初期研修医向け

気管挿管時の開口の流儀

今、なぜかネットで気管挿管時の開口の流儀が話題になっています。開口の流儀には、右手でクロスフィンガーを行う方法と右手を頭部後屈に使用する方法の2種類があるとスミルノフ先生が分類しておられます。
実際、msanuki.bizには開口の方法としてクロスフィンガーを紹介しています。ただ、クロスフィンガーの後に舌をしまいこむことが必要で、そのためには喉頭鏡を挿入する前にクロスフィンガーと反対の手(左手)で頭部を動かして上顎より下顎が上になるような形になるようにと指導しています。そのことを、スミルノフ先生は、喉頭鏡を挿入した後、右手で後屈を行っているように誤解しています。そうではなくて、「喉頭鏡を挿入する前に」行うと何度も先の日本麻酔科学会でも強調していました。喉頭鏡を入れてから右手で後屈を追加するのは下手な気管挿管(喉頭展開)です。喉頭鏡を挿入してから気管挿管チューブ挿入までに余計な時間がかかります。あくまでも、喉頭鏡挿入前に左手(クロスフィンガーと反対の手)で行ってください。
ツーアクションとなるのがダメだとか、格好悪いとかではなくて、きちんと喉頭鏡を挿入できるスペースを作る方法を覚えるべきです。クロスフィンガーだけでもうまくいく症例は多いのですが、きちんと喉頭鏡の挿入前に後屈を行えば、開口できるということも覚えるべきです。複数の方法を知っているべきですし、両方できて悪いということはありません。一番大切なのは、喉頭鏡操作に起因する合併症を起さないこと。歯を折った、唇や舌を切ったり腫らせた、気道狭窄、喉頭浮腫を起したなどということはもってのほかです。そのためには、喉頭鏡挿入前の仕事が大切で、そこをもっと教科書でも強調すべきだと思います。この手の研究はいろいろあって、どれも決定的であるとは思えません。いまだに、喉頭鏡を使用した喉頭展開時の研究は行われています。それが、喉頭展開の難しさを物語っています。


話は変わりますが、麻酔科後期研修(初期研修では無理です)では喉頭鏡による気管挿管だけではなく、ファイバーによる気管挿管もスイスイできるようにトレーニングすべきだと思います。毎日、ファイバー挿管を行うぐらいでもよいと思います。喉頭展開による気管挿管に囚われることなく、ほかの方法もきちんとマスターできるまでトレーニングすべきです。

日本蘇生学会第25回大会前のページ

「月刊アスキー」、臨時休刊で「脱PC」へ次のページ

関連記事

  1. 研修ワンポイント

    あいさつ、ふたたび

    通勤途中に出会う中学生の挨拶の話をふたたびしてみようと思う。出会うたび…

  2. JSA PIMS

    日本麻酔科学会からPIMS2019 Ver6.0がリリースされました

    日本麻酔科学会からPIMS2019 Ver6.0がリリースされました。…

  3. 学会案内

    第22回日本静脈麻酔学会が2015年11月14日(土)に東京で開催されます。

    第22回日本静脈麻酔学会が2015年11月14日(土)に東京で開催され…

  4. 初期研修医向け

    「英辞郎 on the Web」にスペルチェック機能

    スペースアルクでは,無料のオンライン英和・和英辞書「英辞郎 on th…

  5. 研修ワンポイント

    エアウェイ

    歯がない患者さんのバッグマスク換気の時に,エアウェイ(口腔)を活用して…

  6. 初期研修医向け

    使える医者

    管理人の研修医時代の目標は「使える麻酔科医になる」であった。「使える麻…

PAGE TOP