2013年10月 7日

Dr.讃岐流気管挿管トレーニング

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Dr.讃岐流気管挿管トレーニング  ビデオ喉頭鏡でラクラク習得! が発行されました。
ビデオ喉頭鏡(McGRATH)と通常の喉頭鏡での気管挿管を行うときのトレーニングについて解説しています。これまでにはないのが、身体の使い方についても詳述しています。ビデオも閲覧できます。Amazonでも購入できます。
Amazonの解説
「マッキントッシュ型喉頭鏡および間接視のできるビデオ喉頭鏡を用いて、喉頭鏡の握り方・立ち位置から素振り・トレーニング方法までを豊富な写真やイラストで解説。気管挿管手技を短期間でマスターできる、初心者向けの奥義書! 」

Amazon(Dr.讃岐流気管挿管トレーニング)
学研メディカル秀潤社(Dr.讃岐流気管挿管トレーニング)

2013年8月30日

TIVA実践法 ~肥満患者・高齢患者でのポイント~(期間限定再放送)

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WEB01.png2013年3月7日にインターネット放送された、AZ社の2013年第1回Web refresher courseが期間限定(2013年8月30日~9月16日)で再放送されています。がん研有明病院 長田理先生が「TIVA実践法 ~肥満患者・高齢患者でのポイント~ というタイトルで講演されたものです。司会(兼 コメンテータ)は、内田整先生(大阪大学大学院麻酔・集中治療学講座)です。登録制となっておりますので、インターネット生中継「AZ-Live」にご登録下さい。以下のサイトから事前登録が可能です。質問は受け付けておりません。
(限定コンテンツなので登録が必要です)
ちなみに、このインターネット放送はネット環境さえしっかりしていれば、iPadでも十分に閲覧可能です。

TIVA実践法 ~肥満患者・高齢患者でのポイント~(アストラゼネカ)

2013年3月 3日

麻酔科医に必要な気管支ファイバースコープの知識

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ファイバースコープの達人である大阪大学麻酔科 萩平先生の書かれたWEBページです。役に立ちます。

麻酔科医に必要な気管支ファイバースコープの知識(大阪大学麻酔科 萩平哲)

2012年9月 8日

全力ですか?

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「全力ですか?」

久しぶりに、「全力」という言葉を聞いた。「全力ですか?」とは、集中治療病棟で抜管前に吸痰をしようとしたときに、リザーバー付きのアンビューバックに流す酸素について、ある看護師さんが発した言葉。「もちろん、全力で!」と答えたら、非常にうれしそうだった。「全開」の意味だと、すぐにわかったが、その場面では「全力」がふさわしい言葉だと思った。
もともと、「全力」という言葉が大好きな管理人である。物事を行うときに力が入りすぎて、空回りしてはいけないが、すると決めたとことは全力で行いたいと思う。数年前に流行った、スキマスイッチの全力少年が頭の中を回っている。術後患者の今日の抜管のテーマは全力少年であった。この全力少年の歌詞が、鋭いところをついている。いつもこの曲が、ぐるぐる回ったときにはこのフレーズがついて離れなくなる。
そのフレーズとは、2番そのもの。


遊ぶこと忘れてたら老いて枯れんだ
ここんとこは仕事オンリー 笑えなくなっている
ガラクタの中に輝いてた物がいっぱいあったろう?
"大切なもの"全て埋もれてしまう前に
さえぎるものはぶっ飛ばして まとわりつくものかわして
止め処ない血と涙で渇いた心臓潤せ
あの頃の僕らはきっと全力で少年だった
怯えてたら何も生まれない
澱んだ景色に答えを見つけ出すのはもう止めだ!
濁った水も新しいひかりですぐに透み渡っていく
積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って
幾重に重なり合う描いた夢への放物線
紛れもなく僕らずっと全力で少年なんだ
セカイを開くのは僕だ
視界はもう澄み切ってる

1番は全力少年、2番は全力中年の歌だと思っている。

youtube「スキマスイッチ/全力少年」
youtube「全力少年 スキマスイッチ&小田和正 」


2011年4月22日

ミズチバ、ウスチバ、ユカチバ、ユルチバ、トメチバ、ウソチバ、カラチバ

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ultiva.pngアルチバは発売以来、多くの施設で採用され全身麻酔には必須のオピオイドになった。きちんと使用すれば、名人でなくとも上手な麻酔管理ができる可能性がある魔法のような薬であると思う。しかし、使い方を誤れば危険きわまりない薬であることも確かである。今回は、上手な使い方ではなくトラブルに関連する言葉を紹介しよう。(1)ミズチバ、(2)ウスチバ、(3)ユカチバ、(4)ユルチバ、(5)トメチバ、(6)ウソチバ、(7)カラチバである。有名な言葉もあれば、管理人のオリジナルの言葉もある。一番有名なのは(1)ミズチバである。これは、アルチバが粉末で提供されているため、起こりうるトラブルをあらわす言葉である。アルチバを溶かさずに生食や蒸留水(溶解液)のみを注射器に入れて、アルチバラベルを貼り付けてシリンジポンプにセットしてしまうことを表す言葉である。水をアルチバと思って投与するから来ているのであろう。これは、全国区の言葉である。(2)ウスチバというのもある。これは意図的に行われることが多い。アルチバを溶かす際に、こぼしてしまったため、さらに溶解液で希釈してシリンジポンプにセットしている状態を指す。これは、「今日のアルチバは効きにくい」と指導医が言葉を発したときに、希釈した者がその真相を明かさなければ決してばれない。希釈現場を目撃されている場合は、話は別である。(3)ユカチバというのもある。これは、アルチバに延長チューブ(エクステンションチューブ)を接続したが、エクステションチューブを輸液ルートに接続せずに、アルチバを床に流すことを指す。(4)ユルチバも同様の意味だが、シリンジとエクステンションチューブあるいは輸液ルートとの接続が緩んでいて、アルチバが漏れている状態を指す。ロックつきでない注射器やエクステンションチューブを使用していると起こりやすいが、ロック付きを使っていてもきちんと閉めていないとおきることがある。(5)トメチバというのは、エクステンションにロックがついたタイプの物や3方活栓を使っている場合に起こりうる。ロックを外さすに注入を開始するか3方活栓を開かずに注入を開始したときに起きるものである。この場合はシリンジポンプのアラームが鳴って気づく。また、アルチバの効果が強く出て、シリンジポンプを一時停止した場合に、止めていたことを忘れていた場合にも使う言葉である。シリンジポンプは、2分間停止しているとアラームをアラームがなるのであるが、たまたま、そのとき周りが騒々しくて音が聞こえない場合、さらに長時間停止していることに気づかない場合などである。(6)ウソチバというのは、ガンマ計算(管理人はガンマは口語であると思うのだが、テルモのシリンジポンプには堂々と表記してある。)つきのポンプで投与した場合、1mg/mlの希釈数値以外、あるいは体重kgを誤って入れた場合に起きる投与速度の誤りである。たとえば、体重80kgを8kgと入力すれば、投与速度はガンマの値を信用して入力すれば1/10になる。(7)カラチバというのは、ミズチバとと同じ意味を表すこともあるが、別の意味もある。シリンジ混入した空気をきちんと追い出さずにポンプにセットした場合、最後は空気を押していることになる。大抵はエクステンションチューブ内で空気は止まるので患者には入らないが、その後が問題である。次のアルチバをセットするときに、エクステンション内の空気を抜くのに時間がかかり、手間取ることが多いからである。ご存じの通り、アルチバの半減期は短いため、すぐに血中濃度が下がっていく。ぎりぎりの濃度で麻酔をしている場合には、特に慌てることになる。トラブルが起きるからといって不必要に高濃度で行うのも問題ではあるが。。。。

薬剤バーコードラベルに思う(msanuki.net)
成長した?フェンタのシール(msanuki.net)

この中で、最もまずいのはミズチバである。他のものは、状況を見たり聞いたりすれば判断できるのであるが、ミズチバだけは、思い込んでいる場合があるので、気づきにくい。管理人のようにいつもミズチバでないかと疑ってチェックする習慣がある場合は別であるが。。。(研修医を疑うわけではないが、必ずチェックする)。この、ミズチバであるが、一番の原因はラベルが別付けになっていることが、それを誘発すると考えている。他の薬剤、たとえばフェンタニル(三共)やエスラックス、ブリディオン、エフェドリンなどはアンプルやバイアルに切り離せるラベルがついている。現在、このようなラベルがある薬剤が増えている中、アルチバがどうしてバイアルに切り離せるラベルをつけないのか。別付けのラベルは、以前は当たり前であったが今は亜流である。当院の麻酔カートに入っている、希釈する薬剤でアンプルに切り離せるラベルがついていないのは、ネオシネジンぐらいである。また、最近はプレフィルドシリンジも多く発売されており、余計な手間を省くことで、その過程で生じるトラブルを未然に防ぐ対策が取られている。
ミズチバの発生する状況は、溶解液だけを吸ってラベルを貼り付けているときに起きるのである。以前、ある先生が溶解液を吸ってラベルを注射器に対して縦に貼っていたことがあったが、それを見た別の先生が正しい位置に貼り直してシリンジポンプにセットした事例があった。
「とにかく、別付けラベルはアルチバを希釈した後でないと貼り付けてはいけない!!」
別付けラベルではなく、バイアルに切り離せるラベルを早期につけてもらうことを希望する。 by さぬちゃん

2011年1月30日

岡田武史参与協力「最強チームの作り方=体験活動」15分版:文部科学省

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岡田武史参与協力「最強チームの作り方=体験活動」15分版:文部科学省  が出ています。
岡ちゃんがかっこいいです。なぜかって。みてください。

>岡田武史参与協力「最強チームの作り方=体験活動」15分版:文部科学省 (Youtube)

2011年1月13日

気管挿管特集

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日経メディカルに取材されたり、医学雑誌に掲載された気管挿管手技に関するコンテンツが日経メディカルオンラインに掲載されている。35歳以下しか見られない記事もありますが、まとめて以下にリンクをおいておきます。ご利用ください。会員登録をしないと見られませんが、会員登録は無料です。

日経メディカルオンライン
喉頭鏡は面で押す
気管挿管のコツは180度のクロスフィンガー(35歳以下限定)
気管挿管(35歳以下限定)


msanuki.net 気管挿管事前学習サイト2006/5

2010年12月 9日

何を考えて動作を見るか?

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いろいろなモノを見るとき、たとえば、気管挿管、硬膜外穿刺、麻酔導入の手順、麻酔維持中の一挙手一投足などを見るとき、何を考えてそれを見るかということ。一番の基本は、自分がそれを行おうとするのにまねをするためにどこにポイントがあるかどうかを見極めたいと思うことである。ぼーっとして見ているのではなく、自分がやるとしたらどうしなければならないかを頭にインプットしながら見ることである。1回だけ見てまねできることは少ない。何度も違った角度から見てみること。たとえば、形だけをまねするのではなく、その形になる必然性などが考えられればよい。考えながら物事を見つめるというのが、大切に思う。
若い頃、師匠に言われた言葉「考える麻酔科医を目指せ!」を今でもことあるごとに思い出す。この、考える麻酔科医を目指すためにいろいろ考えてきたことが、新たな視点から物事を見るための原動力になっている様に思う。
物事を見るときには、本当の意味を考えながら見るクセをつけるというトレーニングを若い頃から行ってきたからこそ、人と違った視点でモノが見られるようになったのではないかと考えるこの頃である。
電脳麻酔ブログにSanuki先生の視点と書いてあったので、ちょっとコメントでした。
最近、研修医の手技を写真に撮って、手術室内で解説すると、それを(ブログで)公開しないでくださいねと釘を刺されるようになった。これまで、研修医の手技を写真で公開したことはないんだけど。。。

2010年11月24日

校正記号が通じない

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校正記号に「イキ」とか「ママ」と書くことがあります。レジデントの文章を訂正するときに、「イキ」と書いていたら「件」って何ですか?と聞かれてショックを受けている管理人である。「件」ではなくて「イキ」である。「イキ」とは、削除記号を訂正する記号で「もとの文章のまま」という意味で、修正してしまったがもとのままを生かすということから「イキ」と書く。「もとの文章のまま」という意味から、「ママ」とも書かれる。
このブログを読んでいるかどうかを確かめるために今度は「ママ」と書いてみようかと思っている。

無意味に業界用語を使いたがる年頃(contextスタッフブログ旧)
校正記号これだけ知ってると大丈夫(あいわプリント)
医学書専門 校正・校閲 校正舎−校正記号−

2010年10月19日

AHAのCPRとECCのガイドライン2010

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なんと、BLSの手順がA-B-C(気道、呼吸、胸骨圧迫)からC-A-B(胸骨圧迫、気道、呼吸)に変更されている(出生直後の新生児を除く)。成人、小児、乳児でC-A-Bである。次に、胸骨圧迫のテンポが100回/分から100回/分以上に変更されている。胸骨圧迫の重要性をさらに強調した形になった。胸骨圧迫の深さは成人で5cm以上、小児5cm、乳児4cmと深くなっている。下記のサイトでご確認ください。

■AHA ECCガイドライン2010ハイライト日本語版英語版AHA ECC公式日本語サイト

AHA GL for CPR and ECC

2010年9月12日

エコーガイド下中心静脈穿刺

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2010年麻酔科エキスパートセミナー in Hiroshimaでもご指導いただいた、徳嶺先生のサイトです。

エコーガイド下中心静脈穿刺

2010年5月28日

独りよがり麻酔症候群?

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プロ麻酔科医さんのところに「独りよがり麻酔症候群」という記事が出ている。

この記事によると、「独りよがり麻酔症候群」とは
>初期研修医では稀だけれど,麻酔科後期研修医では経験年数とともに徐々に頻度が増す疾患。
この一群は指導医とともに麻酔を担当しているにもか関わらず,あたかも指導医がその場を離れるのを見計らっているかのようなタイミングで指示していないことを行なってみたり,指導医に相談すべき事象が発生した際に自分の判断で治療を行なってしまうのが特徴。
ほとんどの場合,誤ったことはしていないため,強く修正しずらいし,叱責する必要も無い。
少ない経験を根拠としているため,自分が行なっていることが確信に変わっていく可能性がある
>鬼ほども恐ろしい指導医であったり,指導医を強くリスペクとしている研修医では見られない症状であある。
どちらかというと後者の関係は健全だし,美しい。

同じような経験は、管理人にもある。もちろん、指導医としてだが。。。
いろいろ、やってみたいと思うのはわかるが、根拠に乏しく、直感や風習にとらわれた行為であることが多い。
間違っていないかというと、考えが間違っていると思うこともある。
管理人は、大抵のことは許容するが、明らかに考えが間違っていることに対しては、厳しく指導する。
特に、患者を危険な目に陥れた場合には、鬼よりも怖いと言われている(これまでに、管理人を激怒させたのは2人しかいない)。
根拠があって、説明ができて、それが思った通りに運べば、やり方が異なっていても問題はない。ただ、なんとなくやってみた。根拠はない。そして、失敗したというのは大問題である。

大抵は、○○先生に習った。○○先生のやり方といういいわけが、多いのも事実である。○○先生の本質を理解しないで、うわべだけをまねた結果であることが通例である。
不完全な故に間違った行為を行ってしまっている。本人は正しいと思い込んでいるのだから、修正はむずかしい。
しかし、真意を聞き出し正しい考え方を伝授するのが、指導医である。放置するのはいけないと思う。

最近、若手の先生が危険なことをしていても、注意しない指導医を見かける。気づかないのか、注意をすると関係が悪くなるとおもっているのかわからないが、こういった指導医は問題である。間違っていることは間違っている、正しいことは正しいと、修正できないのは指導医ではない。どういった方法で、教えるかが大切である。
○○先生の真意を汲んだ方法を教えてあげるのがよい。また、うまくいかなかった理由も説明できると、指導医としての評価は高まる。

るなさんのコメント
プロ麻酔科医さんの「自分も成長するために」

を読むと、指導医としての方向性は同じだと思い、安心する。

2010年4月28日

ブリディオンつかってみた

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筋弛緩回復剤「ブリディオン」(一般名:スガマデクス)が使用できるようになった。早速,使用してみた。下記の投与目安にしたがって使うと筋弛緩モニターでT2が出現したときには2mg/kgである。
ブリディオンを使用する場合は全例、筋弛緩モニターを行う必要がある(添付文書に明記されている)。
管理人にとっては、筋弛緩薬を使用したときには筋弛緩モニターは当たり前なのだが、いろいろなところで、筋弛緩モニターなしで筋弛緩薬を繰り返し投与している状況を目撃する。
また、これまでのアトワゴリバースの効能書きには、「筋弛緩モニターによる回復又は自発呼吸の発現を確認した後に行うこと」とあるだけで、必ず、筋弛緩モニターを使う必要はない。ブリディオンでは筋弛緩モニターによる筋弛緩の程度を評価することが、投与量の決定に必要で、効能書きにここまで具体的に書かれると、モニターを使わないわけにはいかない。
すなわちブリディオンを投与するということは、筋弛緩モニタリングは必須になるのである。ということは、筋弛緩モニターが売れるということになる。ロクロニウムとスガマデクスと筋弛緩モニターの3つは、同じ会社が売っている?ような気がするが。。。
アトワゴリバースは、考えてみれば拮抗するといっても、あまりに他力本願的である。神経筋接合部のアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼを阻害して、アセチルコリンの分解が起きないようにすることでアセチルコリンを増やすというものである。これは、持続時間に問題があるのと、拮抗できる筋弛緩の程度に限界がある。真の意味での拮抗薬とは言い難い。
ブリディオンは、ロクロニウム分子を包み込む「包接」という様式で、拮抗する。つまり、特異的なのである。しかも、一度、拮抗すると作用は翌日ぐらいまで続くのである。これは、安全のためには必要なことである。作用の継続が短いと、また、筋弛緩作用が発現する。逆に、再度、ロクロニウムを投与しても効果がほとんどないという事態となる。"もろ刃の剣"なのである。
巷では、薬価が高いから使わないとか言っているのをよく耳にするが、必要ならば使用すればよい。保険適応になっている薬ですから。
不要なのに使うのはどうかと思う。なんでもかんでも、ブリディオンというのではなく、必要な症例を見極めて適切に使うのが、真の専門医なのだと思う。
薬価は200mgが9947円、500mgが2万3652円である。少々お高いので、これをきっかけに今後、麻酔薬の薬価についてのムーブメントが麻酔科医に起きるのではないかと思っている。アルチバ、ディプリバン、セボフルラン、笑気など麻酔薬の値段を知っているだけでいけなくて、1症例あたりいくらになるかが計算できますか?
ブリディオンは、"専門医の良識"で使う薬である。その意味では、議論に事欠かない薬になるのではないかと思う。

【ブリディオンの投与量の目安】

ロクロニウム投与直後:16mg/kg
1-2 in PTC:4mg/kg
T2 in TOF :2mg/kg

ブリディオン添付文書
シクロデキストリン(先端科学をのぞいてみよう)
筋弛緩回復剤「ブリディオン静注」を発売 シェリング・プラウ(薬事日報)

2009年8月22日

"攻めの麻酔"の誤解

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「攻めの麻酔」という言葉がよく理解されていないようである。"攻め"というのは、こちらから仕掛けていくというニュアンスであるが、仕掛けていくからにはその先も攻め続ける必要がある。一つ仕掛けて終わりということになっていないかどうかを考えてもらいたい。「薬剤を多めに投与する」というのが攻めだと思っている方もいるかと思う。しかし、多めに投与すれば次の一手にそれをフォローする必要が出くる。そうなった場合、その瞬間に別の事態が術野で引き起こされた場合、結局は「後手」に回る。「攻め」とは、安定したバランスで足下をすくわれないように、先を見越して仕掛けていくということである。決して単発の激しい行為ではない。「攻めの麻酔」は、常にエレガントでなければならない。

2009年7月19日

セボフルランのにおい

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管理人はセボフルランのにおいが、あまり好きではない。特に、小児のいわゆるSlow導入(セボフルランはSlowではないと云う人もいるが...)では、結構、麻酔科医自身にもにおいが感じられる。どんなにおいかというと「カビくさい」のである。幸いなことに、ますいをしたこどもの患者に「カビくさい」と云われたことはない。2回目に麻酔を受けるこどもが、Slow導入がいやだといって困った話が、ながれの麻酔科医さんのところに書かれている。「う○ちとゴミが混ざったような臭い」というのである。こどもは、カビのにおいなど知らないので、このような表現になるのだろう。確かに、ゴミののにおいというのは当たってるかもしれないと思った。こう書くと、セボフルランのイメージが悪くなってしまうのだが、決してゴミは入っていない。純粋なセボフルランである。それも、日本製で山口県で製造しているらしい。においで麻酔薬を選んではいけない。
しかし、静脈麻酔薬は、においなどは問題にはならないので、こんな悩みはない。
これまで、管理人はこどもに麻酔をするときマスクにバニラエッセンスを大量につけてアイスクリームのにおいだよと云ってだましていた。確かに、アイスクリームの感じではあるが、これは暗示かもしれないと思っている。この暗示によって、管理人がセボフルランで麻酔導入をしたこどもは、いいにおいだったと云ってくれたのであろう。そう思えてきた。

2009年6月 1日

下顎挙上と頭部後屈のちがい

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下顎挙上と頭部後屈の違いは何か?管理人は次のように考える。
座った状態で考えると、目は前を向いて、あごを前にスライドさせるのが下顎挙上で、目が天井をむいて頸の前面をまっすぐ伸ばした状態が頭部後屈である。
これを、仰臥位の患者さんにたいして、下顎挙上や頭部後屈をさせるとき、どのよう操作してその状態を作るかということである。
下顎部分を両手で持ち上げてアイ~ンさせる、"いわゆる、スニッフィングポジション"を作る行為が下顎挙上をする(させる)ということで、前額部(額)に手を当てて下前方に押す行為は頭部後屈をする(させる)ということになる。
頸椎の曲がりに注目してみると、下顎挙上では上位頸椎のみがすこし動いて、頸椎のその他の部分はほとんど動かない。頭部後屈では、上位頸椎だけでなく、頸椎が広範囲に動いている。
これを認識していない人が多いのには驚かされる。気管挿管時の頭位の基本はスニッフィングポジションだと思うのだが、気管挿管前あるいはその途中で、患者の前額部を手で押して後屈させようとする動きをみることがある。うまく上位頸椎のみが動いてスニッフィングポジションに近い形になればよいのだが、たいていは勢いが強すぎて頸椎全体が動いて頭部後屈と同じ状態になる。マッキントッシュ喉頭鏡で気管挿管をするには、角度が強すぎてかえって見えにくい状態になるのである。
過ぎたるは及ばざるがごとしである。

続きを読む "下顎挙上と頭部後屈のちがい"

2009年4月 8日

さぬキャップ復活

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学生実習の管理人の担当課題が、今年は気管挿管実習になった。早速,本日からさぬキャップを使って実習させてみた。さぬキャップのない状態では、まともにクロスフィンガーで人形の口を開けられないが、さぬキャップをつけたとたん、クロスフィンガーが劇的に上手になった。さぬキャップは、人形を使った実習には必需品であることを再認識した。
(注)これまでサヌキャップの表記だったのを、「さぬキャップ」に変更しています。

サヌキャップ
クロスフィンガーの新指導要領
気管挿管のコツは180度のクロスフィンガー(日経メディカルカデット)

2009年4月 4日

ハイテク麻酔?

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ずっと以前に麻酔科で研修を受けた外科医が,「今の麻酔はハイテク麻酔ですね。昔は,モニターも少なくて,もっと簡単だった。」と話す。たしかに,15年前に麻酔科研修をした先生に教えた麻酔とはまったく違う。何がハイテクかというと,モニターや麻酔器などの電子機器がかっこよくなったらしい。さらに,今は,自動麻酔記録装置まである。特に,薬剤の血中濃度のシミュレーターなどで予測の血中濃度が表示されたり,バイタルサイン以外の脳波や筋弛緩の連続モニターなどの情報が,表示されるところが,とてもハイテクであるというのである。シリンジポンプに電子パネルがついており,薬剤をセットするだけで血中濃度が表示されるなど,当時はまったく考えもしなかった。麻酔器はただ手動換気を代わってくれるだけで,換気量などを合わせるのは大変だった。吸入麻酔薬の濃度だって測定はできなかったので,バッグを外して中の匂いをかいで,今,何%ぐらいと推測したものである。
今の麻酔は,機器に表示される情報をきちんと読み取り,それらを判断材料に,もっと綿密な調節を要求される。自動麻酔記録装置などは,モニターのデータを自動で取り込んでくるために,下手な麻酔をすると記録に残されてしまう。昔の麻酔ならできるけど,今の麻酔にはついていけないそうである。
昔の麻酔と今の麻酔の本質は変わっていないけれど,考え方が代わってきたのは確かである。
今風の麻酔(ハイテク麻酔)ができるかどうかが,麻酔科専門医の証であると思っている(外科医談)。

2009年1月25日

後手後手(ごてごて)の麻酔

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久しぶりに、すごい「ごてごて」のますいを見た。「こてこて」ではなく「ごてごて」である。「こてこて」とは関西人の度合いを示すものであると認識しているが、その「こてこて」ではなく、「ごてごて(後手後手)」である。「ごてごて」には、(1)「こてこて」を強めていう語。ごってり。(2)くどくどと言うさま。という意味もあるので、漢字で「後手後手」と書いた方が、いいだろう。
「後手後手」の麻酔は、管理人がもっとも嫌う麻酔である。なぜ、後手に回るのか?それは、術野で何をするのか、患者がどのように変化するのかが理解できていないか、麻酔薬の使い方がわかっていないか、モニターの見方がわかっていないか、そのすべてがわかっていないかである。そうでないとすれば、後手の麻酔であることが日常茶飯事で、そのことを重要視していないかである。はじめの方の理由であれば、教育をすることで治る可能性はあるが、後ろの方の理由では教育も無理である。まず、自分の麻酔をブラッシュアップしようという気持ちがなければ治らない。常に、これで良かったのだろうかという振り返りの気持ちが大切なのである。上手な麻酔を見学して、自分の麻酔を振り返るチャンスが必要なのかもしれない。
あまり「ごてごて」いいすぎると嫌われるのでこの辺で・・・

こてこて用語の基礎知識こてこてらんど

2009年1月 8日

あらためて、攻める麻酔

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ある日の話。場所は不詳。麻酔科専攻医(3年目)の先生が麻酔を終了してリカバリールームで、患者さんがシバリングをおこしていた。そこに、通りかかったある麻酔科専門医先生が、厳しいコメント「術中から攻めとるんか?」。アルチバだからというのはいいわけにはならない。体温の低下があればアルチバでなくてもシバリングは起きる。「術中から攻める」というのは、管理人も常日頃行っていることだが、攻めの姿勢がない場合は、覚醒してからそのようなイベントが生じる。
「術中から攻める」ことは、当たり前であるが、麻酔に集中していなければ、攻めることはできない。また、どんなことを、どんな対応をすれば攻めることになるのかというのも、麻酔科専門医として考えるべき問題である。「術中から攻める」というのは、そのときそのときにできることを、きちんと積み上げたときに出る結果であって、何も変化がないように見える麻酔管理のなかで、常に自分が「攻めている」実感をもてることが大切である。なにか起きたときには、その前の対応がまずいのである。
「術中から攻めとるんか?」:これは、使える言葉である。