麻酔科医生活

キセる麻酔 「キセってます」

「キセる麻酔」をご存じだろうか.名称があまりよろしくないが,昔のキセル麻酔ではない.昔のキセル麻酔とは,VIP患者の麻酔を頼まれた部長先生?が,導入と覚醒の時だけいて,残りの麻酔維持(意識がない部分のみ)は部下に任せることをキセル麻酔と呼んだらしい.しかし,今回の「キセる麻酔」は,このことではない.キセる麻酔というのは,管理人が定義した新しい言葉である.以下の文献を読んで欲しい.参考文献には「キセル麻酔」と記述したが,紛らわしので最近は「キセる麻酔」と書くことにした.「キセる麻酔」とは吸入麻酔薬で維持を行う際に,覚醒前に吸入麻酔薬を強制的に排出させるためにOFFとして,プロポフォールに切り替える方法である.ちなみに麻酔導入時にもプロポフォールを使用しているので始めと終わりのみプロポフォールを使用するという意味で,たばこの道具「キセル」に当てはめて命名した麻酔法である.キセルはカンボジア語らしい.
この「キセる麻酔」で,吸入麻酔薬からプロポフォールに切り替えたことを「キセっている」と表現する.たとえば,「セボのキセるをしていたんだけど,手術が終盤になったので,もう,キセってます.」と言うように使う.
【参考文献】麻酔・救急・集中治療専門医の極意(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-659-5
p.72-76 吸入麻酔薬でも時間通りに覚醒させる?「キセル麻酔」もやります? 讃岐美智義

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