2012年6月10日

日本麻酔科学会第59回学術集会 雑感

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commnu.jpg現時点(6/10)で、この下にある msanuki.net 注目ブログ をみていただければ、参加した麻酔科医の雑感がみられると思います。各先生とも、ご自身の興味のあるセッションに関するコメントが並んでいておもしろく読めると思います。人がどう感じたかを見るのは非常にためになります。さまざまな、プログラムがある中、特定のセッションにコメントが集まっているものは、話題になっているという時点でプログラムとしては成功だったと言うことでしょう。ここに、コメントがなかったプログラムに関しては、余り注目されなかった?されない可能性があります。プログラム作成委員の先生はそれらのプログラムに関して分析すべきでしょう。さて、管理人の注目したかつためになったセッションをご紹介。第2日ランチョンセミナーの「周術期コミュニケーション ―麻酔科医の第3のスキル」(木山秀哉先生:東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座)です。患者さんは術中は麻酔にかかっていてしゃべらないので、話す機会がないと思って麻酔科医になった人もいるかもしれないが、それは大間違い。麻酔科医は手術室における管制官のような役割。患者さんにも外科医にもうまくコミュニケーションを取れねばならない。講演では、イレインの物語を例に麻酔科医が換気不全に陥って、看護師たちの対応した行為が無駄になった様を提示し、手術室内権威勾配(コメディカルが医師に提案しても受け入れられない状況)を戒めた。チームとして患者さんの安全を確保するためには、話しやすい雰囲気を作ることや手術前のブリーフィング(事前打ち合わせ)や手術後のデブリーフィング(振り返り)などの実践が大切でこれらを日常診療に埋め込むことで、危機的状況に陥った場合でも、チームとして状況を打開し危機を離脱できることを示唆した。これらの内容は、周術期コミュニケーション技法(監訳:木山秀哉、讃井将満)にも重要性が説かれている。管理人は、以前より麻酔科医にはこのような能力が必要であることを説いてきた(麻酔・救急・集中治療専門医の極意 (真興交易)p.1-5 手術は「恐くない、しんどくない」と感じさせる麻酔のやりかた)。この講演を聴いてぴぴっと来たのだった。


管理人が知っている参考資料を以下に挙げておく
周術期コミュニケーション技法(Amazon)
現場安全の技術―ノンテクニカルスキル・ガイドブック(Amazon)
クリニカルヒューマンファクターズ.pdf大阪大医学部付属病院中央クオリティマネジメント部
Just a Routine Operation(YouTube)
医療安全とノンテクニカルスキル(上記の日本語版)大阪大医学部付属病院中央クオリティマネジメント部
■空業界に学ぶ医療安全山口県医師会報 2012/02 1818号.pdf山口県医師会報
■Have you ever made a mistake?:Bulletin of the Royal College of Anaesthetists 48 2008.pdf

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2011年11月10日

ASAの展示会場でもらった板

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PB090373.jpg
ASAの展示会場を歩いているとラベルのサンプルがあったのでもらった。中身を確認しないまま放置していた。ラベルを分解して分別ゴミに出そうと中をあけてみると、何と中から板チョコが出てきた。
サクシニルコリンやフェニレフリン、グリコピロレートのラベルの貼ってある板チョコ、不思議な感覚だ。チョコレートにまさかそのような薬は入っていないとは思うが、何となく食べづらい。

PB090375.jpg
そうこうしていると、子供たちがあけて食べ始めた。昨日確認してみると3枚ともすでに食べてしまったそうである。

2010年5月28日

糖尿病の新診断基準、7月1日に施行

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日経メディカルオンラインに「糖尿病の新診断基準、7月1日に施行」という記事が出ている。
昨日のMTProの記事と同じ内容だ。

最も注目されるのは、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことだ。

 従来の診断基準では、①空腹時血糖値126mg/dL以上② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上③随時血糖値200mg/dL以上----のいずれかが再現性を持って認められる場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けだった。しかし、HbA1cは検査が行いやすく、慢性の高血糖状態をよりよく反映する指標として有用であることから、今回の改訂で、「補助的な項目」からより上位となる診断基準の1つとして取りあげられた。


「糖尿病の新診断基準、7月1日に施行」日経メディカルオンライン 2010/5/28

2009年4月14日

プレゼンテーションの手法

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学会や研究会などでのプレゼンテーションでは、様々な手法がある。以前はスライドに凝るだけのものが多かったが、最近ではスライドだけではなくストーリーが重視されるようになってきている。まず一番多いのが、起承転結を守っているもので、最後まで結論はわからないもの(1)。最近よくあるのが、全体の概略を示して、小見出しに沿って話を進めていくもの(2)。ちょっと型破りだが、結論を先に話して、その結論を補うように事実や理由を話していくもの(3)などがある。(1)の場合、10分以内の講演や一般演題などに使うことが多い。(2)では、講義や教育講演などで使うことが多い。(3)の手法はk基礎系の研究者が使うのをみたことがある。全部話したいのだが、結論を導き出した過程や内容が聴衆には少し難しい場合、結論を先に述べてしまう。こうすることで、結論を聴衆に確実に印象づけることができる。
もう一つ、起承転結について考えてみよう。起承転結の手法は短いプレゼンに向くオーソドックスな手法であるが、このパターンはオーソドックスで、トピックス的な内容を話すときにはすこし、印象がうすい。

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2009年3月29日

研修医の「さしすせそ」

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るなのひとりごとさん のところに,研修医の「さしすせそ」が出ている。
管理人もこれは昔から知っていたが,すこし変化しているようだ。
オリジナルは,
■年功序列の中で生きるための「さしすせそ」


さ: さすがですねえ
し: しりませんでした。勉強になります。
す: すいません
せ: せんせーのおかげです
そ: (なにか手技を披露した後で)そんな、こんなの大したことじゃあありませんよ

だと思います。
■学会の「さしすせそ」というのもあります。

さ: さぁ
し: 知りません
す: すみません
せ: 先生
そ: そうだったんですか

と答えておくと,一通り切り抜けることができるというワザである。しかし,これを知っている質問者には通用しないことを忘れないようにしたい。
管理人は,研修医に対応するときも学会の時にも上記の対応には気をつけるようにしている。結局,何も答えになったいないわけだから評価は良くないだろう。
最近は,ビジネスのクレームに対する「さしすせそ」が気に入っている。こちらの方がずっと誠実である。
■クレーム対応の「さしすせそ」

さ: 最善を尽くす
し: 知ったかぶりはしない
す: するな!議論をお客様とは
せ: 誠意を持って応対せよ!
そ: 即刻  関係部署 近隣へ ホウレンソウ

クレーム対応の極意は  さしすせそ で覚える(研修事業部長 山根暁のブログ)
クレーム対応「さしすせそ」(クレーム処理・対応研修)

2008年12月10日

日本麻酔・集中治療テクノロジー学会終了

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テクノロジー系麻酔科医の総本山とも言われる日本麻酔・集中治療テクノロジー学会(JSTA)が終了した。今年は、福井大学の重見先生が会長で、例年にもまして盛会となった。通常の学会と違って、一日中、同じ場所に座ってずっと演題を聞いて参加する。ある意味、皆、すごい集中力である。だれも、トイレに行く以外席を立たないのである。それほど熱心に聞いている学会も珍しい。初参加の先生たちには驚きであったに違いない。自律神経活動研究の応用を示唆する講演、脳のメカニズムに迫る?講演あり、波形記録の標準化の講演あり、すべて同じ土俵の上で扱われることに違和感はない。そのような人々が集まっているのだろう。
AP通信の先生は、なんと、初参加だったらしい。おまけに学会なのに研究会と書いている。JSTAトリビアにも出たはずなのに・・・
JSTAトリビアとは、3年ほど前から本会の前日に開催される懇親会で行われる、JSTA会員度を測るためのクイズである。その中に出た問題。
問題:次のOSのうち,最も新しく開発されたのはどれでしょうか?
1. TRON
2. MS-DOS
3. MacOS
4. Windows1.0
おわかりだろうか。JSTAのエキスパート会員は28問中20問以上正解していた。とうぜん、この問題は易しい問題である。

2008年10月23日

i-gel

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i-gel.jpgASAに参加しています。そこでみつけた、LMAを駆逐するかもしれない気道確保のデバイスです。名前はi-gel(アイジェル)です。パキスタン人が作ったそうです。
これはすごいです。形状はLMAに似ていますが喉頭をシールする部分はゲル状の物質(シリコンより柔らかくひっぱってもちぎれない)でできていて、カフがない構造です。カフがなくてもフィットします。シャフトの部分はしっかりしていて、かまれてもちぎれません。おれても閉塞せず、陽圧換気時にも29cmH2Oの圧でも漏れません。prosealの様に胃管(細め)の挿入口もついています。極めつけは、通常のチューブ(7.0ぐらい?)が挿管できます。
挿入は簡単でLMAの様なテクニックは必要ありません。パキスタンでは学生が5秒で挿入するそうです。
米国で$19で販売されています。たぶんLMAより安いですが、日本に輸入して代理店を通すといくらになりますやら。
日本ではアコマが販売する予定のようです。

i-gel.com
アコマ医科工業
i-gelのGoogle検索

2008年6月14日

第3回麻酔深度研究会に想う

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第55回日本麻酔科学会学術集会が終了後、13:00-15:30に同会場で第3回麻酔深度研究会が開催された。管理人にとっては、第55回日本麻酔科学会学術集会のどれよりもおもしろく聞けた研究会であった。詳細は、AP通信に紹介されているので割愛させていただくが、学会というものの楽しみ方を考えさせてくれる企画だったと思う。多くのプログラムの中から興味があるプログラムのみを自分で選択して、それを目的にその場所に行く。それが、自分の満足のいく内容であった場合、知的な好奇心や新たな課題を提示してくれるきっかけを与えてくれる内容であった場合、非常に得をした気分になる。
管理人は、以前はすべてのプログラムをチェックし、新しいネタを探そうと多くの分野の演題を聞こうと努力したが、結局、消化不良をおこし学会を楽しめなかった。
最近(でもないか)は、この何でもかんでもというのをやめて、興味のないものはばっさり切り捨てることにした。結局、浅く広くというのは教科書レベルの域を脱しない。それならば、学会に来てそれをすることはないのではないか?ということである。
1学会で1つでもそう思える講演や演題があったのなら、目的は達成されていると考える。意味がある学会であったと思う。それがなく、なんとなく勉強になったと思うだけなら学会にくる意味はない。

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2008年4月26日

第19回日本臨床モニター学会

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すでに,電脳麻酔ブログでも取り上げられているが,SH先生の講演は,期待通りであった.BISや脳波の原理を解説されていた頃に比べると,かなり初心者向き,いや解説が平易になっている.
さて,今回の臨床モニター学会は,企業プレゼンテーションがあり,マンネリ化していた学会に新しい風を感じた.企業プレゼンテーションは,企業の考えが現れているものととらえてよいだろう.特に,こういったプレゼンを依頼されたときには,会員の満足できるプレゼンができるかどうかも大きなポイントである.製品の宣伝に終始した企業があるがこれはいただけない.しかし,管理人が久しぶりに満足できる内容をプレゼンテーションした企業もある.特に,第2日目の最後の2つは内容も質疑応答もしっかりしており,合格点をだしてもよいと思った.
このような,新しい企画で楽しませてくれた第19回日本臨床モニター学会の会長および運営された皆様に感謝いたします.

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