているかが明確ではない。そもそもMACを求めること自体が、吸入麻酔薬が全身麻酔の4要素をすべてカバーするものと考えていると思われる。現代の全身麻酔において、吸入麻酔薬単独で行える麻酔は限られているためその指標は、麻酔薬の何の力価を表しているかを表現することが必要であろう。バランス麻酔において笑気をのぞく吸入麻酔薬には鎮静作用を求めているものと考えるとそれに見合う指標が必要である。

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2006年12月21日

レミフェンタニルのストリーミング放送

ラジオNIKKEI、スズケンDIアワーに、萩平先生(大阪大学)のレミフェンタニルの解説が出ています。まとまっていて非常にわかりやすいと思います。必見です。
しかも、ストリーミングでスライドだけでなく音声も聞けます。視聴にはRealPlayer(Windows版は、ページの右下にある無料版をダウンロードしてください)が必要です。

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2006年12月18日

Virtual Anesthesia Machine

2年前にmsanuki.orgでも紹介したフロリダ大学のサイトに「Virtual Anesthesia Machine」がある.初めの頃は,Virtual Anesthesia Machine (VAM) Simulationぐらいしかなかったのだが,最近では静脈麻酔や筋弛緩薬のシミュレーションまで登場してきた.来年以降に発売が期待されているロクロニウムのシミュレータやコンパートメントモデルのシミュレータ,基本的だが確認のためにプロポフォールのシミュレーションがおすすめである.また,ファビウスGSのシミュレーションやAirway Devices for the Difficult Airway もある.FreeMember以外にinstructorエリアというのもあり,ここは年間$100必要.ここには,モジュラスII,エスティバなどのシミュレーションなどもある.今後もいろいろなシミュレータが登録されることが期待される.会員登録は無料なので登録して活用してみてはいかがでしょうか.

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2006年12月13日

MACを捨てる(1)

MACといえば、Macintosh(コンピュータ喉頭鏡)もあれば、McDonald's(大阪ではマックではなくマクド)もあります.しかし,捨てるのはこれらのモノではありません.捨てるのは概念です.MAC(minimum alveolar concentration)のことです.MACはそもそも吸入麻酔薬の力価を比較(表現)するために使われたものです.いまのバランス麻酔のように吸入麻酔薬を鎮静薬として使用する場合の指標ではありません.MACの定義ですが,「皮切時に50%のヒトが動かない吸入麻酔薬の濃度」です.動くか動かないかは,痛いか痛くないかということではなく,動けるか動けないかにかかっています.少なくとも脳に対する作用のみを表現したものではなく,脊髄の機能抑制を見ている可能性があります.すなわち,(脳を作用点とする)鎮静薬としての吸入麻酔薬を比較する場合にはMACで表現するのは不適切といわざるをえません.皮切で動くか動かないかということだけでは,鎮静作用をキチンと評価できるとは思えません.また,動かないから鎮痛作用があると考えている方がいますが,これは間違いです.バランス麻酔を考えるには,まずMACという概念を考え直す必要があります.(つづく)

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2006年11月24日

麻酔科医の評価

金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座Blogに「麻酔科医の評価」という記事が出ている。最近、このブログは、アトラクティブである。この、麻酔科医のブログで、麻酔科医は総合力で評価されるからバランスのとれた麻酔科医がよいという意見である。レーダーチャートで解説しているのでわかりやすい。管理人も全く同感である。困った麻酔科医についても言及しているが、いずれもよくみられるタイプのようである。この2つのタイプのうち(1)は麻酔科医としてはまったく使い物にならない。(2)は患者にはよいが仲間や他の医療スタッフには嫌われるタイプである。その面積からいうと(2)の方が(1)より面積が広い。(1)のタイプは基礎系に進むべきだったのであろう。

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2006年11月21日

Anesthesia Now

Anesthesia Nowという麻酔科の情報サイトがある(オルガノン提供)。

日本の麻酔薬の会社が出している情報誌はAnesthesia Today。名前が似ている。

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2006年11月20日

吸入麻酔のファ-マコキネティックス

「吸入麻酔のファ-マコキネティックス」諏訪邦夫 克誠堂出版 (1986/01) ISBN: 4771900612 、名著である。管理人も研修医の頃、大変お世話になった、1冊。水色(青色)と白の表紙で、印象が強い。当時、管理人の麻酔科学への興味を維持させ続けるきっかけになった1冊である。吸入麻酔について、こんなにも奥が深いということを思い知らせてくれた。これを読んで、麻酔に関する考え方が大きく変わったと思う。いまでは、少し内容が古いところがあるが、考え方を作るという意味では、凄い。20年前にここまで。ぜひ、一度内容をご覧ください。お宝になるかも。
新品はすでに手に入らなくなっているかもしれません。
写真は、管理人のものをスキャンした。なんとなく、この本の色づかいは、このブログの色に似ていると思いませんか。知らず知らずのうちに色まで影響を受けていたのかもしれません。

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2006年11月19日

Context-Sensitive Decrement Time(CSDT)

1週間ほど前Context-Sensitive Half Time (CSHT)に関する記事を掲載しましたが、麻酔ディスカッションリストで、ちょっと誤解されてしまいましたので、もう少し汎用的な指標について書いておきます。
Context-Sensitive Decrement Time(CSDT)という概念です。CSDTとは、一定濃度Cで投与しているところから投与を中止して、目的とする任意濃度に減少するまでの時間を表現するもので、CSHTが、血中濃度が半分になる時点(0.5×C)を指すだけ(CSHTは50%になるまでのCSDT)であるのに対して、CSDTは、より汎用的であると思います。
鎮静薬の場合、維持濃度から覚醒する濃度になるまでの時間、鎮痛薬の場合は維持濃度から副作用(呼吸抑制など)がなくなる濃度になるまでの時間(鎮痛作用がなくなるまでの時間ではない)が大切であるということ(副作用がなくなる濃度より鎮痛作用がなくなる濃度の方が低い)。
結局、CSDTを意識することによって未来の血中濃度(効果部位濃度)を予測するクセがつくまでトレーニングする必要があるということ。これらをきちんと意識することで、カンで麻酔薬を投与することから脱却しましょう。血中濃度(効果部位濃度)を意識するとともに、BISなどの脳波モニターや麻酔経過中の役立つ所見などで補正をかけることも個人差への対処には必要ですね。

参考サイト:
Rational Drug Selection in Neuroanaesthesia:the Effect Site and Context Sensitive Decrement Times
 Intravenous agents, TCI and TIVA (The Virtual Anaesthesia Textbook)
参考書籍:
■第3章 Good risk症例におけるTIVAの実際-調節するのはプロポフォールか?オピオイドか?-p.47-63
 今日から実践できるTIVA(真興交易医書) 編著:木山秀哉 2006年6月 ISBN:4880037672

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2006年11月15日

今の麻酔は情報戦(2)

さて,術野の情報は見ればわかると先の記事では書いたが,本当にそうでしょうか.管理人が研修医から研修医を終えたぐらい頃,信じられない外科医がいた.もしかすると今からここに書くような外科医は、今でもどこかに存在するのかもしれない...その外科医は、出血していても手で隠していて、出血していないと言い張る。ガーゼに血がついていて、重さを量ってもほとんど水だと言い張る。つまり、自分は出血させていない。輸液が多いから腹水が出ると常に言い張るのです。まあ、そういう状況もありましょう。しかし、常にはおかしいわけで、明らかにガーゼが赤い。ガーゼ重量が、まともに重い。挙げ句の果ては血液が大量にしみた柄付きガーゼを手術の最後まで出さずに腹腔内に隠しておく。さいごに出したとしても、術野の外のバケツに絞ってしまう。たちが悪いのです。こんなことは、ある程度経験を積んでくれば当然、嘘だとわかる。明らかに、術野が赤い。手術が雑。ここで、この外科医の言葉を信じたとしましょう。そうすれば、どこかで周囲の状況と食い違ってくるのです。しかしそれを見破る力を持ち合わせていなかったとしたら、術野を見て、別のパラメータを評価したとしても、逆の雑音が含まれているため、惑わされるかもしれません。これが判断する力です。この判断が速く、雑音に惑わされない能力を身につけるべく切磋琢磨(はやりの四字熟語?)するのが今の専門医の一つの方向性であります。これが臨機応変です。さらにいえばマニュアルにあるからそのようにすると言うのではなく、(小泉前首相みたいなことを言いますが)状況に応じて適切に判断し適切に行動するのが臨機応変です。臨機応変とは別に、専門医のめざすべき方向性、Tubokawa先生がいうところの創意工夫とはちょっとニュアンスが違います...この創意工夫ができるフトコロの広い麻酔科医をめざすべきだと管理人は思います。創意工夫はなぜするかというと、その状況に満足できないからです。こうすればもっとうまくいく。こうすればもっとよくなるというのをめざすから創意工夫をするのです。創意工夫がないということになると、次の課題がないと言うことになってしまいます。確かに、昔(50年前)に比べると麻酔科領域の課題は克服されてきて、ある一定のレベルに達したのかもしれません。薬剤の進歩、医療機器の進歩、道具の進歩。麻酔法や麻酔管理技術の進歩、麻酔教育の進歩、それぞれの進歩は患者の安全性や麻酔の確実性もたらしたでしょう。これからは過去に追い求めてきた創意工夫とはレベルの違う創意工夫が必要なのだと思います。これでいいのだ。と思ったとき創意工夫は必要なくなります。ワクワクする状況、アドレナリンの放出される状況は、創意工夫を企てている時に起こるような気がします。この創意工夫が必要ないとなれば、まともな麻酔科医はいなくなるに違いありません。臨機応変だけでは、真の麻酔科医はワクワクしません。

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2006年11月14日

今の麻酔は情報戦(1)

昔話にトラックバックします.昔は,モニターと言えば心電図と血圧計(手動ではかる)ぐらいで,残りは五感を利用して麻酔をかけていた.今は,痛みと侵襲のモニターをのぞいては,数値で表現される一応の指標があるため,だれでも,ちょっとしたことでもその気になって見ていれば気づくのは可能.しかし,情報を統合して判断する能力が昔に比べると要求されるようになった.バラバラの情報を統合して,はじめて意味をなす.モニターだけでは,はっきりとはわからないこともある.たとえば,ビデオ画像や内視鏡などを使った術野の情報である.その事実を見るだけで,何が起こっているかわかることがある.まあこれも,情報の一つ.要するに,昔に比べて判断材料が増えているのだ.五感を利用していただけの時代に比べて,情報が多い分,何らかの異常を捉えることはできるようになったが,判断スピードも要求されるようになった.判断に時間がかかっていたのでは,後手に回ってしまう.
戦争を例に出すと,批判されるかもしれないが,昔の戦争と今の戦争の違いと同じだ.如何に早く,情報を捉え次の手を打つかにかかっている.昔は,遅れて行動していたことが,今ではそんなに時間を待たなくても,情報が統合できれば先手に出られる.しかし,モニターの解析能力が上がれば,情報を統合する必要はなくなるかもしれないが,最終判断すべきは人である.また,どんな行動を起こすかを考え実行するのも人であるうちは,情報を統合してどこにどの程度の重みを置いて判断し,行動する能力を磨くことは無駄ではないであろう.
50年後に麻酔科医がいなくなるどころか,進化した麻酔科医とそうでない麻酔科医の差は歴然とするのではなかろうか.麻酔科医間の格差ができればできるほど,他科の医師では判断しかねる状態も増えるのではなかろうか.50年後にこの記事を読んでいる人は,笑うだろうか.感心するだろうか.

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2006年11月13日

Context-Sensitive Half-Time

Context-Sensitive Half-Time (CSHT)とは、ある薬物を一定の血漿濃度を維持するために持続静注した時、投与中止後血漿濃度が50%に減少するのに必要な時間である。教科書に,
こんな図

が書かれているのを見たことはありませんか。フェンタニルが大変なくせ者です。レミフェンタではCSHTは時間がたってもほとんど変化しません(こんな図にはでていません)ので問題にはなりませんが、フェンタニルでは2時間を超えたころから、同じ調子で入れ続けるとCSHTが次第に長くなってしまいます。こんなことを言うと、フェンタニルの使い方が下手な麻酔科医は、ただでさえフェンタニルの投与量が少ないのにさらに投与量を減らしてしまう懸念がありますね。そこでシミュレーションソフトが活躍します。賢い諸君はお気づきでしょうが、これらの話をするときには3コンパートメントモデルを理解しておくことが重要です。
レミフェンタニルほどCSHTが短く、時間がたっても変化しないものが出てくると、これまで、それほど気にならなかった(?私は気になっていたが...)プロポフォールが意外とくせ者だということがご理解いただけるでしょうか。
UKのサイトに、これらを理解するために都合のよいものがあるので、ここにリンク(右クリックで保存して、パワーポイントでご覧ください)しておきます。
ちなみに、CSHTは2005年度の麻酔科専門医筆記試験にも出題されています。今後、試験には必ずどこかに出てくる概念だと思います。

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ここにリンクというサイトは,
http://www.onlineanaesthesia.co.ukで,中でも,Primary TopicsのPharmacologyには特筆すべき資料があります.一度,ご覧ください.音声付きのものもあります.

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2006年11月07日

アルチバ

変な名前である.アルチバとは来年の2月頃発売されるレミフェンタニルの商品名である.ヤンセンファーマのサイトに出ています.
レミフェンタニルのミニ講座が「電脳麻酔ブログ」や「金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座 Blog」で始まっている.
また「麻酔科医のお勉強」の TIVA/TCI にも関連情報にたどりつくためのリストを掲載しています.レミフェンタニルを含めた薬品の添付文書は「麻酔科医のお勉強」の麻酔薬の添付文書と販売会社にあります.ひさびさの麻酔科領域の新薬発売が楽しみです.

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2006年11月04日

なんちゃってキセる麻酔

なんちゃってTCI”よりもっとすごいのがある.”なんちゃってキセる麻酔”である.管理人の行っている”キセる麻酔”はセボフルラン+フェンタニルのフェーズとプロポフォール+フェンタニルのフェーズが同時に存在することはない.つまり鎮静剤をプロポフォール→セボフルラン→プロポフォールと切り替える.これを”キセる麻酔”という.最初と最後がプロポフォールで真ん中がセボフルランであることから,たばこの道具である煙管(キセル)になぞらえたものである.これを,いつの間にか誤解して(拡大解釈して),なんだかんだと理由を付けて,常にプロポフォール+セボフルラン+フェンタニルで麻酔をしている人たちがいる.これは”なんちゃってキセる”である.断じて”キセる麻酔”ではない.この”まぜまぜ状態”を”キセる麻酔”とは呼んでほしくない.”キセる麻酔”命名者としては拒否である.”なんちゃってキセる麻酔”は,許し難い.”キセる麻酔”と呼ぶのなら,(鎮静剤は)どちらかにしてくれ.

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2006年11月03日

なんちゃってTIVA と アンバランス麻酔

なんちゃってTIVA”と"TIVA"は、似て非なるもので、全く違うものであることを説明した。TIVAをきちんと行うにはバランス麻酔の概念をきちんと理解して実践することが必要である。バランス麻酔とは鎮痛、鎮静、筋弛緩の3つの要素を個別に調節して全身麻酔を実現する方法だ。バランス麻酔とは読んで字のごとくバランスで成り立っている。筋弛緩はともかくとして、バランスの基本は鎮痛と鎮静のバランスである。アンバランス麻酔の極みは、( 鎮痛 <<<<<< 鎮静 )というもので、鎮静を極端に行うタイプである。現在のTIVAの主流はフェンタニル(鎮痛)、プロポフォール(鎮静)であるが、バランス麻酔の概念は吸入麻酔+フェンタニルという組み合わせでも実現可能である。この場合、フェンタニル(鎮痛)、吸入麻酔薬(鎮静)である。最近では、フェンタニル+プロポフォール+吸入麻酔薬という方法も存在するらしい。管理人は、プロポフォールと吸入麻酔薬を同時には投与しない(キセる麻酔とは異なる)のだが、このプロポフォール+吸入麻酔同時投与では鎮静薬の過量投与となっているのではなかろうか?つまり、鎮痛 <<<<<<<<<<< 鎮静 というアンバランス麻酔ではないだろうか。よく、大阪大学の萩平先生(BIS解析の大家)の講演によく出てくる、セボフルラン1-1.5%+フェンタニル適量という吸入麻酔+フェンタニルの組み合わせの”黄金処方”があるのだが、これに対比すると鎮痛が少なくて済むと思いこんでいるのでhなかろうか。血圧が下がれば麻酔が深い、動かなければ麻酔が深いと思いこんであるのではなかろうか?
不意に予期せぬ?手術侵襲で足下をすくわれたときには、一時的にはアンバランス麻酔は許されるかもしれないが、きちんとコントロールする(していると思っている)場面では、いかがなものであろうか。
もう一度、鎮痛、鎮静、筋弛緩のコンポーネントについてきちんと整理して考えてみよう。全身麻酔では何を指標に行うのがよいであろうか。もちろん、血圧や脈拍などのバイタルサインのコントロール、筋弛緩による不動化なども必要かもしれないが、麻酔の本質は何であろうか。20世紀の麻酔の指標をすてて、別の観点からきちんと麻酔を見直す必要があるのではないだろうか。我々、21世紀の麻酔科医(第3世代以降)は、アンバランス麻酔ではなくバランス麻酔が実践できる麻酔科医をめざすべきではないだろうか。
【参考書籍】
◆バランス麻酔:最近の進歩改訂第2版 ―エンドポイント指向型バランス麻酔―

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2006年11月02日

白い心6

白い心6にTBします.
全くその通りだと思う.やり方や道筋,方法というのは複数あってどれがよいというのは,簡単には決められない.
よりよい方法,よりよい理論を求めていけば,結局,複数の方法をマスターする必要がある.
そのときに,生半可(いいかげん)にこんな感じという調子では,新しい方法をマスターできるどころでなく,自分自身の思いこみで誤った方法を作ってしまうことになる.本当はそんなやり方でないのに,自分でマスターしたと思いこんでしまうのである.そうならないためには(本質を理解するには),やはり白い心が必要である.頭を白紙にすることが必要である.
とにかく,自分のやっているものと違うのであれば,その方法や理論を”きっちり”勉強する(まねる)必要があるのだ.その際に,思いこみが強すぎると”きっちり”まねできない.
話は変わるが,最近”なんちゃってTIVA”が横行している.血中濃度(効果部位濃度)を意識していないと思われるTIVAである.BISをつけたら?と言えば,BISはいらない.フェンタニルをもう少し入れたらと言えば,醒めなくなるからといってプロポフォールを高濃度でずっと維持している.呼吸が速い状態で麻酔から覚めてきて,目が開かない.うーん.こういった場合,その医師にどのように声をかけたらいいだろうか?難しい.自分で気づくしかないのである.
”なんちゃってTIVA”おそるべし.プロポフォールが出て10年も経って,TCIにも慣れた麻酔科医がたくさんいる時代である.”TIVA”と”なんちゃってTIVA”は違うものである.これに気づかないのは”白い心”になれないからではないだろうか.

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2006年10月16日

断定的に教えること

またまた、電脳麻酔ブログの「白い心5」にTBします。研修医に断定的に教えることは管理人も反対です。断定的に教えることは、薬剤や医療行為の禁忌ぐらいで、こうしてはいけないということ。こうすべきだ、ということはありえないと思っています。内容が医療禁忌にあたらず、許容できることであれば「こうしたほうがよい」「こうしたらうまくいく」というように教えます。よく、指導する先生が「自分についたときは、こうしなさい」といっている場面を見かけますが、ナンセンスです。特に、単なる手順や方法はその場その場で変化しますし、時代により変化することが多いと思います。基本はこうだ!とか最近の流行はこうだ!というのはありだと思いますが、こうしなければならないということは少ないと思います。特に、初期研修医の時代には断定的に教えると、誤解をしたまま呪縛のようにとらわれてしまいます。管理人も研修医時代に1つ上の先輩に断定的に教えられたことに囚われて、10年以上も悩んでいたことがあります。これはつらかった。
その呪縛から解き放たれるには、それを否定するきっかけをつくることと、1から学ぶより非常に多くの学習を必要としました。ですから、特に研修医に教えるときには注意をしています。


 ← よろしくお願いします.

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2006年10月11日

頭を白紙にして(つづきのつづき)

とあるインストラクターの言った言葉?「バックグラウンドを理解して...」に反応して管理人が,「教えてやる」の態度に見えると表現したことについて誤解であるということが判明しました.ここで深くお詫び申し上げます.インストラクターK先生の「学習と指導の極意」をごらんいただければ,本当の意味がわかると思います.管理人のめざすものと全く同じ方向性でした.

 ← よろしくお願いします.

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2006年10月10日

頭を白紙にして受け入れる2

物事を学ぶ方法には2つある.一つはこれまで知っていることに新しいことを追加する方法.もう一つは,すべて新しく学んだことにする方法.である.全くしらない,ほとんど知らない場合には後者がよいが,かなりそのことについて知っている場合には前者になる.管理人が,白紙にしてといっているのは後者の場合ではなく前者の場合に行って欲しいと思うのである.教える側の真意を理解するには,既成概念をいったん捨ててしまった方がよい.とりあえず,教えている人の言うことをすべて聞きいれてみるのだ.そうした上で,真意が理解できたならば,既存の物に修正して追加すればよいと思う.真意を理解する上で,既存の知識が邪魔になることが多い.自分の知っていることはすべて正しいのならば,教えられる必要がない.

 ← よろしくお願いします.

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2006年10月09日

頭を白紙にして(つづき)

電脳麻酔ブログに白い心2として次のような文章が掲載されている.

この前、新しいことを学ぶときは白い心でという書き込みをしたら、sanuki先生からも同様の意見をいただいた。
そんなときに、AHAのBLSインストラクターコースというのを受講した。すでにインストラクターをやっているK先生から「白い心」に関して御意見をいただいた。人づてなので真意は明らかではないが、白だろうが赤だろうが黄色だろうが、その人のバックグラウンドを踏まえた上で教えるのが上手なインストラクションだよと私に伝えたかった?あるは学んで欲しい、という風に聞こえた(それでいいですか?)。
この前の書き込み自体は否定するつもりはないが、指導する側の技量や努力が大事なのはいうまでもない。学ぶ、教えるということについてこれからも考えていきたい。

もちろん,このインストラクターの言っていることは間違っているとは思えないが,バックグラウンドをふまえた上で教えるのは不可能である.想像した上でと言うのなら可能であるが...
管理人は,こういった場合には教えられる側と教える側(こちら)の間でのかけひき(やりとり)で,どの程度の知識を持っている人(バックグラウンド)なのかを判断(想像)するようにしている.すべての事柄について教えられる側が教える側よりも知らないということは,あり得ないと思う.
こういう言い方をすると非難を受けそうだが,このインストラクターの態度が”教えてやる”に見えて仕方がない.要するに上に立った物の見方だ.
教えるときに最も大事にしなければならないのは,自分の考えを理解してもらうべく,場の雰囲気を作ることである.自分の考え(これから伝えようとすること)が,きちんと伝わらないような素地を作るようではいけないと思う.大学の講義などでも"教えてやる"方式では学生には不人気であると思う.どうやって,聞いてもらうかということから,指導する側は考えておく必要がある(決して下手に出るという意味ではない).

 ← よろしくお願いします.

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2006年10月08日

日経メディカルCadetto(カデット)

日経メディカルCadetto(カデット)とい若手医師向けの雑誌が発刊されます.日経メディカルオンラインに登録することで医師であれば無料で購読できます.ぜひ,どうぞ.私も登録しました.

 ← よろしくお願いします.

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2006年09月29日

頭を白紙にして受け入れる

初期研修医でまじめな皆さんにはあまり関係ないのですが、後期研修医やそれ以上の麻酔科医で新しいこと、とくに自分のやっていない方法を受け入れられない方がいます。電脳ブログでは”白い心”と表現されているのですが、私はよく頭を白紙にすると言う表現を使います。これができないと、現代の医療の世界では、新しい考え方が出てくるのが常ですから、今風の医療ができない医師になってしまいます。初期研修医は比較的素直に受け入れてくれることが多いと感じてますが、後期研修医以上(指導医クラスも含めて)になると、ちょっと自分のやり方と違うことを受け入れられない場合が目に付きます。後期研修医を教えにくい原因の一つは、ここにあると思います。管理人が教えられる側になる場合には、”教える人の言うことをすべて受け入れること”に心がけてきました。
この気持ちを持たないと、新しいものはそのうち何も受け入れられなくなってしまいます。いろいろなやり方、考え方を学ぶためには”頭を白紙にして受け入れる”過程が重要です。これが、出発点です。

 ← よろしくお願いします.

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2006年09月24日

日経メディカルオンライン

日経メディカルオンラインに登録(医師であれば無料)すると過去の日経メディカルの記事がPDFで閲覧可能です.日経メディカル 2006年9月号のp.62-63に管理人が出ていますので是非ご覧ください.右のカラムのお役立ち情報BOXのなかにある「日経メディカル・過去記事検索 」から検索できます.
「特集 その手技、本流? ~あなたのやり方は間違っていないか~」という記事です.

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2006年09月23日

時代が違う

Laryngoscopeさんのところに「時代が違う」という記事が掲載されている.以前は並列麻酔も,麻酔中にICUでの急変も対応していた先輩の話である.たしかに若い頃(かつての時代)はそれでも良かった.いまは,まともにやっていても失敗すれば刑事事件にされる時代である.並列麻酔やICUの患者が急変したときなど,自分の診ている患者が落ち着いていれば対応できるときもあるだろう.しかし,わざわざそのような状況を好きこのんで自ら作って,かりに自分が見ていた(放置した)患者が不幸なことになった場合,どう見ても救いようがない.並列麻酔を行って自分は医療事故など起こさないという強者もいまだにいるのは確かである.外科医が要求するから,病院が無理を言うから並列麻酔を行うという人々もいる.麻酔は誰のためにするか,何のためにするのかを忘れているのではないだろうか.もちろん生産性や効率もある程度は追求すべきだとは思うが,安全が担保できない場合には認めることはできない.そういう時代である.
かなり以前に「患者はこうして殺される(浅山健)」が出版されている(医者にメス掲載の目次).実際にあった話に忠実にかかれいると聞く.

管理人も夜中3時頃に不意に並列麻酔になってしまったことがある.脊麻でやっていた緊急帝王切開がほぼ終了した頃に,院内発症の肝硬変患者の急性頭蓋内出血がなだれ込んできた.ぼぼ閉腹が終わったので患者に気分をたづね問題ないので,終了する旨を伝え看護師に頼んで,なだれ込んできた頭蓋内出血の全麻のために別の部屋に移動した.麻酔導入が終わった頃,帝王切開は終了したが出血が止まらず再開腹するという.戻ってみると,患者は顔面蒼白,ショック状態で意識レベルが低下している.弛緩出血である.挿管全麻に切り替え輸血ルートを確保し輸血を大量にオーダーした.その処置が済むかすまないうちに,頭蓋内出血の方はショック状態で出血が止まらないという.この時点で,不意に並列麻酔になってしまっていた.いずれししろ,院外からもう一人の麻酔科医を呼んでいる暇はない.このままでは2人とも死ぬ.福島の産婦人科医の逮捕事件の直後だったので,刑事事件で逮捕というフレーズが何度も頭をよぎる.一人ではどうにもならない.だれでもいい,院内の当直医を呼ぶしかない.助けを求めて電話すると,偶然にも他科に異動した麻酔科専門医を持った医師が当直であった.不幸中の幸いだった.手術室では2列の手術が同時進行しており手術をしている医師も止血に一生懸命だ.術者も人が足らなくて院外からさらに上級医を呼ぶ状況であった.結局,2人とも救命でき管理人は医療事故を起こさずに済んだ.2症例とも出血/輸血の量は尋常ではない.急速輸血のためにポンプを必要とした.患者の状態の判断,ポンプや輸血の扱い,セットアップ,麻酔のことすべてを「おねがい,こっちの症例なんとかしといて」で頼むことができたのは麻酔専門医だったからである.患者も助かった,私も助かった.思い出しただけでも恐ろしい.

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2006年09月20日

自分に厳しく他人に厳しい人

「自分に厳しい人は他人に厳しい」,この中身には2種類ある.自分に厳しいというのは常に自己研鑽を積むということを指している.他人に厳しいというのは2つを分けて考える必要がある.まず万人に厳しい人これはOKとしよう.部下に厳しく目上(または同僚)に甘いという人がいる.これが問題である.特に,部下の失敗を自分の責任と思わず,部下のみを叱りつけるのはサイテーだと思う.これは,自分に甘く,他人に厳しいと同等である.部下の失敗の原因は,自分の失敗であり,自分がうまく部下をコントロールもしくは指導できないから失敗するのである.このことがわからない指導医を時に見かける.

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2006年09月16日

どうして麻酔科医になったかの答え

よく「どうして麻酔科医になったか」を聞かれることがある.「どうして」と聞かれても「好きだから」としか言いようがない.その「好きだから」にいろいろな理由があるのだと思う.「好きだから」というのは立派な答えだと思う.物事に向き合う上で「好きだから」というのは,最上の理由である.「好きだから」続けられる.「好きだから」がんばれる.「好きだから」新しいことに挑戦できるのである.
おそらく「どうして」と聞くのが研修医で,その研修医がメンターをもとめて問うている場合には,「好きだから」だけでは満足しない.聞く相手が,一般人あるいは上級医であれば「好きだから」だけで完結してよいと思う.私の場合,きっかけは「好きだから」なのであるが,そこから「おもしろい」に発展した.この「おもしろくなった」というのは今でも覚えている.麻酔科が「ただ単に麻酔をかけているだけではない」と言うことが実感できたからおもしろくなったと思う.手術の麻酔で”うまい麻酔科医”が麻酔をすると何事もなく終了する.この”なにごともなく”の裏にはどんな努力(ちょっと大げさか)があるかを理解できたなら麻酔科の魅力がわかるだろう.その努力というのが,ちょっと大人なのである.
ここを熱く語ればよいのではないかと思う.恥ずかしいのでこれ以上は書けないが,麻酔科の魅力を知りたい研修医の先生は私のところに研修にきてください.

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2006年09月15日

msanuki.biz 麻酔科研修支援サイト

msanuki.biz 麻酔科研修支援サイトを2006年6月から立ち上げています.このサイトは麻酔科研修に役に立つような内容を発信していきます.現時点では,気管挿管の動画,麻酔の術前説明用ビデオを中心とした動画とファイバー挿管の手順などを紹介しています.今後,お勧め書籍や,おすすめサイトなどの研修に役立つものをここにまとめていく予定です.ご期待ください.msanuki.bizの動画はホームページで見ると音声はついていませんが,iTunesにpodcastとして取りこむとすべての動画に音声がついています.方法は別記事で紹介します.

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2006年09月07日

喉頭鏡挿入時には脇をしめる

喉頭鏡挿入時に脇をあけない.喉頭鏡のハンドルを強く握りしめて胸壁に,ハンドルの先端をあてない.というのはよく指導の時に言っていることです.しかし,研修医が「必ずうまくいく!気管挿管」に,”脇をあけて,肘をあげて喉頭鏡を挿入する写真”が出ていると云って,この本を持ってきます.これは,私が教えている喉頭鏡の挿入法とは違っています!!
喉頭鏡を挿入するときは脇をしめ(肘はあげない),ブレードを口腔内に落とし込むように自然に口腔内に挿入します.

喉頭鏡挿入時以外の喉頭鏡操作時にも脇をあけて操作を行ってはいけません.脇をあけると繊細な操作ができません.箸を持つときに脇をあけてもつと,うまくつかめませんね.それと同じで,繊細な手先の操作(手首から先の操作)をするときには脇はあけてはいけません.硬膜外麻酔やクモ膜下麻酔の穿刺時も同じです.脇をあけるのは繊細な手先の操作のじゃま以外の何者でもありません.

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2006年09月04日

日経メディカルの記事

9月10日発売の日経メディカルに管理人が出ます.写真付きです.
何の記事かは見てのお楽しみ.

p.62-p.63をご覧ください.

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2006年08月31日

「予習しなさい」「勉強しなさい」はダメ指導医

臨床研修医が質問をすると「勉強しなさい」と答える指導医がいるらしい。わからないから質問をしているのに、「勉強しなさい」はないだろう。勉強の仕方を教える。どんなものを調べればよいのか、何というキーワードで調べたらよいのかなど、何らかの目標設定をしてあげるべきだと思う。これと同様で、「予習してきなさい」や手技に関して「イメージトレーニングしてきなさい」も論外である。きちんとその方法を教えた後で言うべき言葉だと思う。何を予習するのか、何を勉強するのか、どんなイメージを持ったらいいのか?指針を与えて初めて指導といえるのではないだろうか。

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2006年08月23日

報連相(ホウレンソウ)と引き際

初期臨床研修医に最も必要とされる能力はなにか?「麻酔科研修チェックノート」にも書きましたが,ホウレンソウ(報告・連絡・相談)です.ホウレンソウをしない研修医は,評価は低く,信頼されません.研修医だけではありませんが,常に上級医とのコミュニケーションは大切です.これができなければ,よい研修はできません.つぎに,何でもやりたがる研修医がいます.もちろん,上級医は研修医ができることはさせてあげたいのですが,何の知識もなく実践と言うのはちょっと無謀です.患者さんに医療行為を行うとき,前もって知識をつけてくる必要があります.どういった合併症があるのか.どういうことに注意をすべきかといったことです.もし,それらの知識もなく,やってみなさいと言われたときは,どこまでやってよいのかを考える必要があります.通常は,危なくなれば上級医が止めるのですが,自分からもはっきりできない意志を示す必要があります.これが引き際です.ある意味,やったことがないことに果敢に挑戦する研修医は,積極性があると判断する向きもありますが,状況によっては引き際のわからないと判断される可能性もあります.
対患者さんと言う意味において,考えてみましょう.またホウレンソウ,引き際についても認識しておきましょう.

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2006年08月09日

選手としての指導と監督としての指導

眠らない麻酔科に「方策」という記事が出ている.このなかに,”「名選手は名監督にあらず」はジーコを見ても理解できるけど、やって見せると言う、これ以上の手本はない。”という行があるが,まったくその通りだと思う.私自身,自分のできないことはうまく教えられないし,やってみせられないことは教えても説得力が全くないと思う.まず,教えることができるのは自分がきちんとできると言うことが最低条件で,教えるためには,教えられる人の考え方や手技をみて,どこを直せばうまくいくか,間違った方向に考えているところはないかなどを分析できなければならないと思う.「名選手は名監督にあらず」とはよく言うが,選手である自分と同じ事を初心者に教えてすぐできる故ではない.選手はすでに特殊な技能を身につけてしまっているのである.初心者ができるようにするためにはどのようなアプローチで教えるかを,あらかじめ考えておく必要がある.また,初心者に見せる手本は初心者ができるようなわかりやすいスピード,わかりやすい手順などで見せる必要があり,選手としてのうまさ(上手で素早いだけの)を強調するような物をお手本として示すのはよろしくない.選手が監督になったとき,要求されるのは選手としての技量に加えて監督としての配慮であると思う.良い監督はこのような配慮ができることであり,このような配慮こそコーチングの基本であると思う.

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2006年07月21日

麻酔科研修で得るもの

麻酔科初期研修で得られるものはなんだろうか。気管挿管手技、静脈ライン確保と答えるようでは、得るべきものの1割にも満たない。あくまでも、それは技術に過ぎない。一番見て欲しいのは「ものの考え方」である。「ものの見方」である。どのように問題点を捉え,どのように解決するかということである.診断をする,治療をするといった静的なものの見方ではなく,その時々の状態に対応できる動的なものの見方である.大物の先生ほど目の前のこと(一手先)だけでなく,何手も先を読んで行動する.ここを見て欲しい.

ちょっと抽象的に書いてしまったようなので、補足しておきたい。静的なものの見方とは時間的な要素を無視した見方である。病態が刻々変化しているのに気づかず、3時間前の所見で物を言うのは論外。病態を捉えることができるというのが、麻酔科医の特技である。何手も先を読むというのも、静的な物の見方ではできないことである。

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2006年07月19日

K-Yゼリーとキシロカインゼリー

K-Yゼリーとキシロカインゼリーの違いをご存じだろうか?数年前から私の勤務している病院では、麻酔科の使用する潤滑剤はキシロカインゼリーからK-Yゼリーに変わっている。管理人が以前勤務していた病院でも、手術室からはキシロカインゼリーは数年前になくなりK-Yゼリーに変わっていた。潤滑剤としてK-Yゼリーとキシロカインゼリーを比べた場合、遜色ないのなら、わざわざキシロカイン入りのものを使う必要はない。だいたい、価格はK-Yゼリーの方が安い。K-Yゼリーは医薬品でないので薬剤部扱いではなくなる。
そもそも、キシロカインゼリーをラリンジアルマスクに塗ると嚥下機能が障害されるのではないかという疑問からK-Yゼリーへの見直しは始まった。気管挿管チューブのカフまたは先端にキシロカインゼリーを塗らなければならないんだろうか?何のために塗っていたのだろうと考えると、キシロカインゼリーである必然性はなくなった。

最近では何でもK-Yゼリーに取って代わっている。経食道エコープローベに塗る潤滑剤、体温測定用のプローベ、胃管の潤滑剤など。キシロカイン中毒ならぬK-Yゼリー中毒状態である。手術室では何の違和感もなくK-Yゼリーを使っている。時に、老練の外科医が「キシロカインゼリーをくれ!」とのたまったりする以外は、キシロカインゼリーの出番はなくなっている。とはいえ、その時にもK-Yゼリーを出しているのだが...
そうそう、言い忘れたのだが、管理人がK-Yゼリーにただ一つ不満がある。入っている容器が昔の歯磨きの入っていた金属のチューブである点である。入れ物のチューブの材質だけはキシロカインゼリーが勝っている。

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2006年07月18日

気管挿管時の開口の流儀

今、なぜかネットで気管挿管時の開口の流儀が話題になっています。開口の流儀には、右手でクロスフィンガーを行う方法と右手を頭部後屈に使用する方法の2種類があるとスミルノフ先生が分類しておられます。
実際、msanuki.bizには開口の方法としてクロスフィンガーを紹介しています。ただ、クロスフィンガーの後に舌をしまいこむことが必要で、そのためには喉頭鏡を挿入する前にクロスフィンガーと反対の手(左手)で頭部を動かして上顎より下顎が上になるような形になるようにと指導しています。そのことを、スミルノフ先生は、喉頭鏡を挿入した後、右手で後屈を行っているように誤解しています。そうではなくて、「喉頭鏡を挿入する前に」行うと何度も先の日本麻酔科学会でも強調していました。喉頭鏡を入れてから右手で後屈を追加するのは下手な気管挿管(喉頭展開)です。喉頭鏡を挿入してから気管挿管チューブ挿入までに余計な時間がかかります。あくまでも、喉頭鏡挿入前に左手(クロスフィンガーと反対の手)で行ってください。
ツーアクションとなるのがダメだとか、格好悪いとかではなくて、きちんと喉頭鏡を挿入できるスペースを作る方法を覚えるべきです。クロスフィンガーだけでもうまくいく症例は多いのですが、きちんと喉頭鏡の挿入前に後屈を行えば、開口できるということも覚えるべきです。複数の方法を知っているべきですし、両方できて悪いということはありません。一番大切なのは、喉頭鏡操作に起因する合併症を起さないこと。歯を折った、唇や舌を切ったり腫らせた、気道狭窄、喉頭浮腫を起したなどということはもってのほかです。そのためには、喉頭鏡挿入前の仕事が大切で、そこをもっと教科書でも強調すべきだと思います。この手の研究はいろいろあって、どれも決定的であるとは思えません。いまだに、喉頭鏡を使用した喉頭展開時の研究は行われています。それが、喉頭展開の難しさを物語っています。

話は変わりますが、麻酔科後期研修(初期研修では無理です)では喉頭鏡による気管挿管だけではなく、ファイバーによる気管挿管もスイスイできるようにトレーニングすべきだと思います。毎日、ファイバー挿管を行うぐらいでもよいと思います。喉頭展開による気管挿管に囚われることなく、ほかの方法もきちんとマスターできるまでトレーニングすべきです。

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2006年06月29日

BMI

BMI(Body Mass Index)の計算方法をご存知だと思います。
BMI=体重(kg)/(身長(m)×身長(m))
BMIの理想体重は22ですので、BMIでも増加率を計算できると思います。たとえばBMI29では、(29-22)/22=0.32で32%増となります。ちなみにJSA麻酔台帳では,肥満は+30%以上,やせは-20%以下を術前問題点のところで記入するようになっています.
「BMIに%なんかつかないぞ」と思われた方.上記の方法で,増減率を計算してください.
BMIでの理想体重は 22 という数値は覚えておくべきですね.

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2006年06月18日

msanuki.bizに術前説明ビデオ登場

msanuki.bizに術前説明ビデオを追加しました。PODCASTでは、フルサイズ(320×240)のものがダウンロードされます。サイト内のリンクをクリックして再生されるQuickTimeは160×120になっています。このビデオは、以前、勤務していた病院で管理人が作成したものです。現在でも、術前診察の前に患者さんに見てもらっているものです。2000年に作成したものであるので看護師のことを看護婦と表現していますが、それ以外は問題ありません。このビデオのフレーズから使えるものを自分のものにしましょう。

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2006年06月12日

臨床研修修了後の進路は?

「臨床研修修了後の進路は?」という記事が,週間医学界新聞の第2686号 2006年6月12日に出ています.小児科,麻酔科は志望者が増え,産婦人科は微増,臨床研修の前後で進みたい診療科を変えた者は35.8%,変えた理由として「研修して興味がわいた」という回答が71.4%あったということ.これらは中間報告で,最終報告は今年の夏にまとまる.

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2006年06月04日

msanuki.biz

麻酔科研修支援サイト msanuki.biz を立ち上げました.第一弾として,初期研修医のために気管挿管事前学習のできる動画をupしました.ホームページでもQuickTimeがあれば閲覧可能です.また,iTunesがあればPodcastのアイコンをiTunesのpodcastingにドラッグ&ドロップすることで音声付きの動画をダウンロード可能です.iTunesに取りこんだものは,当然,ビデオの見られるiPodに入れて持ち歩くことができます.

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2006年05月30日

喉頭鏡素振りとエア挿管のビデオ(videopod)

日本麻酔科学会で発表する予定のビデオサイトのほんの一部です。テストのために掲載してみました。
「気管挿管手技の事前学習サイトの構築」という演題発表後、本格的にインターネットに公開します。
発表は6月1日14:40〜 第13会場です。

下のRSSアイコンをiTunesのPodcastにドラッグ&ドロップしてください。iTunesでみることができます。またビデオが見られるiPodに転送もできます。
(1)(腰をいれた)素振り
(2)エア挿管
が収録されています。

Podcastingで動画配信中♪

(1)素振りのまえに行う「喉頭鏡握り」も含まれています。喉頭鏡を握るだけで、口腔内挿入時の傾きができていて、そのまま前方(上方ではない)に出すというのが正しい「素振り」です。スミルノフ先生の素振りとはちょっと違いますガ、腰を入れるのは同じです。これが、私が教えている素振りです。1日100本を義務づけています。立ち位置にも注意してください。左足半歩前です。左手首は喉頭展開時には後ろに返りません(手首がまっすぐ伸びたまま、喉頭鏡は前方に動いていることに注目してください。)。

(2)ゆっくり行っているエア挿管です。マスクベンチレーションから気管挿管までのイメージです。正確に考えずに素早くポイントを押さえたエア挿管が得点が高いです。

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2006年05月15日

初期研修修了一期生が語る 後輩へのアドバイス

週間医学界新聞第2682号 2006年5月15日に「初期研修修了一期生が語る 後輩へのアドバイス(下山祐人氏 )」が出ています.「症例数の多さであるとか,当直が多い(のが嬉しいのは最初だけでした!)とかを,研修病院の選択基準として考慮する場合は,数が単純に能力に反映するわけではないと知っておいたほうがいいでしょう。また,「足りないものは補える」ことも強調したいと思います。外部の勉強会を利用すれば,高名な先生のご意見を聞けたり,活発なdiscussionに参加できたりします。 (処遇も含め)研修内容に完璧な条件を備えた病院を探す必要はないのではないかと思います。与えられた環境の中で存分に力を発揮できるよう,professionalたろうとすることこそ重要です。 」という心境になれたことは立派だと思います.このことに気づかずに隣の芝生にあこがれている研修医を見かけます.

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2006年05月07日

喉頭鏡素振りとエア挿管の違い

喉頭鏡素振りとエア挿管の違いが気になっている方がおられると思うので,ちょっと解説します.喉頭鏡素振りはあくまでも喉頭鏡の操作方向をイメージして行う,気管挿管一連動作の一部分です.特に,喉頭鏡の挿入~喉頭展開までをイメージしたものです.それに対して,「エア挿管」は,立ち位置,ベット(患者の頭)と施行者の身体の向きの関係,開口,喉頭鏡の受け取り,喉頭鏡挿入,舌よけ,喉頭鏡引き上げ(特に持ち方,握り方と喉頭鏡の操作方向,下半身の体重移動),喉頭の目的場所の確認,施行者の頭や目の位置,気管挿管チューブの受け取り~持ち方,挿管チューブの挿入方法,(スタイレットの抜去タイミング),喉頭鏡の抜去,チューブの保持,カフの注入(指示),呼吸回路の接続,陽圧呼吸と呼吸の確認までの一連動作をあたかも実際に行っているかのように行うシミュレーションです.喉頭鏡素振りもエア挿管も道具を用いたイメージトレーニングとも言えます.エア挿管では喉頭鏡と気管挿管チューブ(スタイレット入り)を使います.

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2006年05月02日

気管挿管の方法と真の実力

気管挿管の際にもっとも大切なことは何だろうか?もちろん,確実に気管に入ることである.間違ったところに入っている場合にそれに気づいて,きちんと対応することである.では,気管挿管の方法や注意点はどうだろうか?救命士の気管挿管と麻酔科医の気管挿管は同じだろうか?救急現場の気管挿管と麻酔科医が行なう手術室での気管挿管は同じだろうか?それを考えることから,初期研修医の気管挿管実習は始まる.
まず,喉頭鏡を入れる際に開口するかしないか.
私も救急現場で気管挿管をする場合には,開口しないでいきなり喉頭鏡を入れることがほとんどである.状況にもよるが,口腔内に手を入れること自体が危ない(どういう場合かは考えてほしい).しかし,手術麻酔で気管挿管する場合には,口を開けてから喉頭鏡を入れることを常としている.どうしてか,状況が違う.日常の麻酔では,気管挿管の前には喉頭展開をしやすい状況を作っている(どうやって作るかは実際にみてください).この違いは何か?どちらが,確実に喉頭展開できるか?どちらが,合併症を避けた挿管を行えるか?
死にそうな患者さんと歩いてきた患者さん.どこまで,気管挿管を丁寧に遂行できるかが勝負の手術室予定患者さんと気管挿管ができなければ,始まらない救急処置との違いを本当にわかっているか?である.

もう一つ,考えなければならないのは,初心者がいきなり,口を開けずに気管挿管ができるか.教えるとすればいきなり口を開けない気管挿管を教えるかということである.それも手術室での症例に...
ここら辺の意図をくみ取ってほしいと思いますが,わからない研修医の方も多くいるようです.
それに対して,私の最近の初期研修医指導コースでは,十分な喉頭鏡の使い方の説明,喉頭鏡の握りと操作法(1日100本以上),さらには喉頭鏡の素振り(1日100本以上),クロスフィンガーのシミュレーション練習をこなしてはじめて,気管挿管の空中テスト(エアギターならぬエア挿管)を見て,合格ならば初めて実際の患者さんにやってもらうことにしております.また,合併症を起こさない意識をもてるような指導をしています.おかげで,悪魔の気管挿管は最初の1週間で行わなくなります.はじめから実際の患者さんにできる故ではありませんが,きちんと理解した方にはどんどんやってもらっています.

気管挿管ができるといった場合,入ればよいというのではなく,状況に応じた対応ができるようにトレーニングすべきです.開口せずに行うことができるというのと,開口せずに行わなければならないというのは同義ではありません.できるにもいろいろなレベルがあります.この意味が,理解できるような研修医を育てたいと思っています.
実技だけでなく考え方も鍛える,トレーニングをする必要があります.

天使の挿管と悪魔の挿管をよんでみてください.

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2006年04月27日

経鼻胃管挿入ビデオ

前回に引き続き,麻酔電脳ブログで知ったのですが、経鼻胃管挿入ビデオがNew England Journal of Medicine On Lineに出ています。英語ですが、わかりやすく紹介されています.

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2006年04月21日

麻酔器

「麻酔器」は麻酔科医が使う道具であり,機器である.昔のものは,機器と呼べるものではなかったが,最近では電子部品を多く使って,人工呼吸器の性能や気化器の性能を向上させてきた.そもそも,麻酔器と人工呼吸器の違いは何だろうか?

答えは簡単.麻酔器は,基本的に半閉鎖回路である.半閉鎖回路とは,呼気から出された麻酔薬を含んだ混合ガスを再度利用するためのもの.そのために,CO2を吸収するためのパーツ(キャニスターとソーダライム)や排ガス装置なるものが必要である.人工呼吸器にはない部分が、麻酔ガスを有効に利用するための回路というわけである.
 ガス麻酔ではなく全静脈麻酔(TIVA)であれば,麻酔器でなく人工呼吸器でよい.通常の人工呼吸器は,酸素と空気をブレンドして酸素濃度を調節し,規定の換気量や気道内圧で換気ができる.一度吸った酸素と空気の混合気は,再度利用するという仕組みにはなっていない.
麻酔器の機能が上がると言うことは,人工呼吸器部分の性能もさることながら,麻酔ガスをきちんと供給できるように内部でガス濃度のモニタリングをしながら調節するような機構が必要になる.電子機器で測定しフィードバックをかけることによって調節しているわけである.その様な麻酔器は道具の域をこえ,電子機器として動作している.
 けっこう,この電子機器が嫌いな麻酔科医がいる.昔ながらの麻酔科医は特に嫌いらしい.麻酔器の内部構造むき出しの麻酔器でなければ気が済まない.そのような麻酔器は最近少なくなってきたが,病院によっては大事に使われているところもある.こういった古い麻酔器の中には純笑気になるものがある.純笑気とは100%笑気が投与できてしまうもので,このタイプの麻酔器は非常に危ない.現在の通常の麻酔器は,純笑気にならない機構が組み込まれていて笑気が流れると必ず酸素も流れるようになっていたり,酸素の供給が途絶えると笑気が流れないような機構が組み込まれている.電子部品を使用していなくても,この機構があるのが当然である.麻酔器の仕業点検にもそのようなチェック項目がある.

もう一つ,電子機器を使用した麻酔器は停電すると使用できなくなる.それで麻酔が続けられなくなるので嫌いと言う先生もいる.しかし,停電して無影燈もない状況では手術も続けられない.麻酔は全静脈麻酔を手動でおこないつつ,バッグバルブマスクか何かの方法で人工呼吸を手動でするしかない.通常は30分程度のバックアップ電池が載っており,その間に対策をとることができるので問題はない.また,停電だけでは酸素は遮断されないので,酸素を流すことは可能で場合によっては回路を手動に切り替えて換気も可能である.数年前の電子部品を使った麻酔器は,ここら辺のことがうまくできていなくて,電源が切れると酸素も流れなくなっていた.しかし,いまのものは違う.電子化麻酔器が嫌いな麻酔科医は,これを盾にとって,攻めてくるらしい.

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2006年04月15日

Child-Pugh分類

この4月からの保険改正で全身麻酔での重症患者についての定義があります。保険請求上、やや高額の請求ができます。そのなかで、NYHA分類というのはおそらく市民権を得ていると思いますが、CCS分類やChild-Pugh分類はもう一つです。国家試験直後の先生方にはそれほどでもないのですが、老練の医師にはすこしややこしい分類です。Child-Pugh分類なんかは昔、Child分類といっていたものの進化版です。
 Child-Pugh分類

1点 2点 3点
ビリルビン(mg/dl) 1-2 2-3 >3
アルブミン(g/dl) >3.5 3.5-2.8 <2.8
PT(%) >70 40-70 <4
腹水 なし 軽度 中等度
昏睡度 なし 軽度I-II 重症III-IV
肝臓の障害度を評価するための一つの分類です。点数が多くなるほど肝機能が悪い Class A: 5-6 Class B: 7-9 Class C: 10-15 (Pugh RNH, et al, Brit J. Surg. , 60, 646-, 1973) ちなみに Child分類は
A(軽度) B(中等度) C(重度)
ビリルビン(mg/dl) <2 2-3 >3
アルブミン(g/dl) >3.5 3.5-3.0 <3.0
腹水 なし 治療効果あり 治療効果少ない
脳症 なし 少ない 時々昏睡
栄養状態 不良
(Child, C. G. : Saunders. Philadelphia.(III ed) S50, 1965)
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2006年04月14日

Arterial Line挿入ビデオ

電脳麻酔ブログで知ったのですが、Arterial Line挿入ビデオがNew England Journal of Medicine On Lineに出ています。英語ですが、わかりやすく紹介されています。4.Over-the-Wire TechniqueがインサイトーAを使うときのもの、5.Over-the-Needle Techniqueが通常の留置針を使うときのものです。
ちょっとこれに近いのですが、今年の日本麻酔科学会で「気管挿管手技の事前学習サイトの構築」という演題を発表します。ビデオ画像に解説を付け加えたものです。
抄録はここです(日本麻酔科学会員であればDATURAのIDとパスワードを入力して見ることが可能です)。

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2006年04月12日

臨床研修と勉強法(1)

臨床研修制度が始まってすでに2年が経過しました。自分の頃と比べて、カリキュラムがきちんと決まっていて、うらやましいと思う反面、カリキュラムが決められているのはどこの科を回るかだけで、中身は研修医次第であると言う話も聞きます.もし,そうであれば昔から何ら変わっていません。当然といえば当然のことですが、研修内容や程度は、研修する側の問題が大きいのです。器だけあっても中身がない研修になります。あなたの病院はどうでしょう.
さて、今回は勉強法についてです。学生の頃の延長で、教科書だけを勉強している。あるいは、医学雑誌の特集記事のみを見ている方はいませんか。まとまった知識を得たいとき。常識的な知識を得たいときには、それでかまいません。しかし、ある程度の知識や技術が身についてくると、それだけでは物足らないことに気づくはずです。あることがマスターできたらそれで終わり?それでいけないと思ったときが、ステップアップのチャンスです。疑問に思ったことを解決してくれる,解決するための勉強法を知っていますか.それができなければ,研修でせっかく経験した症例も身につかず時間だけが無駄に過ぎていくということになります.焦る必要はありませんが,教科書や雑誌の特集だけの勉強だけではいけないということです.最近は,ACLSやBLSなど決められたことを覚えればそれでおしまいと考えている研修医も多く,その延長で臨床研修も捉えてしまいがちです.それではいけないと言うことだけ書いておきます.
では、どのように勉強を発展させるか.それは次回のテーマとします。

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2006年04月10日

「麻酔科研修チェックノート」正誤表の在処

「麻酔科研修チェックノート」の正誤表羊土社のホームページにあります。
間違いを見つけたときには、羊土社または著者まで連絡をいただければ幸いです。

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2006年04月05日

点滴をとる(その2)

一般人が「点滴をとる」と表現する場合,通常,点滴ルートの抜針をすることを意味する.不用意に「点滴をとる」と言うと,「どうして点滴をしていないのに点滴を取り外してしまうのか?」ということになりかねない.「静脈ルートを確保する」の意味で「点滴をとる」といって通じるのは,医療関係者か病院慣れした患者さんに限ると思った方がよい.

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2006年04月03日

Killipの分類とは?

DPCの評価でKillipの分類というのがあります.いまさらここに書く内容でもないのですが,メモ的に書いておきます.
【Killip分類】 身体所見より心機能を評価する分類
分類 所見 (死亡率)
I  心不全なし (6%)
II  軽度~中等度心不全、S3(+)、背部下半にrale(+) (17%)
III  高度心不全(pulmonary edema)、50%以上の肺野でrale(+) (38%)
IV  心原性ショック(BP<90mmHg、尿量減少、冷たく湿った皮膚、チアノーゼ、意識障害)  (81%)

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2006年04月02日

点滴をとる

あなたは患者さんに,「点滴をとる」と言いますか?点滴は「取る」ではなく,「する」と言った方がよいです.点滴を取るというのは,ものを取ることと同じで,医療行為を行う者が患者さんから奪うという意味だと思うのです.丁寧に言ったとして「点滴を取らせていただきます」というのはやはり変です.「点滴をさせていただきます」というのがよいのではないでしょうか.この話は,第6回麻酔科学ウインターセミナーで,秋田の佐藤先生が発言された内容です.それ以来,私もつとめて「点滴をさせていただきます」と言うようにしています.

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2006年03月31日

天使の挿管と悪魔の挿管

最近,力づくで気管挿管を行って,患者さんの歯を折ったり,唇をきづつけたりする挿管を,「悪魔の挿管」と呼んでいる.逆に,きちんと合併症の無いように配慮して上手に行う挿管は「天使の挿管」と呼ぶ.麻酔科研修で教えるのは後者であるべきで,「悪魔の挿管」ができるのを挿管ができるとはいわない.とにかく「できればよい」,手技を学ぶだけという態度ではいけない.患者さんへの配慮があってはじめて研修といえる.「悪魔の挿管」は人形で経験すればよろしい.まず,「悪魔の挿管」を行っている(あるいは教えている)人は,「医療行為とは」ということから考え直す必要がある.

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2006年03月25日

バランス麻酔のレベル分類

電脳麻酔ブログ「バランス麻酔のレベル分類」が紹介されている.麻酔の技術にレベルを想定するというのはよい考えだと思う.どのような麻酔が,よい麻酔かを考えるベースになる.何かを目標にして麻酔を研修するという姿勢が必要であることは疑う余地がない.
どんな麻酔でもよいのか?答えとして,どんな麻酔でもかまわないと考えるならば,すでに進歩は止まっているといえるだろう.

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2006年03月24日

これはなんでしょうの答え

 セボフレン側のキーインデックスでした.出題時に白黒にしようかと思ったのですが, 意地が悪い問題になるのでカラーで出題しました.色をみてわかった方もあると思います.

フォーレンのものとはキーが異なっていて,セボフレンのキーフィラーがあわないようになっています.

キーフィラーは気化器側もセボフレンとフォーレンでは反対側に溝が切ってあります.

吸入麻酔薬→キーフィラー→気化器のいずれが異なっても注入できないようになっています.キーインデックスシステムです. 簡単すぎましたね.

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2006年03月23日

CCSの狭心症重症度分類

麻酔科の保険点数がこの4月から変更になります。そのなかの重症患者の定義で聞きなれない分類があります。狭心症のCCS分類です。CCS分類とは以下の通りです。

CCSの狭心症重症度分類
(Canadian Cardiovascular Society,Circulation,'76) 
【クラスI】
日常の身体活動、たとえば通常の歩行や階段上昇では狭心発作を起こさない。仕事にしろ、レクリエーションにしろ、活動が激しいか、急か、または長引いた時には狭心発作を生じる。
【クラスII】
日常の身体活動は僅かながら制限される。急ぎ足の歩行または階段上昇、坂道の登り、あるいは食後や寒冷、強風下、精神緊張下または起床後2時間以内の歩行または階段上昇により発作が起こる。または2ブロック(200m)を超える平地歩行あるいは1階分を超える階段上昇によっても狭心発作を生じる。
【クラスIII】
日常活動は著しく制限される。普通の速さ、状態での1~2ブロック(100~200m)の平地歩行や1階分の階段上昇により狭心発作を起こす。
【クラスIV】
いかなる動作も症状なしにはできない。安静時にも狭心症状をみることがある。

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2006年03月20日

麻酔科研修必修手技項目

【必修】術前状態の把握とプレゼンテーション、麻酔器−麻酔回路点検、麻酔時の各種モニター装着、術中術後使用薬剤の希釈と取り扱い、輸血製剤と生物由来製剤の取り扱い、末梢静脈路確保、バッグマスク換気、麻酔中の人工呼吸の調節、喉頭鏡を使った気管挿管ー抜管、ラリンジアルマスク挿入ー抜去、気管内吸引、腰椎穿刺、尿道カテーテル挿入、胃管挿入、静脈採血、動脈採血、手術室内検査機器による検体検査、麻酔チャートの記述法、術後回診とカルテ記述、麻酔台帳入力
【オプション】動脈ライン確保、中心静脈確保、経鼻挿管、意識下挿管、ファイバーを使った気管挿管、分離肺換気、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、(伝達神経)末梢神経ブロック、エコー(心,腹部,血管)
と私は考えるのだが,必修をどれだけこなしているだろうか.以前にも理解力(2)で書いたが,できない人はできないなりに、できる人はできるなりにオプションまで指導している.できないと考えられる場合には,必修であっても実技までさせられない(見せるだけの)ことがあります。また,実技を行うだけが実習でないので,きちんとした手技を見学することも大切です。この「きちんとした」というのがミソで,いい加減な手技を繰り返し,指導もなしに行うより,きちんとした手技を見学するだけの方が,よいことが多いのです。「百聞は一見にしかず」いや「(見よう見まねの)百手技は(正しい)一手技にしかず」です。一つずつの手技内容が,きちんとできているだろうか。だれがチェックしているだろうか。手技をチェックしていない、チェックされていないのは問題です。手技に関して「できることもある」と「できる」というのは全くちがうのです。もう一度,よく考えてみましょう。これは、研修医だけでなく指導医にも言いたいことです。

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2006年03月18日

これは何でしょう

 手術室で麻酔科が使用するものの一部の拡大写真です.正面像と側面像です.

 

答えは,数日後に発表します.

 

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2006年03月17日

てきてきの答え

「てきてき」とはなんでしょう?
(1)輸液セット
(2)輸液ポンプ
(3)輸液ライン
(4)採尿バッグ
(5)採血用フォルダ

答えは(2)です.

輸液ポンプでは,てきてきと輸液が落ちることから「てきてき」と呼びます.正確に(定期的に)滴下することを表現したもの.「てきてきとセット持ってきてください.」といったように使えます.「輸液ポンプとポンプ用の輸液回路を持ってきてください」という意味です.

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2006年03月13日

観察力(2)

観察力をつけることが大切で、見ることも大切な研修であると以前に書きました。私の臨床研修医の指導方針は、できそうなことだけやらせて、できなそうなことは指導医のやっていることを見せる方式です。このできそうなこと、というのは個人個人によっても違いますし、時期によっても違います。
今回は、指導医が研修医のできそうなことを見極めるという観察力です。また、個人個人の性格や器用さ、目指すものもさまざまです。それを汲み取って適切にフォローするためには、研修医を観察する力が指導には必要です。紋切り型の指導ではなく、テーラーメイド(オーダーメイド)の指導を目指しています。もちろん、アドバイスもします。コーチが選手に対して、強化するべきところを個別に指導するのと同じようなアドバイスです。このテーラーメイドの指導をするためには、観察力が必要なのです。ときどき何気ない質問をして、実力を確かめることもあります。観察力は研修医だけでなく指導医にも必要な技量です。

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2006年03月11日

鵜呑み

「物事を鵜呑みにする」というように使う言葉がある。1週間ほど前に「医療ミス重なり患者死亡 3医師を書類送検」という記事が各新聞に掲載された。この事件では、血液検査の異常値で縫合不全による炎症の可能性を疑うべきなのに、部下の外科医は外科部長に「術後は良好」などと伝え、外科部長は引き継ぎをうのみにして必要な検査を怠り、腹膜炎で患者を死亡させた疑いで書類送検されている。結局、この外科部長は自分で患者を見ていなかったということである。これに、似た状況が麻酔科にもある。主治医が言う大丈夫である。自分の専門以外の分野に関してなんの根拠もなく大丈夫と答える強者の主治医がいる。ここにはワナが仕掛けられている。主治医だからきちんと見ているだろうというのは禁物で、自分の目でもきちんと検査データ、画像データや診察所見などから事実を確認できるような力をつけておくことが肝要である。「大丈夫は大丈夫ではない」ということです。

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2006年03月09日

ピコピコとってきて

「ピコピコとってきて」というとなぜだか、当院ではどんな手術室看護師さんにも通用してしまうのです。ピコピコとはなんでしょうか。多分、広島地方でしか通用しないと思うのですが、筋弛緩モニターのことです。
刺激するとピコピコと手が動くのでピコピコなのです。「ピコピコとってきて」と言って、それ何?と聞き返されることはありません。
研修医にピコピコつけたか?と聞いて、固まっていることが時にありますが...

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2006年03月06日

観察力(1)

臨床研修医に限らず,身につけるべき能力だと思います.臨床研修における観察とは,その道の専門医がどのように医療行為(場合よっては患者対応)を行っているかを見る力(眼力)だといえます.見たことから何を感じ取るかということは、何に着眼するかにかかっています。
臨床研修医に質問をしてみれば、観察力がどの程度かがわかります。一番簡単なのは、指導医が今行ったことの手順を説明させることです。指導医が行った行為を口頭できちんと答えることができるかどうかです。抜き打ち的に聞いてみるとよいでしょう。
性別によって観察力に差があるような気がします。どちらがきちんと答えられるかを、ここで述べてしまうと研修医の皆さんにはショックが大きいので秘密にしますが、「しっかり観察する」ということ自体が大事な研修になります。この力をつけることは、この先も役立ちます。”ボーッとして何気なく見る”のはやめましょう。何でも、鋭い目で見るという貪欲さが必要です。

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2006年02月28日

プレゼンの新採点法

以前に「にて,にて攻撃」を紹介しましたが,今日はプレゼンテーションの採点方法についてです.最近,やはり「にて,にて攻撃」が横行しています.何度言っても,新しい研修医が来ると「にてにて」と言っています.そこで,今回から「にて」「としては」全面禁止としました.フィギュアの採点法と同じで,ミスがあれば芸術性,技術点が高くても減点とします.「にて」「として」は言葉をつなげば,なんとなく文章風になりますが,意味がわかりません.便利な言葉です.「にて」「として」を一回使用するたびに10点ずつ減点して,10回使用した時点で0点にします.他科では,「にて」「として」を放置しているのでしょうか?

たとえばこんなプレゼン例:
「○○病院にて胃内視鏡検査にて胃潰瘍として治療されていましたが,胃痛続くため本人の希望にて当院内視鏡科受診し,精査にて胃内視鏡検査とCT施行したところ胃ガンとして診断されました.○月○日,手術目的にて外科転科し本日,手術となりました...しかし,昨夜より発熱39℃以上が続くため,血液検査にてCRP上昇と好中球の増多にて電話連絡にて手術延期として報告がありました..」(よーわからん,文章長くて単語がなんとなくつながっている感じ)

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2006年02月17日

エアウェイ

歯がない患者さんのバッグマスク換気の時に,エアウェイ(口腔)を活用しているだろうか.歯がないときにはマスクがフィットしにくく漏れができてうまく換気できないことがあります.そういったときに3つの方法があります.(1)頬をふくらますようにガーゼを両頬(口腔内)に詰めて換気を行う,(2)マスクを下唇の下に潜り込ませて無理矢理フィットさせる,そして最後がゲデルのエアウェイを入れて換気を行う方法である.このエアウェイ,バーマンだとちょっとうまくいかない.ゲデルのエアウェイ(スミスメディカル)が,一番やりやすいように思います.どうしてか?エアウェイの上端についているツバの大きさが違うのです.一度,実際に比較してみましょう.
ちなみに,この話題は「麻酔科研修チェックノート」p.220-222に出ていますので持っている方は参考にしてください.ゲデルのエアウェイは図4-1-5の上段の写真の上のもの,バーマンは上段の写真の下のものです.経鼻エアウェイは,一緒のページに出ていますが頬のこけた方のマスク換気にはそれほど役に立ちません.

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2006年02月15日

静脈ルート確保を失敗したとき

麻酔前の静脈ルート確保を失敗したとき,患者さんにどう対応するか?ここが,研修医の試練の第一歩です.失敗したときにどのようにフォローできるか.次の静脈穿刺の前に,良好な関係を保てるかです.相手によってずいぶん態度は違うと思いますが,ここの対応は誠意を持って行うしか方法はありません.指導医が失敗することは少ないのですが,その時こそ対応をよく観察して自分の行動に生かすべきだと思います.実技を行うことだけが研修ではなく観察することも大事な研修です.技術を盗むことは容易ではありませんが,対応方法なら観察するだけで盗むことは可能です.ただ,とっさの時に同じ事ができるかどうかは,ある程度,場数が必要ですが..

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2006年02月12日

症例のプレゼンテーション

当院麻酔科は,当日の麻酔科管理症例のカンファレンスを朝に行っています.多くの麻酔科では,朝に行うことが多いと思います.この症例カンファレンスで,研修医の皆さんがいっしょに担当する症例のプレゼンテーションをしています.そのプレゼンテーションを聞いていると,理解度がチェックできてしまいます.プレゼンテーションにまとまりがない.内容がきちんと伝えられない.問題点が抜けている.大切な問題順にプレゼンテーションできていない.など,今一度,自分のプレゼンテーションをチェックしてみましょう.当院の研修医で,も麻酔科研修始めの頃と2ヶ月目を比較すると雲泥の差です.

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2006年02月06日

動脈圧が低い

観血的動脈圧測定をしていると,何らかのトラブルで動脈波形が出なくなることがある.本当に血圧が低い場合にももちろん,動脈圧は低く表示され,動脈圧波形もたよりない波形をしている(「波形がなまる」).どうやって,問題を見つけるかということである.本当に低いか動脈圧測定のライン自体のトラブルなのかは,脈をふれてみればわかるだろう.これができない場合,モニターに振り回され,いわゆる”モ源病”にかかった状態となる.最低限,この脈をふれることを忘れてはならない.
さて,それはよいとして,脈はよくふれて血圧は大丈夫で,波形がなまっている場合にはどんな行動をとるべきだろうか.フラッシュをする,動脈血を逆流させるなどの方法があるが,それだけではちょっと問題がある.比較的多いのが,加圧バッグの圧が抜けていることのチェックである.この場合,慣れた方ならフラッシュをしてもヘパリン生食が流れないことで気づくが,そうでない場合,ここを解決しない場合,何度も「なまり」が出現する.
加圧バッグで規定の圧を加えることにより約3ml/hrのヘパリン生食が流れるようになっていることを忘れないでおこう.この少ない定常流でヘパリン生食が流れることで,圧ラインの「なまり」を防止してくれている.

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2006年01月22日

バッグ-マスク換気の時の足の位置 解答例

バッグ-マスク換気の時の足の位置についてですが,
[1]麻酔器を使ったバッグ-マスク換気
[2]アンビューバッグを使ったときのバッグ-マスク換気
の両者とも(3)です.
キーになるのは,マスクホールドする側の手です.もっといえば上腕かもしれません.
マスクホールドするためにもっとも力の入りやすい,左側の肩-腕-手の関係を見つけるために立ち位置を調節します.そのときに左足が前でないと微妙な調節ができません.
右手ではバッグを押していますので,そのバッグの位置を立ち位置の調節後に,決めると楽なマスクホールドができます.
よく,マスクホールドしているときに麻酔器が遠くにあって右手が届きにくいのでベッド(短い辺)にたいして足に平行に置いているのを見かけますが,これではマスクホールドがきちんとできません.自分は麻酔器のバッグの方を向き,患者さんは体の左側にいることになります.これでは左上腕から手にかけての力を調節しやすい体勢を作ることができません。足は左足半歩前で、患者さんの頭のほうを向き、左上腕からしたの部分でマスクホールドしやすい体勢を作り、左手のバッグ(麻酔器自体)を適当な位置まで引き寄せる(あるいは離す)必要があります。アンビューバッグではバッグを少し左右にマスクとのジョイントのところで回転させて持ちやすい場所を探します。イメージできますか?

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2006年01月16日

バッグ-マスク換気の足の位置

気管挿管の前に行う,バッグ-マスク換気の時の足の位置はどうだろうか?
麻酔科ならば2つの場合が考えられる.
[1]麻酔器を使ったバッグ-マスク換気
[2]アンビューバッグを使ったときのバッグ-マスク換気
である.さて,いずれも足の位置は同じでいいのか,それとも違うのかをチェックしてみよう.
答えは,前回と同じ4択です.足の位置を決めるのは,何がカギになるのだろうか?
[1]と[2]の場合について,それぞれで
(1)平行
(2)右足前
(3)左足前
(4)不定
のどれが良いだろうか.
数日後に,参考意見を発表します.

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2006年01月12日

気管挿管時の足の位置の答え

気管挿管時の足の位置ですが
(1)平行
(2)右足前
(3)左足前
(4)不定
のどれが,しっくりきたでしょう?
答えは(3)です.

左手に喉頭鏡を持つ場合,(1)から(4)をやってみると(3)の左足前というのが一番やりやすいように思います.
喉頭鏡の素振りをしているスミルノフ先生の足を見ようと開いた方もいると思いますが,残念ながら足は見えていません.しかし,よく見ると半身になって喉頭鏡を持っている側の大腿が前に出ているのがわかります.スミルノフ先生は左利きですので右手に喉頭鏡を持っています.右手に喉頭鏡を持っているので右足前ですが,左手に喉頭鏡を持った場合は左足前ということになります.
(1)の平行は,非常にバランスが悪く前後の調整ができません.(2)右足前は,もっと難しいとおもいます.
足の位置によって,喉頭展開のしやすさが変わります.左手で喉頭鏡を持っていますので,喉頭鏡は右から左前方に動くことになります.そのときに,右足から左足に重心が移っているのに気づかれた方は本物です.腕だけで喉頭展開するのではなく上半身の動きにも気を配りましょう.フォームが大切だということです.

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2006年01月05日

気管挿管時の足の位置

気管挿管の時の足の位置を考えてみよう.患者さんの頭もとに立って,どのように足を構えるのがよいだろうか.
(1)平行
(2)右足前
(3)左足前
(4)不定
のどれが,やりやすいだろうかということです.
足の位置の置き方でずいぶん,気管挿管のやりやすさが変わるのです.
(1)から(4)を実際にやってみるとわかりますが,しっくりきたのはどれでしょう.
1週間後までの宿題とします.
足の位置によって,喉頭展開のしやすさを比較してみればすぐにわかるでしょう.

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2006年01月03日

サヌプロテクト

気管挿管をするために開口する場合,歯が指に強く当たって痛くて開口ができないことが初心者には障害になっていることがあります.そのために,管理人が発案した「サヌプロテクト」があります.作ったわけではなく事務用品を流用しただけですが,非常に有効です(と思っています).事務用品で紙をめくったりするときに指につける指サックです.最近ではカラフルでかわいいものがありますので,女医さんにも受け入れられやすいでしょう.クロスフィンガーをする前に,右手の親指と人差し指につけておきます.その上からプラスチック手袋をつけて使用するものです.サヌプロテクトをつけて開口すれば指が歯に当たっても痛くありません.大きく開口できます.開きやすいからといって,くれぐれも,患者さんのあごをはずさないように注意しましょう.QuickTimeの動画を見ていただければ,一目瞭然ですのでご覧ください(閲覧にはQuickTimeがインストールされていることが必要です).

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2005年12月31日

縛る練習

ちょっと怪しいタイトルですが,末梢静脈確保の練習の前にすることです.末梢静脈ラインを確保する前に,穿刺できる血管を探すことが大切ですが,そのためには駆血帯で前腕を縛ることが必要です.その際に,どのように縛っていますか?何となく縛っていませんか?縛り方(方向,強さ,縛る位置)の違いが,静脈を浮かせるのに大切な役割をしています.採血がうまい看護師さん(たとえば中央処置室などでいつも採血を担当している)の駆血帯のかけ方を観察してみましょう.ただ見るだけではなく,自分の駆血の仕方とどこが違うかを感じてください.わかっただけでも大きな進歩だと思います.実際に実技を行うには,上手な人の手技を観察して違いを認識できることが大切です.実験ではないので試行錯誤では,いけません.

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2005年12月17日

バーマンエアウェイ-T

下記の文献に紹介したサヌサピアン(自作エアウェイ)とバーマンエアウェイ-T(既製品)の使用時の違いを解説しよう.サヌサピアンはエアウェイの背面にスリットが入っている一方,バーマンエアウェイ-Tは側面にスリットが入っている.この違いはファイバーを通すときに大きな違いがある.それぞれのエアウェイを口腔内に挿入後,ファイバーのみを通すと,サヌサピアンでは問題ないが,バーマンでは側面にあるスリットにファイバーがはまりこみ,ファイバーを痛める.そこで,バーマンでは,ファイバーをいきなり通すのではなく,スパイラルチューブをバーマンの先に出ないように通しておき,その中にファイバーを進めていくことになる.すんなりファイバーが気管に誘導できないときには,ファイバーとスパイラル気管チューブを抜去しマスク換気を再度行う必要がある.
サヌサピアンの場合は,ファイバーにスパイラルチューブを通しておきチューブはファイバーの最上部にテープで軽く止めておけばよい.
そのまま,ファイバーのみをサヌサピアンの背面から挿入し気管に誘導する.誘導できたら止めておいたテープをはずしてチューブをサヌサピアンの中に進めればよい.すんなりファイバーが気管に誘導できないときには,ファイバーのみを抜去すれば良く,素早くマスク換気に戻れる.
イメージできたろうか?

【参考文献】麻酔・救急・集中治療専門医のわざ(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-609-9
p.29-33 ファイバースコープ挿管-30秒で入れる- 讃岐美智義

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2005年12月12日

2005年12月11日

サヌサピアン

「サヌサピアン」とは自作の経口ファイバー挿管補助用の器具である。「オバサピアン」という商品をパロッて私が付けた名称である。 オバサピアンとは、開発者のオバサピアン先生の名前をとって名付けられたオバサピアン・エアウエイのことである。 「サヌサピアン」が、当院では一般名で通用する. 先日、麻酔器具室で「サヌサピアン」入れの箱を発見した。

どこかのメーカーで、サヌサピアンを商品化してくれないかなー。大募集中です。

オバサピアンでは短すぎてファイバーの先端が舌根部まで到達しない。サヌサピアンのほうがファイバーの誘導が容易である。

【参考ページ】サヌサピアンの紹介

【参考文献】麻酔・救急・集中治療専門医のわざ(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-609-9 p.29-33 ファイバースコープ挿管-30秒で入れる- 讃岐美智義

 

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2005年12月09日

あいさつ、ふたたび

通勤途中に出会う中学生の挨拶の話をふたたびしてみようと思う。出会うたびに挨拶は続いている。最近、いつも挨拶する中学生が2-3人つれて登校してくることもある。その場合、その中学生だけでなく、こちらが挨拶すると周りの中学生もやはり挨拶する。別の日に、周りの中学生だけで歩いてくるところに出会ったが、こちらが挨拶する前に向こうから大きな声で挨拶してきた。挨拶の輪が広がっているという感じだ。些細なことではあるが、朝の楽しみになった。
小学校の先生はといえば相変わらずである。小学生に対して声をかけるが私の挨拶に対しては返事がない。その先生が声をかける小学生もまた返事(あいさつ)をしない。
コミニュケーションでは雰囲気が大切である。相手に返事をしてもらおうと思えば、自分も返事をする姿勢がなければいけない。コミニュケーションとは意思の疎通である。

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2005年12月05日

論文を書いてみよう!

「論文を書いてみよう!」
どこかの教授の口癖のようなこと言うなー.とお思いかもしれませんが,これは本のタイトルです.
諏訪邦夫先生の最新刊です.克誠堂出版から出ています.

研修には関係ないと考えている方もいるでしょう.
しかし毎日,仕事をしているならば何らかの発見や,創意工夫があるでしょう.教科書に書いてあるとおり,指導医に教えられたとおりだけではないはずです.研修年限が上がるにつれて,教科書通りでないことは増えてくるのです.
さて,この本で問題にしているのは論文を書くまでのプロセスで,インパクトファクターを稼ぐ方法とか,一流雑誌に掲載する方法とかは紹介していません.研究(動物実験に限りません.)したことを世に知らしめるための方法を紹介しているだけです.これが,初心者には大事だと思います.
書いてみるまでのとっかかりが重要です.一度書いてみれば次からは,スピードがつきます.どんどんいけます.この,始めの一歩が踏み出せない研修医がおおいと私は感じています.その第一歩を踏み出す手助けをしてくれます.今風にアレンジした表現になっていますので,過去に出版された類書よりずいぶん易しく手引きをしてくれると思います.いちど,読んでみてください.

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2005年12月03日

成長した?フェンタのシール

フェンタには2ml/Aのものと5ml/Aのものがある.2ml/Aのものは珍しくないが,5ml/Aは,非常にレアものである. きっと,シールもあるに違いないと思っていたところ,実物を集めている方がいた.うれしいことに「麻酔と救急のために」 の索引の近くに貼っている.よく見ると,1枚だけ緑色のものがあり,それ以外はすべて黒っぽいラベルである.黒っぽいラベル(大きいフェンタ)の方は0.25mgとかかれている

 fenta_big

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2005年12月01日

喉頭鏡素振りのかけ声

研修医F「喉頭鏡素振りをするときには,どうやってかけ声をかけるのでしょう?」
指導医「1・2・3,1・2・3ではちょっとねー」「うーん」
研修医F「ほら,あのだれでしたっけ?テレビで変な歩きを教えている人」
指導医「デューク更家(さらいえ)か?」
研修医F「そうそう」「あれがいいんじゃないでしょうか」
指導医「こうか?」(素振りの手本を見せながら)「シュッ,シュッ」
指導医「なかなか,いい感じだなー」
(それを見ていた看護師が,)
看護師A「デューク更家かと思った」
看護師B「それを言うなら,デュークさぬいえ?」
研修医F「シュッ,シュッ」「これ,いい感じですねー.デュークさぬいえの素振り」

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2005年11月15日

麻酔器仕業点検、麻酔時のモニター、ACLS

麻酔科指導医「麻酔器仕業点検、麻酔時のモニター、ACLSは何のキーワードでしょう?」
研修医A「?」
研修医B「わかりません」
麻酔科認定医「先生(指導医)の得意な分野ですか?」
麻酔科指導医「ほぼ当たりかな」
これは、麻酔科専門医の実技試験のヤマです。いつの時代も同じはず。
麻酔科で研修すると、3つのいずれの項目も絶対に他科の医師より詳しくならなければいけないことだから。
スミルノフ教授のサイトをみても実技試験に絶対でる項目です。ちょっとできるだけではダメで、かなり詳しくないといけない。だから実技で試すと(日常的にやっているかどうかを見るには)よいのです。

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2005年11月12日

喉頭鏡素振り 続々

スミルノフ教授「3年前に冗談で作った喉頭鏡素振りのススメが、今本当に普及し始めている、ということを信じていいのでしょうか。讃岐先生、実話なんでしょうか。敢えてあれに意味を含ませるならば、単調な繰り返し練習こそ大事ということです。手順も覚えずいきなり患者の前で手取り足取りで教えてもらおうという態度はさすがの先生も許さないぞってね。いや、それは後付けでしてね、確か松井がニューヨークに引っ越して自分のマンションに素振り専用部屋を造っただかっていう話に感化されて、軽い気持ちでパロったはずなんです。・・・」と御発言されている。これに対する管理人の答えは、以下の通りです。

喉頭鏡の素振りは、私が直接指導している研修医には、トレーニングの一環として行ってもらっています。冗談抜きで効果は絶大です。繰り返し、素振りの方向をイメージすることで、自然と型ができてきます。それともう一つ、初心者は肘を曲げて肘から先で喉頭鏡を持ち上げようとするが、素振りをすると上腕が使えるようになるのと、立ち位置(患者との位置関係)がよくなるため、力がないと思われていた女性医師でも、比較的短時間で喉頭展開が自力でできるようになると思う(印象だが)。指導するときには、側方からビデオを撮り、研修医の先生に見せてフィードバックと解説をしています。これ以外にも、秘伝の方法が多数あるのですが、今日はここまでにしておきます。
ぜひ、あなたも「さぬちゃん麻酔道場」で修行をしませんか。立派な研修医、いや麻酔科医になれます。

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2005年11月10日

パルスオキシメーターの音

研修医E「モニターの音だけで,わかることなんかありますか?」
指導医「パルスオキシメーターの音が変化するのを知っている?」
研修医E「いつも変わらないと思いますが・・・」
指導医「SPO2=98とSPO2=97の音色が違うのだけど、気づいてた?」
研修医E「ほんとだ。ぜんぜん気づかなかった。」
その後、研修医E先生は、自分でパルスオキシメータを装着し、息こらえをして真赤な顔をしてパルスオキシメータの音色が低くなるのを楽しんでいた。ちょっち、あぶない、
研修医の先生と話をすると,いつも新たな発見がある.

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2005年11月05日

喉頭鏡の素振り 続き

男性研修医C「喉頭鏡の素振りするために,喉頭鏡借りてかえっていいですか」
指導医「いいけど,必ず返してよ.それから,人に当たらないように気をつけてね」
喉頭鏡の素振り後,翌日の気管挿管は確かに良い方向に喉頭鏡を動かしていたが,指導医は驚いた.
力一杯,前上方に引き上げると,枕から頭が浮いている.
パパ,パワーがありすぎる・・・
指導医「もっと,優しく操作をしてよ.そこまで引き上げなくても・・・」
確かに,喉頭鏡の素振りは効果があるが,実際には力の加減をすることも教えなければならない.
喉頭鏡の素振りはあくまでも操作方向の練習である.
今度は,女性研修医で効果を報告したい.

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2005年11月04日

あいさつ

毎朝,通勤途中に反対側から歩いてくる見知らぬ中学生が、自らすすんで挨拶をする.少し遅れて、うちの娘の学校の先生(その先生は私の顔を知らない)が来るのだが、こちらが挨拶をしても知らん顔である。しかし、周りの小学生には挨拶をしている。これと同じ事が、病院内でもある。ある年配の事務官が、白衣姿の私には挨拶をするのだが、私服で院内を歩いているとこちらが挨拶をしても何も言わない。院内で出会うのは病院内で働いている者、患者あるいはその関係者、取引業者の可能性が高い。そのことを、ある院内会議で出会ったので、本人に伝えたところ「大変失礼しました。気をつけます」と言う。たかが挨拶なのだが、そんなことができない社会人それも指導的立場にあると思われる者ができないのは、大きな問題である。事務官も小学校の先生もバツ(×)である。どこで評価されているかわからないことを肝に銘じておこう。自ら挨拶をする中学生が、断然すばらしく思えてしまう。たかが挨拶である。

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2005年10月31日

「にて」「にて」攻撃

よく、カンファレンスで「にて」を連発するプレゼンテーションにお目にかかります(お耳にかかるか?)。「~で」と言うところを「~にて」と言っている。管理人は、「にて」は古風な言葉で、通常は場所、たとえば手紙などで「広島にて」などと、現代では場所にしか使わないと思っていた。ところがである、何科においてもカンファレンスの時に、「内視鏡にて発見された」だの、「TIVAにて麻酔を維持する」などの様にプレゼンテーションで多用している。意外に、偉い先生方は注意をしないが、私には非常に滑稽な感じがする。これと同じ事が、真興交易医書出版の臨床麻酔29(10):1692 「コラム「にて」について に掲載されている。「臨床麻酔」では、「で」の古語である「にて」は、誤用ではないが現代語ではないので編集者が査読時に「で」に置き換えているそうである。
いわんや、口語であるカンファレンスでは、「にて」はもってのほかということになる。一度、上記の臨床麻酔のコラムを読んでみてはいかがでしょうか。

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2005年10月27日

日本臨床麻酔学会第25回大会での卒後初期研修医対象企画

日本臨床麻酔学会第25回大会(大阪)会期中に、以下の研修医向け企画が用意されています。11月18日(金)の午後からと11月19日(土) 午前中です。
大変ためになりますので、是非参加してください。おすすめです。申込みが必要ですから、それぞれのセミナーごとに下記のリンクからおねがいします。

1.日本臨床麻酔学会第25回大会 ワークショップ4- II
  臨床初期研修実践セミナー 
 「臨床研修に役立つ危機管理の理論と実際」
  共催:日本医学シミュレーション学会
 日時:11月19日(土) 午前9時~12時
 場所:ハービスホール
 定員:48名

ワークショップ内容
実習1.中心静脈穿刺ハンズオンセミナー
-正しい手技の習得で、患者さんとあなたの安全を守ろう-
    中川 雅史 社会保険紀南病院麻酔科
実習2.ビデオ喉頭鏡による正しい気管挿管指導
-あなたは毎日、喉頭鏡の素振りをしていますか??
    岩瀬 良範 埼玉医科大学麻酔学教室
実習3.人工呼吸器の使い方
-意外に触れるチャンスのない人工呼吸器、まずは触れてみよう-
    藤本 一弘 旭川医科大学附属病院集中治療部
実習4.ガム・エラスティック・ブジー
-気管に挿入してよい、柔らかいスタイレット-
    小澤 章子 北里大学医学部麻酔科学
実習5.麻酔器の構造と落とし穴
-手術室に必ずある謎の物体、麻酔器の中身こうなっている!-
   上農 喜朗 兵庫医科大学麻酔科学教室
実習6.ラリンジアルマスクエアウエイ(LMA)
-気道確保に困った時のお助けマスク-
   辻本三郎 大阪府済生会中津病院麻酔科


2.日本麻酔科学会広報委員会合同企画
  卒後初期研修医優待企画
  「麻酔科の時代到来」
日時:11月18日(金)14:00~16:30
 会場:第6会場
 定員:約100名

 パネルテーマ:「麻酔科の時代到来」
       ・ペインクリニック(京都府立医科大学 細川豊史 先生)
       ・緩和医療(和歌山県立医科大学 月山 淑 先生)
       ・救急・ICU(広島市民病院 多田恵一先生)
       ・開業(梅垣麻酔科クリニック 梅垣 裕 先生)
       ・女医(大阪医療センター 渋谷博美 先生)

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2005年10月23日

ひきどころ

以前に、ここで紹介したAn Anesthesiologist's Day 麻酔科研修医日記 に、ひきどころというよい話が載っています。全く同感です。外科医の術中のdecision-making(意志決定)は、その人のバランス感覚をよく表していますね。麻酔科医は、その過程を術中にみているので外科医をもっとも厳しくみられる職種といえると思います。私は、ここから外科医に対する麻酔科医の厳しさが生まれると思っています。手術内容だけでなくその成り行きなども、観察する目が大切だと思います。
麻酔科研修日記、本サイトもおすすめです。

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2005年10月22日

喉頭鏡の素振りは役立つ?

スミルノフ教授のサイトに「喉頭鏡の素振り」のFlashがある。この素振り、本当に喉頭展開時に役立つ動きである。イメージとしてとらえてみるとよい。前上方に振り上げるため、手前にこねて上顎の前歯に喉頭鏡を当てる方向の動作をしなくなる。
しかし、お気づきの方もおられると思うが、スミルノフ教授は喉頭鏡を持つ手が反対のようだ。左利き用の喉頭鏡(右手に持っている)を持っているので、右利きの方はお気をつけください。
また、人に当たらない場所で行ってください。

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2005年10月20日

モ源病

先日の、血圧に関する話として笑えないのが、観血的動脈圧のトランスデューサーが床に落ちているのに、急に血圧が上昇したと思いこんでしまうことである。あわてていると降圧剤まで投与してしまい痛い目にあう。
落ち着いてモニターの波形を見たり、収縮期血圧/拡張期血圧を見ればおかしいことには気づくはずである。ゼロ点が違っているだけである。大抵は50-60程度の急上昇であるので、慣れていればあわてることはない。マンシェットで測定してからでも処置はよい。
モニターの原理を理解せずに数値のみを追いかけていると、このようにモニターに振り回されることから「モ源病」と呼ばれる。「モ源病」は経験の浅い研修医からあわてん坊の指導医にまで発生を見る。

逆に、本当に血圧が下がっているのに、モニターがおかしいと言ってはばからないと、医療事故につながる。もにたーの原理をよく知ることも大切だが、自分の五感を併用することも忘れてはならない。
「モニターを治療するのではなくて患者を治療するのだ」というのはよく言われることである。

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2005年10月19日

血圧が下がります

研修医B「血圧が下がります。」「血圧が60台になったので、エフェドリンを入れました。」
確かに、血圧は60台であるが動脈圧波形がなまっている。橈骨動脈をふれると、激しく脈がふれる。動脈ラインに血液の逆流が見られる。加圧バッグを見ると圧が下がっている。
指導医「マンシェットで測った血圧は?」
研修医B「???」
マンシェットで測ってみると収縮期血圧は200mmHgを越えていた。血圧が低いと思って入れたエフェドリンで血圧が逆に上昇していたのだ。
加圧バッグに圧をかけ、逆流していた血液を戻すと、波形は正常になり血圧は220/120mmHgと表示されている。
数値のみを信じて、患者に触れていないとこのような間違いを起こすことがある。モニターの数値のみを盲信的に信じないこと。

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2005年10月16日

血圧が上がるんですけど・・

研修医A:「先生,セボの吸入濃度を3%まで上げても血圧が上がるんですけど・・」「フェンタネストは100μgを2回入れました」「どうしてでしょう.痛いんでしょうか.」
ふと見るとBISも80台まで上がっている.ガスモニターでは呼気中のセボ濃度が0.2%と表示されている.セボフルランのテックの残量を見るとゼロである.セボフルランがなくなっていたためであった.
このようなやりとりを目にすることがあった.
TIVAの場合、プロポフォールはシリンジポンプに入っているので、なくなるとアラームが鳴る。揮発性吸入麻酔薬はなくなっても通常アラームが鳴らない。これは、吸入麻酔薬濃度の設定値と測定値が、かけ離れていることで気づくが、アラームのない機構が問題ともいえる。麻酔器メーカーにも一考してもらいたい問題ではある。

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2005年10月14日

モニターがわからん(2)

モニターがわからんの2番目はBISモニターです。脳波を理解しようとする姿勢は感じられるのですが、何から初めてよいかわからないという質問が多いことも確かです。他科研修では、全く見かけないこともあり資料も少ないようです。身近に手に入るものとして、克誠堂出版の麻酔科学スタンダードI(臨床総論)の第5章 麻酔深度と徴候 6 脳波とその応用p.98-101とLiSA10月号から始まった麻酔脳波モニターを理解しよう:連載を奨めています。
わからない場合には放置せず、しっかり調べましょう。

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2005年10月13日

麻酔器/回路がわからん

麻酔器や麻酔回路がわからないという質問も多く、説明に適当な教科書も少ないので、最近ではやはり、LiSAの2005年6月号の私が企画した「麻酔器を理解しよう」を奨めています。この企画、6月号だけではなく7月号のp.674-678に低流量麻酔時の仕業点検と9月号のp.868-874に麻酔器の歴史と発展(2)麻酔器の電子化という記事がありますので、こちらも一緒に読んでみてください。

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2005年10月11日

モニターがわからん(1)

研修医がよくわからんと質問してくる一番は、なんといってもモニターについてです。筋弛緩モニターなどは、モードがいろいろあり使い分けがよく理解できていないと思います。そこで、2005年7月号のLiSAの記事「筋弛緩モニターを使いこなそう!」を読むことを奨めています。これをきっかけにして、教科書に書いてあることが理解できると思います。まずは、興味を持ったところから始めましょう。

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2005年10月10日

LiSA2005/10[麻酔科医を増やすにはどうすればよいか?]

LiSA2005年10月号に徹底座談会「麻酔科医を増やすにはどうすればよいか?」という座談会形式の記事が掲載されています。登場人物は仮名ですので、結構、本音のトークとなっています。麻酔科の教授や部長クラスの先生だけでなく、中堅や若手の先生、研修医1年目を交えての座談会になっています。麻酔科の魅力についても語られています、是非読んでみてください。(LiSA 2005/10 P.1031-1051)
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2005年10月03日

研修とは

先日、「ごめんなさい」といえる指導医について書きましたが、世の中には、「研修」をはき違えている研修医もいるようです。研修について、飛田給先生がかかれていますので、参考にしてください。私も同意見です。
物事を習う態度は、「謙虚」に受け止めることが大切であると思います。
いつまでたっても、習うべきことはある。「自分ができないから習うのだ」ということを、忘れてはいけない。私自身が物事を習うときに最も大切にしていることは、相手の言っていることを「謙虚に受け入れる」ことである。

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2005年09月29日

「ごめんなさい」といえる指導医

初期研修中の指導医の行動を観察して、間違ったとき「ごめんなさい」と研修医の前でいえるか。ということです。プライドばかり高くて、自分のあやまちを認めない指導医は失格です。研修医が「ごめんなさい」といえないのは、指導医を見ているからです。手本となるべき行動を示すのが指導医です。いくらカリキュラムばかり見栄えがよくても、ここをクリアできていないところはだめです。しっかり見極めましょう。

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2005年09月27日

バランス麻酔

先のTIVAを教えると、バランス麻酔の概念を知る必要があります。最近、質問されるのですが、うまく説明している本があります。「バランス麻酔:最近の進歩 改訂第2版(克誠堂出版)」です。この本の第1章と第2章、第3章と第6章、それから第2部の"バランス麻酔:最近の進歩2005"のトピック1~トピック6を読んでみてください(必須)。これ以外の部分は、余力があれば読んでください。少し難しい部分は指導医に質問しながら読みましょう。

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TIVA/TCI入門

初期研修医に、TIVAやTCIを教える機会が増えています。特に2年目に選択科目として行う麻酔科研修では、その理論に興味が移ってきています。大変、すばらしいことだと思います。1年目の麻酔研修(必修)時にTCIポンプの使い方やPalmakokinetics(Palmのソフトウェア)の使い方はすでに理解しているので、その理論に興味が移ってくるのは当然でしょう。実際の研修では、個々の症例管理に主眼が置かれ手術室内で詳しく説明する時間が少ないので、以下のサイトや書物で予習してきてほしいと思います。

[WEB]
ますいねっとのTCIの解説(必読)
ここにはPCでシミュレーションも可能なBeConSimがあります(要登録)

[書籍]
今日から実践できるTCI 真興交易
静脈麻酔/TCIソフトウェアガイドブック―研修医からエキスパートまで 克誠堂 

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2005年09月17日

大丈夫ですか?

”大丈夫ですか?”というタイトルのコラムが、日本臨床麻酔学会誌 25(5):564, 2005.に掲載されている。研修医がある場面で患者さんに向かって"大丈夫ですか?"と声をかけたことを取り上げている。患者さんの不安そうな顔を見るとついかけたくなるような言葉だ。しかし、このコラムではイントネーションについても言及している(詳細は原文をお読みください)。同じ言葉であってもイントネーションの違いでどういう意味にもなる。その言葉を聞いた患者さんはどう思うだろうか?
臨床研修では、診断や治療だけではなく、指導医がどんな場面でどんな言葉(どんなイントネーション)で患者さんに対応しているかも学ぼう。指導医をよく観察することが大切である。私は、自分が教えた研修医が、どのように患者さんにアプローチをするかをよく観察している。

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記事一覧
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