2005年10月20日

モ源病

先日の、血圧に関する話として笑えないのが、観血的動脈圧のトランスデューサーが床に落ちているのに、急に血圧が上昇したと思いこんでしまうことである。あわてていると降圧剤まで投与してしまい痛い目にあう。
落ち着いてモニターの波形を見たり、収縮期血圧/拡張期血圧を見ればおかしいことには気づくはずである。ゼロ点が違っているだけである。大抵は50-60程度の急上昇であるので、慣れていればあわてることはない。マンシェットで測定してからでも処置はよい。
モニターの原理を理解せずに数値のみを追いかけていると、このようにモニターに振り回されることから「モ源病」と呼ばれる。「モ源病」は経験の浅い研修医からあわてん坊の指導医にまで発生を見る。

逆に、本当に血圧が下がっているのに、モニターがおかしいと言ってはばからないと、医療事故につながる。もにたーの原理をよく知ることも大切だが、自分の五感を併用することも忘れてはならない。
「モニターを治療するのではなくて患者を治療するのだ」というのはよく言われることである。