薬剤バーコードラベルに思う
2009年9月以降、製造販売業者から出荷される医療用医薬品に新バーコード表示(RSS合成シンボル、GS1―128、JAN)が義務付けられたのは、ご存じの方も多いと思う。
表示対象は、(1)特定生物由来製品、(2)生物由来製品、(3)内用薬、(4)注射薬、(5)外用薬の5種類で、医薬品の種類に応じ商品コード、有効期限、製造番号、または製造記号、数量を表示することになっている。
表示単位は錠剤のPTPシート、注射薬のアンプルなど調剤包装単位、箱入りなど販売包装単位、箱を複数梱包した元梱包単位にそれぞれに新バーコードを表示する。バーコードは、RSSが調剤単位・販売単位、GS1―128が元梱包単位、これに JANも併記できることになっている。
製剤につけられたバーコードの目的は 人の目で確認するだけでなく機械で処方情報と照合することで医薬品の取り違えによる医療事故防止と、製造から患者までの流れを記録することによるトレーサビリティの確保へ、医薬品へのコード表示の標準化だそうである。
しかし、注射薬に限っていえばもう少し工夫が欲しい。注射薬はアンプルやバイアルから注射器に薬剤を吸い取った後に、その薬剤を患者さんに投与する。ということは、注射器ラベルにもバーコードが欲しいわけである。写真(上)のディプリバンTCIシリンジでは、はじめからシリンジに薬剤が詰まっているために、用意されたバーコードで問題はない。しかし、アルチバなどのプレフィルドでない注射薬ではちょっと困る。注射器にバーコードラベルがないのだ。自前で作るという手もあるが、メーカーが用意してくれるのが筋ではなかろうか。
ちなみに、アトロピン、エフェドリン、エスラックスのシリンジに貼るラベルで、合格なのはアトロピンだけである。エフェドリンなどは、自前で注射器ラベル自体も用意しなければならない。