初期研修医向け

基本姿勢

回復室での光景である.当院では,麻酔から覚醒させたあと回復室に移動してモニターをつけて患者さんの回復を少し観察する.そのためには,移動させなければならない.そのときの麻酔担当医(初期研修医)と患者さんの位置関係に関してである.移動させるところまでは,ほぼ問題なく対応ができているのに,モニターをつけた後,モニターばかりをみて記録している.麻酔チャートを閉めたり,回復室記録を書かなければならないのはよくわかるが,患者さんをみているはずの医師がモニターをみている.最もよくあるのは,患者さんにおしりを向けてモニターを見て記録ばかりしている光景である.記録台は軽くて自由に動かすことができる.それをモニターが見やすい場所に動かして記録している.当然,モニターも患者さんも見やすい場所に動かすというのが正解である.
術中と違うのは回復室では,麻酔から覚醒しているのが前提なので,患者さんに声をかけることが大切である.患者さんを観察して声をかけながらモニターをつけ,記録を完成させるのが通常である.
ほぼすべての初期研修医が,この状況を指導医の先生に指摘されている.患者を診るという基本姿勢が身についていないのが露呈されている.術中には患者さんが訴えないので,仕方なくモニターを使って観察しているという状況があるのだが,何かを訴えることができる状況になっても,それをしないのは基本姿勢を見失っていると言わざるを得ない.

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