初期臨床研修制度の不具合の修正?
2008/7/18に開催された 厚生労働省の医道審議会医師分科会(医師臨床研修部会)で、来年度の研修から、スーパーローテーション方式の現行制度を見直し、特定の科に重点を置いた研修を実施できるようモデル事業を行うことが決まった。さらに、地域枠・奨学金を受けている医学生については、マッチング制度の対象外とすることが決まった。総合的に患者を診ることができる医師を養成するという卒後臨床研修の大義名分が崩壊するに等しい。スーパーローテーションではなく、実質的にストレート研修になるからである。管理人は、元々、総合医が2年で養成できるとほ思っていなかったのでスーパーローテーションには大反対である。形だけスーパーローテーションをしてみても時間の無駄である。むしろ、その分興味がある専門科の研修をした方がよっぽど、研修医には役に立つ。強制的に総合医を養成するという大義名分で2年間しばりつけてもならない。なぜ、総合医を養成したかったのだろう。地域医療のためだとすれば、本末転倒である。そうではないとしても強制的に総合医を養成するのではなく、総合医が魅力があることを示して、それに向いている資質の医師を養成すべきである。
一方、スーパーローテーションを行うことで明らかになったことがある。それは、仕事がきつい診療科は人気がないということ。しかし、これもおかしな話で、仕事がきついから選ばないというのはいかがなものであろう。医師の仕事自体、きついものである。そういう職業であるはずだ。ある程度の負荷はあるはずだが、その先にはしっかりとした信頼できる医師像が形成できるはずである。あるレベルを乗り越えないと、きちんとした医師にはならない。何科を目指すにしてもそうであろう。
さらに、おかしいのは初期研修医制度のみマッチングして、あるていど広くシャッフルしておいて、その後のコースは、ご自由にというところである。これでは、都会に偏在するのは目に見えている。誰も、地方都市にはあつまらない。しかし、医療というのは、その土地土地にローカライズされて存在していることを忘れてはならない。初期臨床研修のマッチングをある一定の範囲内(地域)にローカライズさせるべきではなかろうか。
そのための、魅力ある初期研修プログラムとしては、独自のストレート研修でなかろうか。スーパーローテーションしたい研修医はそれを選べばよろしい。ストレート研修したい研修医はストレート研修をえらべばよろしい。どう見積もってもストレート研修の方が研修医も指導医もやる気が出るはずである。
初期臨床研修プログラムのスーパーローテーションは、至る所で評判が悪い。
今回の不具合の修正は、大学病院限定の措置だが、もっと一気に日本国中の初期臨床研修病院で同じことをしてみるとよいのではないだろうか。
管理人は、新たな初期研修制度の動きに注目している。そして、スーパーローテーションのマッチングが最終的には廃止されるのではないかという期待を抱いている。