第9回麻酔科学ウィンターセミナー
2月6日-8日の3日間の日程で新富良野プリンスホテルで第9回ウィンターセミナーが開催された。スキーのためにそんなところで開催するんでしょ。と思っている方がいるようですが、それはあたっていません。このようなところに合宿していると、否が応でも他の施設の麻酔科医と話をするようになります。それがいいところだと思っています。
昼間のリフレッシュタイムにスキーをしている人は半分もいないような気がします(ちょっと残念ですが...)。ウィンタースポーツだけでなく、さまざまな、時間のすごし方があるようです。今回は、主管である旭川医大の先生たちの計らいで多くの公認オプショナルツアーが企画されていました。ワカサギ釣りツアー、美瑛付近のグルメツアー、吹き上げ温泉ツアーなどです。旭山動物園ツアーはありませんでしたが、結構、入っていたようです。これらのオプショナルツアーの目的は全国レベルの麻酔科医の交流だと思います。リフレッシュタイムは、学会でいえば"ロビー活動"です。学会に行く意義は"ロビー活動"にあるといっても過言ではありません。
さて、本来のセミナーは朝と夕方に行われ、通常の学会にはない有用な情報が手に入ります。日本麻酔科学会総会などでもおなじみのスター選手の講演がずらりと並んでおり、どれをとってもつまらないものはありません。また、プレゼンの手法がすばらしく、いわゆる"偉い先生"の講義の様な文字ばかりのスライドは一切ありません。管理人も、他の先生のプレゼンがすばらしいので、ウィンターセミナーではプレゼンに結構、気を遣います。
第1日目:夕方からTEEのセミナー2本、3Dエコーの有用性のセミナー(平崎先生)は、非常に短期間に多くの症例のデーターを集められており、その涙ぐましい努力に感動しました。世界的なTEEの大家であるコンスタット先生が来日され、大動脈疾患の講義をしていただきました。2004年の東京での国際心臓麻酔学会以来の講義を聞きました。
この後、ウェルカムパーティーが行われました。その後、風のガーデンで使われた医院(看板を白鳥医院に変えて撮られた)の2件隣のそば屋で2次会があり、他施設の麻酔科医との熱い討論が繰り広げられました。
第2日目:朝は佐藤先生の机上でのスキーの理論と旭川医大の鈴木先生の気道確保のセミナーでした。佐藤先生のスキーの理論はウィンターセミナーのテキストに収録されており、それなりの人が読むとエッセンスが詰まっていることがわかります。朝は、スライドを使わずに秋田なまりの標準語で、ポイントを話されました。管理人は、よく理解できました。スキーをしない人たちにもインパクトは強かったようです。「スキーは麻酔管理と同じです。」と管理人も思います。
AP通信でも書かれていましたが、鈴木先生は今回もおもしろいプレゼンをやってくれました。いつ本題にはいるかと思いましたが、本題に入ってからのテンポもよく、短時間の間にめまぐるしく話題が変わってもずっと聴衆をプレゼンに釘付けにしていました。さすがです。広島から参加した後期研修医くんたちは、目が点になっていました。
夕方はTCI関連のセミナーが目白押しでした。各講師の先生のプレゼンもよくブラッシュアップされており、あたりのランチョンセミナー4連発といった感じです(学会のランチョンセミナーには、はずれも多くあります)。このあと、風のガーデンの演出家の宮本さんの講演でした。講演は、もちろんPowerPointのようなプレゼンフィルは使わず、演壇から語りだけでずっと講演をされました。絵がないと、音声に注目するしかなく、受け手がずっと話を聞かなければいけない状況を作りますね。この手法、話がうまくないとできないですね。風のガーデンのドラマ作りにはフジテレビ50周年記念ドラマであったこともあり、通常より多くのお金と時間を使って、本物に近づけようとスタッフ全員が努力していた様子が伝わってきました。管理人はこの、ドラマはブルーレイディスクに撮って何度もみました。麻酔科医の監修として日本医大の坂本教授と旭川医大の岩崎教授が関わっておられましたが、岩崎教授は出演されていませんでした。坂本教授は第1話の救急の場面で横顔が出ていたのと、声もでていましたね。
その直後に、時間の関係から懇親会に突入してしまい、管理人はその懇親会中に初期研修医セッションの司会を笹川先生とともに担当しました。今回、一緒に参加していた、(麻酔科医志望の)小学生の娘が、その様子をみてますます「麻酔科医になりたい」と言ってくれたのは非常にうれしく思いました。
懇親会中にポスターセッションと研修医セッションの表彰があり、賞状とAmazonの商品券が授与されました。今回のポスター演題は29題でした。内容もデザインもレベルアップしていて、選定に苦労しました。採点は、世話人全員に配布される採点表を集計して行われています。
第3日目:自動麻酔記録に搭載された静脈麻酔の血中濃度シミュレータのセミナーを金沢大学の坪川先生と管理人で担当しました。これで解散です。
3日間という短い時間ですが、他の施設の麻酔科医と交流できるチャンスであり、いろいろな考え方に触れることができます。そこから、麻酔科医を継続していく意欲がわきますし、新しいことをやってみようという意欲もわきます。毎年、ウィンターセミナーでは「やる気」をもらって帰ってきます。
来年は、記念すべき第10回のセミナーで、主管は長崎大学です。会長の澄川先生、よろしくお願いします。現在のところ、2010年2月11日(木)-2月13日(土)が予定されていてトマム・アルファリゾートが候補地にあがっています。確定ではありません。いまから、楽しみです。