2006年12月31日

術中からの術後鎮痛(1)

来年早々,レミフェンタニルが発売される.2月にはすでに使用している方もいるかもしれない.レミフェンタニルについては,レミフェンタニルからの術後鎮痛(金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座 Blog)レミフェンタニル入門(8)(電脳麻酔ブログ)などで,術中から術後鎮痛の必要があることが解説されている.レミフェンタニルの性質から言えば当然のことであろう.硬膜外麻酔など他の鎮痛手段を併用していない全身麻酔(セボ+レミやプロポフォール+レミ)で.術後鎮痛を考えずに術中に投与してたレミフェンタニルをOFFとした場合,レミが切れたとたんに痛みを訴えるあるいは,痛みのために暴れ出す症例が続出して,レミフェンタニルは悪魔の薬だと言うことになりかねない(笑えない話である).レミを使ったときには,否が応でも術中からの術後鎮痛を考えざるを得なくなる状況はあきらかである.これまでは何となくフェンタニルの余力で手術室から出るときにはそれほど痛みを訴えず病棟に帰ってから鎮痛剤を使用していた症例もあるだろう.フェンタニルをレミフェンタニルに切り替えたとたん,鎮痛効果を残したまま麻酔を覚ましてくることが,どれほど大切かを思い知ることができるであろう.なんだか,予言のようになってしまったが,来年は術中からの術後鎮痛を再考する年になるであろう.

2006年12月30日

吸入麻酔薬からの覚醒時CO2

吸入麻酔薬の話題が「金沢大学大学院医学系研究科麻酔・蘇生学講座Blog」のイギリスの手術室(2)で取り上げられている.特に興味があるのは,CO2をコントロールできるシステムである.吸入麻酔薬空の覚醒時は吸入麻酔薬を体外に排泄するために,換気量を増やすと思いがちだが,これはやりすぎるとかえって覚醒遅延を引き起こす.換気量を増やすというのはできるだけ吸入麻酔薬を洗い流したいという考えからではあるが,換気量を増やすことによりCO2分圧は下がり脳血流が減ることにより逆効果であるからだ.そこで,CO2をとばさずに吸入麻酔薬を洗い流すためには,換気量を増加させるならCO2を負荷しながらnormocapniaに保つ必要がある.2005年の大阪の臨床麻酔学会で管理人と同じワークショップで講演したDerek Sakata(日本人のような顔だが日本語はなせない)先生が開発したデバイスQED-100が米国で発売されている.このデバイスはCO2を負荷するだけでなく吸入麻酔薬の吸着剤が入っていて麻酔回路にこのデバイスを装着すれば覚醒はものすごく速い.カタログによると1/2以下の時間で覚醒するらしい.このカタログを見ても判ると思いますが,換気量を増やすとCO2が下がるために通常の回路では問題があります.覚醒時のCO2のコントロールについてよく考えて欲しいと思います.

2006年12月29日

MACを捨てる(2)

MACを捨てるにはMACについてよく知らなければなりません。そこで、MACはどうやって決めるかご存じですか.諏訪邦夫先生の電子麻酔学教科書の「麻酔深度とMAC(マック)」に出ていますので,ご覧ください.
では1MACの2倍の2MACではどうかということになるのですが、これはMACの2倍というだけの意味しかない。MACはあくまでも統計上の値で個々の患者に適応するようなものではない。実際的でないというわけである。そこで50%のヒトで皮切で交感神経反応を抑制できるMAC-BAR(block autonomic response)や気管挿管が可能なMAC-EI(endtracheal intubation)、50%のヒトが覚醒するMAC-awakeなどが考案された。ちなみに、セボフルラン、イソフルランはMAC-awakeはMACの約1/3である。しかし、MAC-awakeをのぞいては吸入麻酔薬の何の作用を見ているかが明確ではない。そもそもMACを求めること自体が、吸入麻酔薬が全身麻酔の4要素をすべてカバーするものと考えていると思われる。現代の全身麻酔において、吸入麻酔薬単独で行える麻酔は限られているためその指標は、麻酔薬の何の力価を表しているかを表現することが必要であろう。バランス麻酔において笑気をのぞく吸入麻酔薬には鎮静作用を求めているものと考えるとそれに見合う指標が必要である。

2006年12月24日

リハビリ中

現在、退院してリハビリ中です。戸外を歩いています。ようやくサンダルでなくてスニーカーです。MBTと通常のスニーカーでは明らかにMBTの方が歩くのが楽です。筋力は少しずつ戻ってきていますが、歩き方がやはりおかしい。足をつくタイミング、重心移動のタイミングが変です。また、左足が利き足で以前はどちらかというと軸が左に傾いていたのですが、今は明らかに右に傾いています。それから非常に左足が疲れやすい。焦らずに毎日、歩く距離を伸ばしていこうと思います。

2006年12月21日

レミフェンタニルのストリーミング放送

ラジオNIKKEI、スズケンDIアワーに、萩平先生(大阪大学)のレミフェンタニルの解説が出ています。まとまっていて非常にわかりやすいと思います。必見です。
しかも、ストリーミングでスライドだけでなく音声も聞けます。視聴にはRealPlayer(Windows版は、ページの右下にある無料版をダウンロードしてください)が必要です。

2006年12月18日

Virtual Anesthesia Machine

2年前にmsanuki.orgでも紹介したフロリダ大学のサイトに「Virtual Anesthesia Machine」がある.初めの頃は,Virtual Anesthesia Machine (VAM) Simulationぐらいしかなかったのだが,最近では静脈麻酔や筋弛緩薬のシミュレーションまで登場してきた.来年以降に発売が期待されているロクロニウムのシミュレータやコンパートメントモデルのシミュレータ,基本的だが確認のためにプロポフォールのシミュレーションがおすすめである.また,ファビウスGSのシミュレーションやAirway Devices for the Difficult Airway もある.FreeMember以外にinstructorエリアというのもあり,ここは年間$100必要.ここには,モジュラスII,エスティバなどのシミュレーションなどもある.今後もいろいろなシミュレータが登録されることが期待される.会員登録は無料なので登録して活用してみてはいかがでしょうか.

2006年12月13日

MACを捨てる(1)

MACといえば、Macintosh(コンピュータ喉頭鏡)もあれば、McDonald's(大阪ではマックではなくマクド)もあります.しかし,捨てるのはこれらのモノではありません.捨てるのは概念です.MAC(minimum alveolar concentration)のことです.MACはそもそも吸入麻酔薬の力価を比較(表現)するために使われたものです.いまのバランス麻酔のように吸入麻酔薬を鎮静薬として使用する場合の指標ではありません.MACの定義ですが,「皮切時に50%のヒトが動かない吸入麻酔薬の濃度」です.動くか動かないかは,痛いか痛くないかということではなく,動けるか動けないかにかかっています.少なくとも脳に対する作用のみを表現したものではなく,脊髄の機能抑制を見ている可能性があります.すなわち,(脳を作用点とする)鎮静薬としての吸入麻酔薬を比較する場合にはMACで表現するのは不適切といわざるをえません.皮切で動くか動かないかということだけでは,鎮静作用をキチンと評価できるとは思えません.また,動かないから鎮痛作用があると考えている方がいますが,これは間違いです.バランス麻酔を考えるには,まずMACという概念を考え直す必要があります.(つづく)

2006年12月10日

過労で倒れた?

先日,元の同僚で,最近ペインクリニックで開業した先生がお見舞いに来てくれた.その先生のところに通院中の患者さん同士の噂では,S先生は過労で倒れたことになっているらしい.「かわいそう,働かせすぎ!」ということである.その患者さんたちの言うことには「先生も倒れる前にやめてよかったね.」ですと.
復帰したときに患者さんに同情される光景が目に浮かぶ.

2006年12月 9日

歩けます

msanuki.orgでもご報告したように,昨日,手術しました.
本日朝から,歩行許可になったのですが,歩けます.歩行器で歩いてみました.靴はMBTではありません.ビルケンのフロリダ(サンダル)です.しかし,歩き方忘れています.いい歩きではありません.足をつくタイミング,力の入れ方,方向が微妙にずれています.これから少しずつリハビリしていきたいと思います.両足の筋力だいぶ弱っています.6日も寝ていたんですから仕方ないですね.

2006年12月 5日

ただいま入院中

週末から,急性の左下肢痛が出て12/3(日)に緊急入院(私が勤務している病院ではありません)してしまいました.歩けません.検査中です.自分では経過や症状からだいたい検査の所見が想像できます.神経学的所見がいつも見ている患者さんと酷似しています.神経支配にも合致します.あらかじめ自分で腱反射,知覚テスト,筋力テストしていました.どうも神経由来の痛みです.3日前から病名は想像可能でしたが,昨日の検査で,確定しました.個人情報なので伏せておきます.
患者体験をしなさいという神様の命令だと思ってがんばります.
さて,12月から私のペインクリニック外来を研修予定の2名の初期研修医の先生には大変申し訳ないことになりお詫び申し上げます.代診でT先生が患者さんだけでなく,初期研修医の先生も面倒を見てくれるそうなのでよろしくお願いします.
鎮痛剤をたくさん使う経験ができます.これについてもいつか報告します.
また,痛くなってきたのでキーボードを打つ体勢を長くとれません.
とりあえず,この辺で.
また報告します.