2013年6月 4日

Webリフレッシャーコース期間限定の再放送

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2012年9月20日(木)19:00-20:00にインターネット放送された、AZ社の第3回Web refresher courseが期間限定(2013年5月31日~6月7日)で再放送されています。当サイトの管理人が「バランス麻酔のモニタリング ~知っておきたい基礎知識~ というタイトルで講演したものです。司会(兼 コメンテータ)は、内田整先生(大阪大学)です。登録制となっておりますので、インターネット生中継「AZ-Live」にご登録下さい。以下のサイトから事前登録が可能です。質問は受け付けておりません。
(限定コンテンツなので登録が必要です)
ちなみに、このインターネット放送はネット環境さえしっかりしていれば、iPadやiPhoneでも十分に閲覧可能です。

バランス麻酔のモニタリング ~知っておきたい基礎知識~(アストラゼネカ)

2013年3月 3日

麻酔科医に必要な気管支ファイバースコープの知識

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ファイバースコープの達人である大阪大学麻酔科 萩平先生の書かれたWEBページです。役に立ちます。

麻酔科医に必要な気管支ファイバースコープの知識(大阪大学麻酔科 萩平哲)

2012年9月 8日

全力ですか?

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「全力ですか?」

久しぶりに、「全力」という言葉を聞いた。「全力ですか?」とは、集中治療病棟で抜管前に吸痰をしようとしたときに、リザーバー付きのアンビューバックに流す酸素について、ある看護師さんが発した言葉。「もちろん、全力で!」と答えたら、非常にうれしそうだった。「全開」の意味だと、すぐにわかったが、その場面では「全力」がふさわしい言葉だと思った。
もともと、「全力」という言葉が大好きな管理人である。物事を行うときに力が入りすぎて、空回りしてはいけないが、すると決めたとことは全力で行いたいと思う。数年前に流行った、スキマスイッチの全力少年が頭の中を回っている。術後患者の今日の抜管のテーマは全力少年であった。この全力少年の歌詞が、鋭いところをついている。いつもこの曲が、ぐるぐる回ったときにはこのフレーズがついて離れなくなる。
そのフレーズとは、2番そのもの。


遊ぶこと忘れてたら老いて枯れんだ
ここんとこは仕事オンリー 笑えなくなっている
ガラクタの中に輝いてた物がいっぱいあったろう?
"大切なもの"全て埋もれてしまう前に
さえぎるものはぶっ飛ばして まとわりつくものかわして
止め処ない血と涙で渇いた心臓潤せ
あの頃の僕らはきっと全力で少年だった
怯えてたら何も生まれない
澱んだ景色に答えを見つけ出すのはもう止めだ!
濁った水も新しいひかりですぐに透み渡っていく
積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って
幾重に重なり合う描いた夢への放物線
紛れもなく僕らずっと全力で少年なんだ
セカイを開くのは僕だ
視界はもう澄み切ってる

1番は全力少年、2番は全力中年の歌だと思っている。

youtube「スキマスイッチ/全力少年」
youtube「全力少年 スキマスイッチ&小田和正 」


2012年9月 6日

ミズチバ撲滅大作戦

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IMG_1054.jpg現在、「ミズチバ」が通じない麻酔科医はいないだろう。「ミズチバは人災である」と管理人は断言する。ミズチバとはアルチバ(一般名レミフェンタニル)というバイアル瓶に粉の状態で入っている麻酔用の超短時間作用性の麻薬を、生理食塩水に溶解したつもりで生理食塩水を投与することである。なぜ、このようなことが起きるかは以前にもこのブログで解説(ミズチバ、ウスチバ、ユカチバ、ユルチバ、トメチバ、ウソチバ、カラチバ)した。ミズチバ防止のために、システムで対応しようと考えたが、実際のモノが入っているかどうかは別問題である。これに関して、以前に、アルチバのバイアルに注射器に貼るシールがなく、別付けでまとめてシールが存在することがいけないと書いた。そうしたら、ヤンセンさんはついに、アルチバから切り取り線で注射器に貼るシールがはがれるようにしてくれた。そうしたら、ミズチバは防止できると考えた。この発想は、きちんとアルチバを注射器に希釈する手順が守られているという前提である。その手順とは、(1)注射器に必要量の生理食塩水を吸う。(2)アルチバを溶解する。(3)アルチバのバイアルからシールを切り取って貼る。これで、1本目のミズチバはなくなるだろう。次が問題である。1本目のアルチバのから注射器を再利用している場合には、2本目(3本目)以降のミズチバが発生するリスクがある。賢い読者は、気づいたとおもうが、1本目のシールがすでに貼られてるからである。そこで、アルチバの溶解には注射器は再利用禁止令を出す。これで、大丈夫のはずだ。これでも、まだだめである。昔のアルチバシールが大量に余っていて、それを貼るモノが出てくるのである。昔のアルチバシール回収キャンペーンをやってくれないかなー。アルチバシールをすべて回収できたら、クレヨンしんちゃんの携帯ストラップをくれるとか。なぜ、クレヨンしんちゃんなのか。それは、管理人がここ数年行っている、アルチバのバイアルのお尻を見せる大作戦に起因する。アルチバは粉で提供されているので、溶解していない場合には白いが、空瓶のばあいには透明だからである。みなさんもクレヨンしんちゃんのお尻をおもいだして、アルチバのお尻をチェックする作戦を行ってみてはいかがだろうか。アルチバに色をつけてほしいとかいう要望が出ていると聞くが、それほど、ミズチバは深刻なもんだいである。超強力な鎮痛薬を投与していると安心していると、それは水を投与していて、麻酔とはかけはなれた状態になる。すべての人がパニックに陥る可能性がある。

kureyon.png

指導医たる者、ミズチバを見破るだけの力が必要である。ミズチバだったら、バイタルサインはガタつくし、他の麻酔薬が大量に必要だし、高いBIS値が継続する。体動もおきるかもしれないし、、、覚醒傾向がつづくのである。
そういった状態になる前に、ブツを確認することが大切である。

そうそう、昔、管理人が研修医の頃、一つ上の先輩に言われたことを思い出した。「麻酔準備をしている最中に、どんなに偉い先生に用事をいいつけられても、確認ができるまでは作業を途中でやめないこと!」これは、薬剤の希釈にもいえるのであるが、機器の点検などにも通じることである。

ミズチバ、ウスチバ、ユカチバ、ユルチバ、トメチバ、ウソチバ、カラチバ

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2011年9月 9日

ミズチバ防止策ーその後

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「ミズチバ防止策−いいね!」の反響は大きかった。各方面から、様々な意見をいただいたので紹介したい。シールを本体に貼り付ける以外の対策として、アルチバの青いプラスチックキャップを注射器にテープで貼り付けるというのもよいという。これで、ほぼミズチバを撲滅した施設があるという。さて、昨日紹介したアルチバシールを未使用のアルチババイアルに巻き付ける方法であるが、これは薬剤部に反対された。当院がそのようなことを行うと反響が大きいからという。本当かどうかわからないが、手術室の薬剤に関する取り扱いの問い合わせがおおいのだそうだ。手術室に薬剤師を配置して管理しているため、全国のモデルケースになっているためと思われる。担当者の見解として、メーカーに要望をあげてメーカー側が対策するのを待つという。たしかに、こちら側の努力でミズチバを減らすためにメーカーの対策が行われなくなってしまっては元も子もない。このような対策は公開せずにこっそり行う必要があると思った。
もうひとつ、アルチバのシールではなく元から貼ってあるラベルをはがして注射器に貼るというモノである。しかしながら、このラベルをはがすにはちょっと時間がかかりすぎて、アルチバのセットが遅れてしまう可能性がある。ラベルははがしにくいのである。これは没としたい。
今回のミズチバ対策は、各施設の努力によるものであり、これによってメーカー側の対策が遅れるということにはつながらないと信じている。各施設で、様々なミズチバ対策をとっていると思うが、引き続きメーカーにも早急な対策を要望したい。

2011年9月 7日

ミズチバ防止策ーいいね!

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以前に「ミズチバ、ウスチバ、ユカチバ、ユルチバ、トメチバ、ウソチバ、カラチバ」という記事を書いたことがある。なかでも、最も有名なミズチバはどんなに注意していても、おきる時はおきる。これは、システム的に問題があると考えて、注意しますというだけではなく、何らかの組織としての対応が必要なのだろう。なぜ、ミズチバになるのか?疲れている。経験不足。不注意。それだけだろうか。
管理人は、シールに落とし穴があると考えている。バイアルと別づけになったシールそのものに問題があるのではないか。ということである。なぜミズチバになるか?それは、アルチバを溶かす前にシールを貼り付けてしまうからである。別においてあると先に貼り付けたい衝動に駆られるのである。
注射器と生理食塩水、シール、アルチバ(使用前)があったとすると、注射器に生食を吸う、アルチバシールを貼る、アルチバを溶かすという手順に陥りやすいのである。フェンタニル(第一三共)の場合の手順は、フェンタニルをカットする、注射器に吸う、アンプルに付いているシールをはがして注射器に貼るという手順である。フェンタニルは溶かさないからそうなのだろうかと思う方もいるだろう。しかし、イソゾールもそうなのである。生食を注射器に吸う。イソゾールを生食に溶かす。バイアルに付いているシールをはがして貼るのである。これは、研修医の行動を何も言わず観察した結果である。ということは、アルチバにシールが貼り付けてあればミズチバを防止できる可能性がある。あのシールを別づけにせず、アルチバのバイアルに巻き付けて病院に納品してはどうかということである。それができぬのなら、薬剤部ですべてのアルチバのバイアルに、あのシールを貼り付けて手術室に持ってきたらどうか。しかし、未だかつてそんな状態のアルチバは見たことがない。アルチバが麻薬だから、アルチバの瓶になにか細工をするのは御法度であると思ってしまうかどうかは知らないが、アルチバにシールを貼っておくという発想はない。いろいろな施設に外勤に行くが、これまでにアルチバにシールを貼り付けているのを見たことがない。当然、当院でもそんな状態でアルチバが提供されることはない。

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2011年8月25日

麻酔管理の5B(うるさめバージョン)

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以前に麻酔管理の3Aと3Bというのを紹介した。麻酔管理の3要素とは、3Bで表現できる。BP(Blood pressure:血圧、特に平均血圧)、BT(Body temperature:体温)、BIS(BIS値:脳波から導き出される大脳の活動度、鎮静度)である。麻酔管理は、全身麻酔中に3A「鎮痛(Analgesia:無痛)、鎮静(Amnesia:健忘)、筋弛緩(Akinesia:不動)」を満たすようにモニタをつかって生体を管理しつづけ、その最後には問題なく元の状態に戻ること。麻酔を導入したらおしまいというのではなく、研修医が学ぶべきことは麻酔維持中の状態をコントロールすること(指導医がどのようにコントロールしているかを見取ること)。麻酔薬の上げ下げだけに終始するのでなく、管理目標を設定してその状態に保つには、そのとき何をすべきかを判断すること。たとえば、リスクがない患者であっても3Bを意識する。血圧の管理目標は平均血圧で65以上に、体温(中心温)は37.0℃、BIS値は50を保つために、どうすべかを常に考えること。アラームが鳴らない時のモニタは眺めるものではなく、何をすべきかを考えさせる判断材料を与えてくれるものである。麻酔中は、モニタだけでなく、術野や、麻酔科医が行っている医療行為(麻酔薬投与、輸液や輸血、体温管理、人工呼吸および循環管理)を含めて状態の変化を考えること。といった。
勘違いして欲しくないのだが、気道管理や代謝管理がないと思っている研修医のためにうるさめバージョン「麻酔管理の5B」というのもある。5Bとは、Breath(呼吸管理)、BP(Blood pressure:血圧、特に平均血圧)&Beat(心拍数とリズム)、BT(Body temperature:体温)、BIS(BIS値:脳波から導き出される大脳の活動度、鎮静度)、BS(Blood suger血糖)である。麻酔管理は常に5Bを意識する。呼吸は気道確保だけでなく呼吸の調節を含む。また、最後に加えた血糖というのは、血糖をコントロールできるようにきちんと手術侵襲に勝てるような麻酔を行うことである。数年前から流行っている鎮痛主体の麻酔では手術侵襲によるインスリン拮抗ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチコステロイドなど)の抑制が確認されており血糖コントロールは容易になってきている。これは何も術前合併症としての糖尿病患者の話ではなく、手術を受ける患者すべての話である。BS(Blood suger血糖)の目標は高くても150mg/dl前後に!術中に外科的糖尿病状態Surgical diabetes にしない麻酔を目指すのである。

2011年6月17日

全身麻酔の3要素(3A)と麻酔管理の3B

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全身麻酔(Anesthesia)の3要素とは、鎮痛(Analgesia:無痛)、鎮静(Amnesia:健忘)、筋弛緩(Akinesia:不動)と3つのAとして3Aで表すことができる。これは、知っているという方が多いと思う。これとは別に、麻酔管理の3要素とは、3Bで表現できる。BP(Blood pressure:血圧、特に平均血圧)、BT(Body temperature:体温)、BIS(BIS値:脳波から導き出される大脳の活動度、鎮静度)である。この3Bというのは、管理人が研修医によく言っているオリジナルであるが、これを話すと納得する。麻酔管理は、全身麻酔中に3Aを満たすようにモニタをつかって生体を管理しつづけ、その最後には問題なく元の状態に戻ること。麻酔を導入したらおしまいというのではなく、研修医が学ぶべきことは麻酔維持中の状態をコントロールすること(指導医がどのようにコントロールしているかを見取ること)。麻酔薬の上げ下げだけに終始するのでなく、管理目標を設定してその状態に保つには、そのとき何をすべきかを判断すること。たとえば、リスクがない患者であっても3Bを意識する。血圧の管理目標は平均血圧で65以上に、体温(中心温)は37.0℃、BIS値は50を保つために、どうすべかを常に考えること。アラームが鳴らない時のモニタは眺めるものではなく、何をすべきかを考えさせる判断材料を与えてくれるものである。麻酔中は、モニタだけでなく、術野や、麻酔科医が行っている医療行為(麻酔薬投与、輸液や輸血、体温管理、人工呼吸および循環管理)を含めて状態の変化を考えること。ここで、麻酔科研修チェックノート(第3版 p.154)のコラム「攻めの麻酔と守りの麻酔」を思い出して欲しい。攻めの麻酔(先手の麻酔)とは「患者の状態の変化,手術侵襲の変化を的確に捉えて,あらかじめ予測して積極的に輸液管理,循環管理,呼吸管理などを行い適切な麻酔状態に維持すること」で、守りの麻酔(後手の麻酔)とは「ただ漫然と麻酔薬を入れるだけ」と書いているのはこのことである。血圧が下がれば、麻酔薬の投与速度を下げ、血圧が上がれば麻酔薬投与速度を上げるだけではいけない。

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2011年5月11日

麻酔科研修[気管挿管事前学習] 復旧

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以前、podcastで提供していた、麻酔科研修[気管挿管事前学習]を、復活しました。QuickTimeやiTunesがあればご覧になれます。それ以外でも、mp4に対応しているplayerがあればご覧いただけます。

麻酔科研修[気管挿管事前学習]

2011年4月22日

ミズチバ、ウスチバ、ユカチバ、ユルチバ、トメチバ、ウソチバ、カラチバ

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ultiva.pngアルチバは発売以来、多くの施設で採用され全身麻酔には必須のオピオイドになった。きちんと使用すれば、名人でなくとも上手な麻酔管理ができる可能性がある魔法のような薬であると思う。しかし、使い方を誤れば危険きわまりない薬であることも確かである。今回は、上手な使い方ではなくトラブルに関連する言葉を紹介しよう。(1)ミズチバ、(2)ウスチバ、(3)ユカチバ、(4)ユルチバ、(5)トメチバ、(6)ウソチバ、(7)カラチバである。有名な言葉もあれば、管理人のオリジナルの言葉もある。一番有名なのは(1)ミズチバである。これは、アルチバが粉末で提供されているため、起こりうるトラブルをあらわす言葉である。アルチバを溶かさずに生食や蒸留水(溶解液)のみを注射器に入れて、アルチバラベルを貼り付けてシリンジポンプにセットしてしまうことを表す言葉である。水をアルチバと思って投与するから来ているのであろう。これは、全国区の言葉である。(2)ウスチバというのもある。これは意図的に行われることが多い。アルチバを溶かす際に、こぼしてしまったため、さらに溶解液で希釈してシリンジポンプにセットしている状態を指す。これは、「今日のアルチバは効きにくい」と指導医が言葉を発したときに、希釈した者がその真相を明かさなければ決してばれない。希釈現場を目撃されている場合は、話は別である。(3)ユカチバというのもある。これは、アルチバに延長チューブ(エクステンションチューブ)を接続したが、エクステションチューブを輸液ルートに接続せずに、アルチバを床に流すことを指す。(4)ユルチバも同様の意味だが、シリンジとエクステンションチューブあるいは輸液ルートとの接続が緩んでいて、アルチバが漏れている状態を指す。ロックつきでない注射器やエクステンションチューブを使用していると起こりやすいが、ロック付きを使っていてもきちんと閉めていないとおきることがある。(5)トメチバというのは、エクステンションにロックがついたタイプの物や3方活栓を使っている場合に起こりうる。ロックを外さすに注入を開始するか3方活栓を開かずに注入を開始したときに起きるものである。この場合はシリンジポンプのアラームが鳴って気づく。また、アルチバの効果が強く出て、シリンジポンプを一時停止した場合に、止めていたことを忘れていた場合にも使う言葉である。シリンジポンプは、2分間停止しているとアラームをアラームがなるのであるが、たまたま、そのとき周りが騒々しくて音が聞こえない場合、さらに長時間停止していることに気づかない場合などである。(6)ウソチバというのは、ガンマ計算(管理人はガンマは口語であると思うのだが、テルモのシリンジポンプには堂々と表記してある。)つきのポンプで投与した場合、1mg/mlの希釈数値以外、あるいは体重kgを誤って入れた場合に起きる投与速度の誤りである。たとえば、体重80kgを8kgと入力すれば、投与速度はガンマの値を信用して入力すれば1/10になる。(7)カラチバというのは、ミズチバとと同じ意味を表すこともあるが、別の意味もある。シリンジ混入した空気をきちんと追い出さずにポンプにセットした場合、最後は空気を押していることになる。大抵はエクステンションチューブ内で空気は止まるので患者には入らないが、その後が問題である。次のアルチバをセットするときに、エクステンション内の空気を抜くのに時間がかかり、手間取ることが多いからである。ご存じの通り、アルチバの半減期は短いため、すぐに血中濃度が下がっていく。ぎりぎりの濃度で麻酔をしている場合には、特に慌てることになる。トラブルが起きるからといって不必要に高濃度で行うのも問題ではあるが。。。。

薬剤バーコードラベルに思う(msanuki.net)
成長した?フェンタのシール(msanuki.net)

この中で、最もまずいのはミズチバである。他のものは、状況を見たり聞いたりすれば判断できるのであるが、ミズチバだけは、思い込んでいる場合があるので、気づきにくい。管理人のようにいつもミズチバでないかと疑ってチェックする習慣がある場合は別であるが。。。(研修医を疑うわけではないが、必ずチェックする)。この、ミズチバであるが、一番の原因はラベルが別付けになっていることが、それを誘発すると考えている。他の薬剤、たとえばフェンタニル(三共)やエスラックス、ブリディオン、エフェドリンなどはアンプルやバイアルに切り離せるラベルがついている。現在、このようなラベルがある薬剤が増えている中、アルチバがどうしてバイアルに切り離せるラベルをつけないのか。別付けのラベルは、以前は当たり前であったが今は亜流である。当院の麻酔カートに入っている、希釈する薬剤でアンプルに切り離せるラベルがついていないのは、ネオシネジンぐらいである。また、最近はプレフィルドシリンジも多く発売されており、余計な手間を省くことで、その過程で生じるトラブルを未然に防ぐ対策が取られている。
ミズチバの発生する状況は、溶解液だけを吸ってラベルを貼り付けているときに起きるのである。以前、ある先生が溶解液を吸ってラベルを注射器に対して縦に貼っていたことがあったが、それを見た別の先生が正しい位置に貼り直してシリンジポンプにセットした事例があった。
「とにかく、別付けラベルはアルチバを希釈した後でないと貼り付けてはいけない!!」
別付けラベルではなく、バイアルに切り離せるラベルを早期につけてもらうことを希望する。 by さぬちゃん

2011年3月11日

「自分探し」を終わりにしよう

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自分探しを続けている人は多いと思う。個人によって、その意味は大きく異なると思うが、最近、自分探しをすることで終わってしまっている人を見ることがある。自己啓発書流行もそれを象徴している。内容がない自己啓発書が多いことも気になっている。ある日、管理人の中学生の娘が、ある自己啓発書を斜め読みして「こんなの当たり前じゃん。本にする意味がない」と言ったことがある。たしかに、内容がない。しかし、本屋には平積みになっている。この状況は問題である。
さて、それとは別に、自分探しをいつまでも続けているモラトリアム人が目につく。いつまで、猶予期間なのだろうか。そろそろ、責任を持って、自分で自分の考えで、行動を起こすべきではないだろうか。いつまでもモラトリアムを続けていると結局何もできない人を大量に作ってしまうことになる。心当たりのある方は多いはず。管理人の考え方を補足する意見を述べているサイトを見つけた。参考にしてみてほしい。

「自分探し」にとどめを。(teruyastarはかく語りき)

2011年1月13日

気管挿管特集

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日経メディカルに取材されたり、医学雑誌に掲載された気管挿管手技に関するコンテンツが日経メディカルオンラインに掲載されている。35歳以下しか見られない記事もありますが、まとめて以下にリンクをおいておきます。ご利用ください。会員登録をしないと見られませんが、会員登録は無料です。

日経メディカルオンライン
喉頭鏡は面で押す
気管挿管のコツは180度のクロスフィンガー(35歳以下限定)
気管挿管(35歳以下限定)


msanuki.net 気管挿管事前学習サイト2006/5

2011年1月 9日

マイケル・サンデル先生の授業の進め方に思う

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年始にマイケルサンデル先生の「ハーバード白熱教室」の再放送があった。内容は以前にも見ていたのでそれほど新鮮みはなかったが、今回、見直して参考になったのは、講義の進め方やプレゼンの方法である。まず、ジョブズとちがって、プレゼンにもったいをつけない。聴衆とのやりとりに中で、間を持たせる場面はない。その必要がないのだ。聴衆が完全にサンデル先生を絶対視しているため、その答えを期待している。早く正解を知りたいと思っていると言うことだ。その手法には、我々が研修医の指導をするときに参考になる要素が多く含まれていると感じた。サンデル教授のやり方をまとめると、
1. 参加者の意見を整理し、シンプルにして言い直す。
2. 望ましい答えが出るまで(ある程度は)我慢強く聞き続ける
3. 駄目だと思ったら、ばっさり切って別の人に繋げる
そして、必ず、自分が話の主導権を握っていると言うことだ。通常は1と2は指導者ならある程度の人ができると思うのだが、3に関してが、その能力を大きさを示すものであると思っている。これができるかできないかが指導者としての資質であると思う。相手が多数なら、別の人にふればよい。もし、マンツーマンの指導であれば、指導者のやり方(ヒントや要領をしめす)を見せるということになると思う。1と2を繰り返すのみであれば時間がいくらあっても足りないのである(3のやり方がサンデル先生は非常にうまい。話を切り替える部分に関しては、似ているが別の例を提示して条件を狭くしている。ここが非常にうまいのだ)。
サンデル先生が、これができるのは聴衆との間に、絶対的な哲学の知識や考え方の能力の違いがあるからだと思う。ちょっとわかっているぐらいだと、方向性を見失ったり、間違ったことをしていても自身を持ってそれをただすことができない。制止することができないのである。指導者として目指すのは、自分自身がぐらつかない知識や技術を身につけること。間違っていたら正しい方向に導くことができることである。そのように導いていく課程で、聴衆(相手)を従わせることができるカリスマ性であると感じた。
ジョブズのプレゼンとはまた違った味があり、アカデミズムを感じさせるよい例である。

NHK ハーバード白熱教室
ハーバード白熱教室パック 全12回(NHKオンデマンド)

2010年12月31日

守破離

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規矩作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても もとを忘るな
千利休
千利休の言葉である。これは、守破離(しゅはり)といい、武道や禅の教えを歌に詠んだものです。

「守破離」というのは、ある道を究めるのに、歩むべき3段階のこと
 
「守」とは、師や各流派の教えを忠実に守り、それからはずれることのないように精進して身につけよ、という意味で初めの段階で、これが基本(もと)です。

「破」とは、今まで学んで身につけた教えから一歩進めて他流の教え、技を取り入れることを心がけ、師から教えられたものにこだわらず、さらに心と技を発展させよ、という意味。

「離」とは、破からさらに修行して、守にとらわれず破も意識せず、新しい世界を拓き、独自のものを生みだせ、ということ。

さらに、「離」の段階に至っても基本(もと)を忘れないようにしなければならない。

これは、麻酔科医にとっても言えることで、麻酔科専門医をとるくらいまでは「破」や「離」を考えずに基本をみっちり身につけることが大切。その基本が身についていなければ、「破」や「離」の境地に至ることはできません。その道を極めるなら「離」に到達したいものです。

2010年12月 9日

何を考えて動作を見るか?

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いろいろなモノを見るとき、たとえば、気管挿管、硬膜外穿刺、麻酔導入の手順、麻酔維持中の一挙手一投足などを見るとき、何を考えてそれを見るかということ。一番の基本は、自分がそれを行おうとするのにまねをするためにどこにポイントがあるかどうかを見極めたいと思うことである。ぼーっとして見ているのではなく、自分がやるとしたらどうしなければならないかを頭にインプットしながら見ることである。1回だけ見てまねできることは少ない。何度も違った角度から見てみること。たとえば、形だけをまねするのではなく、その形になる必然性などが考えられればよい。考えながら物事を見つめるというのが、大切に思う。
若い頃、師匠に言われた言葉「考える麻酔科医を目指せ!」を今でもことあるごとに思い出す。この、考える麻酔科医を目指すためにいろいろ考えてきたことが、新たな視点から物事を見るための原動力になっている様に思う。
物事を見るときには、本当の意味を考えながら見るクセをつけるというトレーニングを若い頃から行ってきたからこそ、人と違った視点でモノが見られるようになったのではないかと考えるこの頃である。
電脳麻酔ブログにSanuki先生の視点と書いてあったので、ちょっとコメントでした。
最近、研修医の手技を写真に撮って、手術室内で解説すると、それを(ブログで)公開しないでくださいねと釘を刺されるようになった。これまで、研修医の手技を写真で公開したことはないんだけど。。。

2010年11月24日

校正記号が通じない

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校正記号に「イキ」とか「ママ」と書くことがあります。レジデントの文章を訂正するときに、「イキ」と書いていたら「件」って何ですか?と聞かれてショックを受けている管理人である。「件」ではなくて「イキ」である。「イキ」とは、削除記号を訂正する記号で「もとの文章のまま」という意味で、修正してしまったがもとのままを生かすということから「イキ」と書く。「もとの文章のまま」という意味から、「ママ」とも書かれる。
このブログを読んでいるかどうかを確かめるために今度は「ママ」と書いてみようかと思っている。

無意味に業界用語を使いたがる年頃(contextスタッフブログ旧)
校正記号これだけ知ってると大丈夫(あいわプリント)
医学書専門 校正・校閲 校正舎−校正記号−

2010年10月11日

オペ出し時刻

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オペ出し時刻とは、「手術室に到着する時刻」のことである。オペ出し時刻が通じないのは、病棟の新人看護師だけかと思っていたが、研修医や手術室の新人看護師にも通じないことがわかった。管理人のところだけの現象ならよいが、他の施設でもそんなことがないだろうか。オペ出し時刻は病棟を出発する時刻だと思っている人が多いことに驚いている。
オペ出し時刻=「手術室に到着する時刻」のことです。オペ出しは8:30といえば、8時30分には手術室に到着していなければならないのです。

2010年9月24日

またまた攻撃

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2005年ぐらいに「にてにて攻撃」を紹介しましたが、最近は、「またまた攻撃」が流行っています。初期研修医が「また、呼吸器系の問題点としてぜんそくがあります。......。また、循環器系の問題点として、高血圧があります。......。また、この患者さんには造影剤アレルギーがあります。......。また、......」と延々と、また、また、とつないでいくプレゼンをするものです。一度、この「またまた」が始まると、なぜだか他の研修医も真似をして「またまた」を使い始めます。挙句の果てに、指導医にも伝染して「またまた」と言っていました。本日の「またまた」の最高記録、1分間程度の1プレゼン中に15回でした。もうすこし、つなぎの言葉も考えてプレゼンしないといけませんね。「またまた攻撃」になるひとは、発表原稿なしにプレゼンするのは、まだ、無理です。必ず、はじめはプレゼン原稿を書いてください。もう一つ、「またまた攻撃」には、「として」がつきものです。これも、プレゼン原稿をきちんと考えておかないためと思われます。

にてにて攻撃(msanuki.net)
プレゼンの新採点法(msanuki.net)

2010年9月22日

広島からtwitterとUstreamで救急カンファランス配信

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本日の19:00からtwitterとUstreamを使って、救急カンファランスを配信していた。後で気づいて拝聴したが、勉強になった。おもしろい試みだと思う。参加していた人々は、画像配信しているのを知っていると緊張感があったのではないかと思う。発表者だけではなく参加者も映されているから。。。
QQcase

2010年7月16日

九州じゃんがらに学ぶ新人教育

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秋葉原での昼食は、九州じゃんがらラーメンで決まりだろう。そこでの、研修中の新人に対する、指導の仕方のおはなし。とくに、指導法のマニュアルがあったりするわけではなさそうであるが、ある日、チーフ(フロア係)が研修中の新人に注意をしているシーンで、参考になるものがあったので、書いておこうと思う。研修中の新人は、昼時で混雑している状況で、外に並んでいるお客の並びを整理しつつ注文を聞いて伝える仕事をしていた。その新人君、丁寧な言葉でお客さんを誘導しつつ注文を取っていた。それを、フロアにいたチーフが店の中から様子を気にしつつ仕事をしていた。新人君が中に入ってきたとき、どこが悪いかをチーフは、ひそひそ声でなく比較的はっきりした言葉で、新人君に伝えていた。管理人も入り口付近でその様子を見ていた(聞いていた)。「注文を取る前に、必ず、いらっしゃいませと言いなさい」、これだけの注意だったのだが、お客さんの前で、聞こえるように注意を与えていた。ひそひそ声でなく、強くしかるわけでなく、いじめているような語気でなく、いやみなく短い言葉で、注意を与えていた。これだけでは、なかなか雰囲気が伝わらないと思うが、管理人は共感した。状況にもよるが、必要なことは、その場でその都度教えることができている。忙しい中で、どのように教育するかという命題に答えていると思った。医師の教育も同様である。教育する内容にもよるが、その都度言わなければならないことを言わないまま、放置している状況を見かける。そんなことはないだろうか。
話は変わるが、ここの九州じゃんがらラーメンのスタッフの一人一人の対応が気持ちよい。マニュアル風ではなく、きちんと声を発して、自分の仕事に誇りを持っているように見受けられる。客への対応の良さはそこから生まれるのではないだろうか。ラーメンがうまいだけではなく、気持ちがよいラーメン屋なのである。